2012年11月9日(金)
皆さん、こんにちは。iOS/Android用アプリ『拡散性ミリオンアーサー』の特集“電撃ミリオンアーサー”で解説系記事を担当しているライターの石田賀津男です。今回で連載は第4回となり、順番的には上級者編となります。とはいえ上級者の方に今さらあれこれ解説するのもなんだなと思いましたので、ここは趣向を変えて開発者インタビューをお届けしたいと思います。
お答えいただいたのは、スクウェア・エニックスで『拡散性ミリオンアーサー』のプロデューサーを務める岩野弘明氏です。ご自身も熱心なプレイヤーだそうで、現在(10月26日収録)のデッキも見せていただきました。まずは岩野プロデューサーのデッキとコメントをご覧いただきましょう。
●岩野プロデューサーコメント
「ステータスとかコンボとかスキルの出やすさとかは度外視で、とにかく好きなキャラで固めています。当然ペロリストたる者、全員女子キャラです。なおリーダーは、その凶暴すぎるアグレッシブビキニで猛烈にアピールしてくる姿勢に敬意を表しフェイさんにしています(※チートツールとか使っていませんよ!)」
「いやあ、この行きすぎたデッキはむしろチートツールを使っていたほうが納得できるんじゃないかなー」と私が思ったことは置いといて、これで読者様にも岩野プロデューサーの人となりが少し伝わったと思います。それではインタビュー、スタートです。
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――まずこのゲームの企画のきっかけを教えていただけますか。
きっかけは、私が鎌池和馬さんの作品、作風がすごく好きだったことです。鎌池さんを最初に知ったのは『とある魔術の禁書目録(インデックス)』で、あの設定がとてもゲームっぽいなと思ったんです。この方にゲームのストーリーや設定を考えてもらえばすごくおもしろいものができるんじゃないかと思ったので、話をさせていただきました。カードを使ったRPGということが最初に決まっていたわけではないんです。
――発端は鎌池先生にゲームのシナリオを書いてほしい、ということだったと。
はい。その話をするのにゲームの企画書を持っていったんですが、その内容は今とは全然違うものでした。共通していたのは、アーサー王の物語というところだけです。本当はPCの横スクロールアクションオンラインRPGで企画書を書いて持っていったんです。今ブラウザゲームでやっている『クリスタルコンクエスト』のような見た目のものでした。
――そのほうがスクウェア・エニックスらしいな、とも思いますね。
ただ、ああいうMMOのゲームはノウハウも必要ですし、開発費用も時間もかかりますので、なかなか一筋縄では行きません。そこで一度、どういうゲームにするか再検討しました。
――でも、鎌池先生と一緒にやるということは決まったわけですね。
鎌池さんにも快諾していただけました。そのころ、上司の安藤(安藤武博氏)と一緒にスマートフォン向けに作っていた『ケイオスリングス』がヒットしていて、ゲーム市場的にも今後はスマートフォンが伸びるということがわかっていたので、スマートフォンでゲームを作ろうという話になりました。じゃあスマートフォンで作るなら何かと考えた時に、このタイプのゲームがいいんじゃないかと考えたのです。
また鎌池さんに対して、鎌池さんの一番やりたいことをまず実現させたいという話をしたところ、鎌池さんは「自分の世界観をなるべくテキストで表現したい」とおっしゃったのです。この形ならカード1枚1枚の設定もありますし、テキストを読んでもらえるという環境もあるので、鎌池さんに書いていただくテキスト自体が生きるのではないかという話でまとまり、今の形に決まりました。
――他のカードタイプのソーシャルゲームと比べても、シナリオをしつこいくらいに読ませるなと思っていました。そこは鎌池さんの希望をかなえたということなのですね。
我々としても当然、鎌池さんの色を出したかったので、こういう仕様にしました。ただ実際は、もっとシナリオの分量は少なく見積もっていたんです。そうしたら鎌池さんにものすごい量のシナリオを書いていただけたので、それを分割して、ゲームを進めるのに応じて読めるようにしました。
――それは鎌池先生らしいエピソードですね。その後、鎌池先生と一緒に仕事をされてみてどういう印象を持たれましたか?
皆さんご存知だと思いますが、とにかく仕事が早いんです。このゲームのシナリオを書いていただいている間も、『とある魔術の禁書目録』シリーズの文庫の執筆もあれば、漫画やアニメの監修もありますし、他にも文庫で『ヘヴィーオブジェクト』も出ています。
――しかも最近は新しい作品も書かれていますよね。
そうなんです。『ヴァルトラウテさんの婚活事情』と『簡単なアンケートです』と『インテリビレッジの座敷童』と、3つも出ているんですよ。いつそんなに書いているのかと驚きました。本当にそこが印象的でしたね。
――仕事をお願いしてから出てくるスピードも速いわけですか。
もちろんスケジュールは守っていただけますし、そのうえで、例えばいつまでに何体分の騎士の設定を作ってもらえませんかとお願いした時には、「ちょっと前倒ししました」と言ってプラスアルファで何体か来ていることがあるんです。クオリティは当然高いですが、その内容も安定感がありますし、本当にスーパーマンだなと思いました。
――本作の中で鎌池先生が仕事されている部分はどこなのでしょう? シナリオはもちろんですが、カードの設定のテキストなどもすべて鎌池先生が書かれているのですか?
そうです。サブストーリーもすべてですね。
――それは膨大な数ですよね。
サブストーリーや騎士については、運営後もどんどん増えていて数が多すぎるので、こちらからネタをお送りして、鎌池さんに手を加えていただいたものもあります。例えばハロウィンなので仮装モノはどうですかと送って、監修してもらうという感じです。ただ、ほとんどは鎌池さんが書いたものです。
――今でも随時やりとりして、アップデートのタイミングで増やしているわけですか。
そうです。騎士も今だと月に30体くらい作ってもらっています。
――騎士だけでも1日1体ずつ増えるペースですね! また鎌池先生の逸話が増えることになりそうです。
▲レベルが上がるごとに小出しされるシナリオは、見積もりを大幅に超えた分量のシナリオを見せるための手法だとか。さすがは鎌地先生。 |
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