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2012年12月1日(土)

【Spot the 電撃文庫】人類を救う英雄となっていく少年を描いた『ラストセイバー 救世の後継』兎月山羊先生のインタビューをお届け!

文:電撃オンライン

 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第58回となる今回は、『ラストセイバー 救世の後継』を執筆した兎月山羊先生のインタビューを掲載する。

『ラストセイバー 救世の後継』
▲荻pote先生が描く『ラストセイバー 救世の後継』の表紙イラスト。

 本作は、2015年の平和な世界から人類が絶滅の危機に瀕している2140年へ飛ばされてきた少年・名薙綾月(ななぎ りょうが)が、人類を救う英雄となっていく姿を描いたバトルアクション。史上最悪の敵“天使”による容赦ない猛威にさらされる人類。その過酷な境遇に動揺しながらも、自らの運命と人類の未来に希望を見出すべく、綾月は立ち上がり……。

 兎月先生には、本作のセールスポイントやお気に入りのシーン、小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。

――この作品を書いたキッカケを教えてください。

 漠然と「未来が舞台の物語を描きたいなあ」と思ったところから始まりました。未来の日本はどうなっているのだろうか、未来の科学技術はどれだけ進歩していて人間たちはどんな生活をしているのだろうか……とか。考えている間に妄想は広がっていき、遠い未来の世界を舞台にした異能バトルを書いたらおもしろいのではないかと思いいたります。出来上がったのが本作『ラストセイバー 救世の後継』です!

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

 舞台は西暦2140年。今現在から約130年程経っている、遠い未来の物語です。読者さんにはまず、ご自身で130年後の世界を想像していただいた後に、この作品で描かれている130年後の世界を見比べていただけないかと思います。

 皆さんがこの時代で見慣れている建物や風景は、いったいどのようになっているのでしょう。学校や会社というものは存在しているのか。科学技術はどれだけ進歩しているのか。戦争は起きただろうか。世界は平和だろうか。日本という国は存在しているのだろうか。

 作中には、現代の日本において有名な建物や地名が登場したりします。皆さんのよく知るものが、未来でどうなってしまっているのか。ぜひ想像を楽しんでいただければと。

――作品を書くうえで悩んだところは?

 リアリティを突き詰めすぎると、小説としてのおもしろみに欠けてしまうという点でしょうか。私が本作を通して読者さんに見せたいと思ったものは、想像力をかき立てるワクワクする世界であって、よく知られた、普遍的なただの現実世界ではありません。

 とことんリアリティを突き詰めていくという当初のコンセプトと相反する話なのですが、私はあえて、集めた資料の内容や、調査して判明した事実の一部を無視することもしています。そうすることが、物語をおもしろくすると信じたからです。本作を書く上で迷った時は、厳密に“正しいか間違っているか”を突き詰めるのではなく、“カッコイイ”や“楽しい”を優先させることにしました。そのさじ加減は難しかったです。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 半年以上かかりました。せっかく未来の話を書くということもあり、リアリティを追求することにしたためです。参考書籍を50冊程買い、順番に読み耽りました。資料の読み込みと整理に3カ月。執筆で3カ月くらいです。

 こんなに時間を費やすつもりはなかったのですが、資料を読みあさる内に「あれもこれも」と好奇心のおもむくままにさまざまな分野の参考資料に手を伸ばしてしまいました。量子力学から始まり、資源調達、宇宙開発、政治や経済など、他にもさまざまな本を読んだものです。

 作品を書くという目的だったとは言え、最終的にはかなり勉強になってよかったです。私はエンジニア稼業もやっている兼業作家でして、業務上いろいろな会社の技術者さんと話をします。本業の仕事に関連して、業界のさまざまなトレンドについて取材することもできました。役得ですね! そうしているうちに、参考書籍と業界最先端が違っていたりする実態もわかり、実に有意義でした。

――執筆中のエピソードはありますか?

 前作5巻から本作を刊行するのに1年程かかりました。その間には実にいろいろなことがありました。特に大きいのは、編集部の人事異動関係のゴタゴタだったり(笑)。印象深いところで言えば、イラストレーターさん探しが難航したこともあります。原稿ができ上がるころ、担当編集さんと「誰がいいでしょうね」という趣旨のメールを延々とやり取りしたものです。

 本作は未来のメカメカしいものが数多く登場するため、キャラクターも描けて、メカメカしいものも描ける多才な方を探す必要がありました。結果として、荻poteさんという本作のイラストレーターさんに出会うことができました。まことにありがたいご縁です。

――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。

 本作に登場する少女、アニカ。彼女は2140年の世界を生きる14歳の少女です。情報発掘屋(データハンター)と呼ばれる仕事で生計を立てている彼女ですが、その仕事内容は、男性読者からすると戦慄するものかもしれません(笑)。

 本作を読んでいただくとわかりますが、未来に彼女のような仕事をする人が実在したらと考え始めると……。ハードディスクの中身を念入りに整理したい衝動に駆られるのではないかと思います。アニメや同人誌が大好きで。友だちがいなくて。さびしがり屋なのに素直になれない、天の邪鬼の金髪少女。そんな彼女の仕事は必見です。

――特にお気に入りのシーンはどこですか?

 サブタイトルである“救世の後継”の意味がわかるところです。この物語は英雄譚でもあります。悲しみなげく多くの人々。そんな中、人々の期待を一身に受けて、途方もない絶望に1人で立ち向かっていく英雄。勇敢なその姿は、これからも本作で書いていけたらと思います。

――今後の予定について簡単に教えてください。

 2015年の世界から、いきなり遠い未来の世界に投げ出された主人公の名薙。最初は頼りないただの高校生だった彼も、どんどんたくましくなっていくはずです。禁断の預言書に導かれ、今後の続刊でも、天使達との激しい戦いに巻き込まれていくでしょう。彼は救世の後継。預言された存在です。弱き者の盾となり、強いる者に抗う刃なのです。彼こそは、人類が手に取る“最後の剣”なのですから。

――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?

 キャラクターの心情を、すべて台詞にしないようにしています。“わかりやすくする”という意味では、もちろん台詞にしてしまったほうがいいのですが、私の場合は、あえてそうしないように心がけています。言いたくても言えない思い。上手く言葉にできなくて、相手に伝わらない気持ち。そういった人間くさいもどかしさを、キャラクターに持たせたいと考えているからです。まだまだ納得のできる技術力ではないのですが、もっと精進していきたいですね。

――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?

 寝ることです! というと各方面から「ウソつけ、寝てねえだろ」と言われそうですが、いや、マジで寝ることです! 正確には寝る直前。微睡んでいる時に作品のことを考えているのですが、そういう時によく閃きます。行き詰まったり、迷ったりしたら、とりあえず横になってみることにしてます。果報は寝て待ちます。

――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?

 高校生のころではなかったと思いますが、同じ電撃作家の、坂入慎一さんの作品に影響を受けていると思います。私の受賞作である『アンチリテラルの数秘術師』も、坂入さんの作品の影響が色濃いのかも。

 坂入さんの『シャープ・エッジ』という作品は詩的で、内容も文章もキレすぎていて素晴らしいです。読んだ当時、とんでもない衝撃を受けたのを未だに覚えています。心底、この人は天才なんだなと思いましたね。まだお会いできてないのがもどかしい(笑)。

――今熱中しているものはなんですか?

 海外ドラマの視聴と、ツイッターです(笑)。ひとまず海外ドラマの話は置いておいて、ツイッターの話題。皆さんご存じだと思いますが、インターネットにはツイッターというミニブログのようなものがあります。ものすごい有名人や、高名な人、他にもおもしろい一般の方たちの思考の垂れ流しが、無料で手軽に閲覧できてしまいます。情報の精査さえできれば、情報収集用途でも非常に有益なツールです。私自身は大したことをつぶやいていませんが、よろしければご覧ください

――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。

 『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』! ジョブシステムがすっげえ楽しいですよね! ただ現実生活では、私は“リーマン”っていうジョブを育ててるんですよ。ジョブレベル上げるためのノルマポイントが半端なく高い上に、ロクなアビリティを覚えないというジョブでね! “社に持ち帰りまして検討します”とか“諦める”なんて技くらいしか覚えねーんですの! ナイトとか忍者とか、もっとハンサムなジョブになりてー!

――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。

 “十分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない”という有名な格言もあります。本作には、科学なのか魔法なのか、もはや判別の付かないガジェットが数多く登場します。PCアプリケーションによる未来予測や、魔法にしか見えない超常の力。作者が実現し得ると考えたこの未来世界を、ぜひ堪能していただけたなら幸いです。――どこまでが科学で、どこからが魔法なのか。皆さんには見わけられるでしょうか。

(C)兎月山羊/AMW
イラスト:荻pote

データ

▼『ラストセイバー 救世の後継』
■発行:アスキー・メディアワークス
■発売日:2012年11月10日
■価格:641円(税込)
 
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