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2012年12月21日(金)

「僕のカードゲーム人生の尊敬の対象です」ブシロード・木谷社長他『モンスター・コレクションTCG』関係者へのインタビューをお届け!

文:さくたろう

■15年の歴史を持つ『モンコレ』の開発秘話などを直撃!

 『モンコレ』の開発を手がけるゲームクリエイター集団“グループSNE”に所属する、デザイナーの加藤ヒロノリ氏とデベロッパーの杉浦武夫氏、富士見書房のプロデューサー・稲垣健氏、そして初代プロデューサーの小笠原勝氏にインタビューを行った!

『モンスター・コレクションTCG』
▲左から、富士見書房・小笠原氏、グループSNE・杉浦氏、加藤氏、そして富士見書房・稲垣P。

■『モンコレ』15年を振り返ってみて

――『モンコレ』が今年で15周年を迎えましたが、まずはその感想をお聞かせください。

加藤:この15年はいろんなことがありましたが、15年経った今でも続けていけるのは、ユーザーの皆さんのおかげです。僕たちだけではここまで続けることができませんでした。本当にありがたいことです。

――グループSNEさんの作品としても、ここまで長く続いている作品というのはあまりありませんよね。

小笠原:『モンコレ』より長く続けているといえば、『ソード・ワールドRPG』くらいかな。今出ている『ソード・ワールドRPG2.0』は、20年経って新しくしたものだしね。

加藤:『ソード・ワールドRPG』ってそんなに続いてるんですか! じゃあ、あと5年やれば、初代の『ソード・ワールドRPG』は抜けますね(笑)。それじゃあ、次は20年を目指して頑張りたいですね。

杉浦:もう15年ですか……。『モンコレ』を開始した当初はまったく想像していなかった年月ですね。

加藤:最初のころはあまり先のことも考えずに、思いついたカードばかり作ってたからな(笑)。

杉浦:そうですね。思いついたアイデアを端から全部カードにしていったわけですけど、15年も経つといろいろわかるようになってきましたね。加藤のデザインにしても、今は余計なものはそぎ落としつつ、それでもゲームのおもしろさは維持していくように変わってきました。デベロップをしているものとしても、非常に洗練されたものになってきたのではないかなと思っています。ユーザーの皆さんも、加藤のデザインしたカードのおもしろさを、さらに引き出してくれているので、今後も皆さんが楽しめるようなゲームを作っていきたいですね。

稲垣:私は最初、いち『モンコレ』ユーザーとしてプレイしていました。それで『モンコレ』が縁で富士見書房に入社することにもなり、まさに『モンコレ』は私の人生を変えたカードゲームでした(笑)。そして15年経った今、プロデューサーという立場で『モンコレ』にかかわることができているというのは、とてもありがたいことだと思っています。『モンコレ』は、発売された当時から独特なゲーム性と立ち位置を持ったゲームだと思っていて、15年経った今でも、カードゲーム業界でそういう部分が維持できているのはスゴくいいことだと思います。今後も、他のカードゲームのいい部分なども吸収していきつつ、独特の位置で進化していけたらいいなと。ゆくゆくは20年と言わず、30年でも、40年でも続けていけたらいいですね。

加藤:とりあえずは20年にしておきましょう(笑)。

――小笠原さんは、15年前の立ち上げのころから『モンコレ』にかかわられているとのことですが。

小笠原:私は『モンコレ』が今のスタイルになる前のテストプレイから参加しているんです。『モンコレ』とはそのころからの付き合いで、主にイラスト部分のコントロールを手がけていました。『神霊獣の咆哮』(2008年発売)のころまでは、イラストの発注などでかかわっていて、その後の製品化に関しては、稲垣が担当していたんですね。最初に出会ったころの稲垣はまだ大学生だったんですが、それがいつの間にか私の後を引き継いで、今では小さい女の子のイラストばかり発注しているのが困りどころです(笑)。

稲垣:そんなことはないですから、バランスよくやっていますから(笑)。

『モンスター・コレクションTCG』 『モンスター・コレクションTCG』

――今のカードのイラストは、すべて稲垣さんが発注を行っているんですか?

稲垣:今は『モンコレ』のスタッフも増えたので、各担当の意見を聞きながら発注しています。個人的にイラストの発注に関しては、昔より丸くなったと思っているんですが……。

加藤:昔は小笠原さんよりのイラストが多かったんですが、今では稲垣さんよりのイラストがメインですよね。

稲垣:いやいや(笑)。ブロッコリー時代は私よりのイラストも多かったんですけど、今はどちらかというと、ディレクターの荒井の色のほうが強いかなと……。

小笠原:イラストの原案は加藤くんが出してくれるんですが、実際の発注は私たちが行うので、そこでいろんなアレンジを加えたりするんです。私たちの仕事は、いかに加藤ヒロノリという男を驚かせられるかにかかっているので(笑)。

加藤:ホント、予想外のものが上がってきて驚いたことが何度あったことか(笑)。イラストの原案に関してはかなり書いてますよ。

――カードイラストの原案や発注とはどのような形なのでしょうか?

加藤:ユニット(モンスター)に関しては生き物なのでわかりやすいですよね。戦闘スペル(魔法)に関しては、昔は《ファイアボール》なら火の玉の魔法って伝えればよかったんです。でもそういう形で続けていくと、同じようなイラストになってしまうので、今ではこういうキャタクターが魔法を使って、こういう形で攻撃しますとか、昔よりも詳細な描写を書いて提案させてもらっています。

『モンスター・コレクションTCG』 『モンスター・コレクションTCG』

稲垣:そうやって加藤さんからいただいた原案をもとにイラストレーターさんに発注するんですが、その時にゲームではこのくらい強いものなんですとか、ゲーム的な効果もお伝えしたりしています。今はカードゲームに理解のあるイラストレーターさんも増えていて、中にはゲームデータそのものを見せてくださいと言ってくださる方もいます(笑)。

小笠原:『モンコレ』の場合は、その戦闘スペルを使えるユニットじゃないとイラストにできないので、そのユニットを軸に、ヤラレ役をそのユニットと敵対しているもので構成することも多かったですね。

稲垣:そうすると、戦闘スペルに登場するユニットが一部に寄り過ぎちゃって(笑)、そこが最近の悩みですね。やっぱり人間型のユニットが魔法を使うと絵になりやすいんですよ。

加藤:ドラゴンが戦闘スペルを使っても、わかりづらかったりしますもんね。

杉浦:ドラゴンが《ファイアボール》を使っても、ブレスと見た目がどう違うのかとか(笑)。

加藤:あと、戦闘スペルやアイテムのカードに描かれたキャラクターが、ユニットに逆輸入されることもあります。最近だと、《妖艶のアルメリナ》とか《女海賊ネイ&ネル》がそうですね。

――では次に、この15年で一番思い出深かったこととは?

小笠原:じゃあ、私から。発売の翌年に開かれた全日本選手権なんですが、東京予選の2日目に肺炎でダウンしたのが、思い出深かったかなと(笑)。みんなが対戦している横で、杉浦さんにあとはお願いしますと残し、イスでぐったりしてました。それで翌日病院に行ったら、「肺炎だけどもう治りかけだね。でもよく生きてたね(笑)」と。あの時はかなり命がけでしたね(笑)。

加藤:僕は発売の時と、ブロッコリーさんから復活した時が一番思い出深かったですね。

杉浦:僕も同じですね。『モンコレ』は一度、これ以上は新しい商品は出ませんとなった時があったんです。そしてそれが復活すると決まった時は、『モンコレ』を改めて展開しても大丈夫なのかという不安が関係者にありました。でも、実際に復活してみたらあっという間に売り切れてしまい、あの時は本当にうれしかったですね。

加藤:入手困難になるまでとは誰も思っていなくて、あれは本当に驚きましたね。

杉浦:あの時は本当に、『モンコレ』はユーザーに愛されているゲームだなと実感しました。

稲垣:私はブシロードさんが秋葉原のUDXビルで行った発表会が印象的でした。『モンコレ』がブシロードさんから発売されるという、新たな始まりをユーザーさんも感じられたのではないのかなと思います。それとアニメーションPVですよね。『モンコレ』がこんなにカッコいいアニメーションになるなんてと、本当に感激しました。

『モンスター・コレクションTCG』 『モンスター・コレクションTCG』

――あのPVの物語は、どなたが考えられたのでしょう?

加藤:アニメスタジオの方ですね。『モンコレ』の設定をお伝えして、作っていただきました。バックストーリーとしては、『モンコレ』の最初の小説『戦慄の破壊神』をもとにしていて、最後は《ジャッジメント》と《黒い翼の天使》が戦うというものになっています。

→ブシロードから『モンコレ』が発売されてどうなった?(4ページ目へ)

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