2012年12月27日(木)
近年の『ペルソナ』シリーズにおけるもっとも個性的なシステムと言えるのが、主人公の高校生活1年間をまるまるプレイできる、通称“カレンダーシステム”です。説明も何も、4月11日からスタートする1年間を1日1日プレイしていくわけです。現在学生の人にとっては、これほど親近感のわく舞台もないでしょうし、かつて学生だった僕みたいなおっさんには懐かしい! となること請け合いです。まあ、「こんな充実した高校生活を送りたかったなぁ……」が現実的なところかもしれませんが。
▲もちろん、学校行事や季節ごとの風物詩など、さまざまなイベントが展開! 高校生活を華やかに彩ってくれます!! |
主人公の高校生活を彩ってくれるのは、イベントだけではありません。そう、彼をとりまく個性的な登場人物たちです。そんな登場人物たちそれぞれの内面に迫れる“コミュシステム”も、『P4G』を語るうえで外せない要素。コミュとはコミュニティの略であり、主人公とともに事件に挑む仲間たちはもちろん、学校の友人や町で出会う人々など、さまざまな人物とかかわりを持つことができます。そして、彼らと絆を深めることで、コミュのランクがアップ! メインストーリーでは描かれない、キャラクターそれぞれのエピソードが楽しめるわけです。
▲このコミュストーリーは、メインストーリーとは違った深みがあって、ついつい本編そっちのけでコミュばかり育てちゃうなんてことも。 |
もちろん、日常的な学生生活だけではなく、非日常の世界も用意されています。それがダンジョンとなるマヨナカテレビの世界です。主人公たちはTVの中に入って事件を解決していくわけですが、そこで戦力として役立ってくれるのがペルソナです。このペルソナを育成し、より強いペルソナを合体で作り出していく要素は『真・女神転生』の系譜ならではの楽しみと言えるでしょう。スキルの継承で自分だけのペルソナを生み出すことも可能です。
先ほどのコミュ育成は、このペルソナ作成にも大きく関係してきます。コミュにはそれぞれタロットカードのアルカナ(女教皇とか戦車とか)が設定されているのですが、コミュのランクが上がることで、そのアルカナに対応したペルソナを作成した時、経験値にボーナスが加算されるというメリットもあるのです。
▲ペルソナは、神話や伝説の神や悪魔。神話好きな人なら、聞いたことがあるような神様たちを自分の力として操れるのも魅力。また、敵の弱点を突くことで行動回数が増える戦闘システムも、とてもテンポよく戦闘が進む好評な要素です。 |
1年間をまるまるプレイできるシステムやコミュ、戦闘システムなど、それぞれのシステムが高い完成度で楽しめるのはもちろん魅力なのですが、それらの要素が絶妙なバランスで盛り込まれている点が、個人的には一番おもしろいところなんじゃないかって思っています。
学校での授業が終わり放課後になって、じゃあ今日はコミュのランクを上げようか? それともダンジョンに行ってレベルを上げようか? いやいや主人公のパラメータも上げておかないと……というように、1回の行動をこんなに悩んで楽しめるゲームは他にないのではないでしょうか?
しかも、プレイしていれば、そのうち全部最大になるというわけでもなく、きちんとスケージューリングしなければ1周目でのコミュ制覇は難しいですし、コミュばかりやっていたらダンジョンで苦戦することになるわけで、あれもこれもとプレイしているうちに「もう、1カ月が終わっちゃうのか」となる。現実でも、今月はもうちょっと頑張れたなとか思っちゃうことはありませんか? そのリアルな感覚を味わえる――そこに本作のシステムとしての完成度が垣間見える気がするのです。
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