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2013年2月19日(火)

『車輪の国、向日葵の少女』を紹介する義務を課せられたアフィリア・サーガのユカフィンさんに作品の魅力を聞く

文:ごえモン

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■誰かの死ではなく、人と人の絆で感動を演出するシナリオが魅力

――次はまなについて教えてください。

『車輪の国、向日葵の少女』
▲さちを慕って一緒に暮らしている異国の戦災孤児。教育を受けていないが、実はとても頭がいい。

 まなちゃんを最初に見た時は、やたらと日焼けをしているなぁと(笑)。まなちゃんはすごく健気で、お姉ちゃん(さち)と一緒にパソコンとかをやっているところとかがかわいくて、私はお兄ちゃんしかいないから、まなちゃんを見て妹が欲しいなって思いました。

 でも、一番若いのに、壮絶な人生を送っていて、まさか……ね。あんなことになっちゃうなんて、怖いなと思いました。さちに感情移入していたので、「どうにかしなきゃ」という思いでプレイしていました。変なところで大人だから、「そんなこと言わないでよ」と思って、本当にさちの章が一番感動しました。

――さちの章が一番好きだという人はよく見かけますね。一番最初の章だったから、というのもあるかもしれません。キャラクターについてはこの辺りにして、次は一番気に入っているシーンがあれば教えてください。

 最後のほうの演説シーンも印象に残っているんですけど……どのヒロインの章にも、向日葵畑のシーンがあるんです。そこで、なっちゃんは誰かを待っているって言ったり、さちは絵を描いていたり、えりはそこであんなことになっちゃったり、いろいろなことが向日葵畑で起こっていて、すごいところだなぁと思いました。向日葵がキーワードになっているので、向日葵を見ると『車輪の国』の世界に連れていってくれる気がします。

『車輪の国、向日葵の少女』

――それでは、今度は“ここはすごく泣けた”というシーンがあれば教えてください。

 一番泣いたのは、灯花ちゃんのハッピーエンドかもしれないです。最初は灯花のことをあんまり好きじゃなかったというか、「この子はなんなんだろう?」と思っていただけに、灯花ちゃんの成長する姿や義務の理由を知って、灯花ちゃんの思いに感情移入すると、すごくグっときました。一番現実的な“家族問題”というリアルな設定なので、身近に感じて親の大切さみたいなものを教わりました。

『車輪の国、向日葵の少女』

――PSP版の時に再プレイをしたのですが、京子に感情移入をしてしまって泣けてしまいました(笑)。

『車輪の国、向日葵の少女』
▲灯花の母親。灯花を厳しくしつけている。

 もう親心じゃないですか(笑)。でも、京子さんも偉いですもんね。最初はヒステリックだなと思っていたんです。「電話をするな」とか、「いいじゃん!」って思っていたんですが、確かに京子さんの立場がわかったら、「京子さん、ごめん」って気持ちになります。

 この、“たった1個の義務で、こんなにいろいろなドラマが演出できる”んだと思ったら、灯花の章が一番泣けました。

――でも、一番好きなヒロインはなっちゃんなんですよね。

 私自身が灯花に近いタイプだと思うんです。自分と似ているからこそ、あんまりあこがれないのかなって思います。生意気だし、アフィリア・サーガのメンバーの中でも一番男っぽいと言われるから、きっとなっちゃんみたいな女の子っぽい娘にあこがれちゃうんですよね。でも、灯花も好きですよ。

――各ヒロインに感情移入して楽しむ、というのは男性の観点からすると新鮮ですね。

 私は女の子ですから、やっぱり感情移入できるのは女の子なんです。逆に賢一にはあまり感情移入できなくて、共感はできたんですが、自分がヒロインたちになったほうが絶対楽しいと思ったんです。だから、美少女ゲームは女性でも楽しめると思います。

 美少女ゲームと聞くと、結構抵抗があったりすると思うんです。でも、ゲーム界にこんなにいいシナリオがあるんだって感動したし、映画やドラマよりも、これはすごい作品じゃん! って思っているんですね。だから女の子でも、いわゆる萌えとかではなく物語を楽しめると思います。

 男の人でも、ヒロインに感情移入して「私はなっちゃんよ、賢一くんありがとう」とか「きゃー、とっつぁんが来た!」みたいにプレイすれば、もう1回楽しめると思います(笑)。

――小説の手法を美少女ゲームで使っているので、小説が好きなら『車輪の国』を好きになれるかもしれないですね。ちなみに、好きなキャラを3人だけ選べるとしたら、誰になりますか?

 1番がなっちゃんで、2番がとっつぁん、3番がさちです。

――なるほど、私とは全然違いますね。私は1番が賢一で、2番がとっつぁんで、3番がお姉ちゃんですかね。

 やっぱり、とっつぁんが人気ですよね。ツンデレですからね。『車輪の国』って、嫌いになるキャラが誰もいないのも、すごいんです。

 あと、感動するシーンも、“誰かが死んでの感動”じゃなくて、“人と人との絆で感動が描かれていて”、ゲームなんだけど現実でもありそうな深い話がすごく好きです。罪とか義務とか出てくるから、「ヤバイんじゃないの?」、「たくさん人が死ぬんじゃないの?」って思うかもしれませんが、全然そんなことはなくて、名作と言われている理由がわかりました。

――最後までプレイすると、構成の巧みさに驚きますよね。

 全クリした後、何日か余韻に浸って何もできなくて、もう1回、ゲームを立ち上げたりするけど切なくなってプレイできませんでした。

――では再プレイはしていないんですか?

 1回だけしました。灯花のバッドエンドで傷ついて、バッドエンドだけはもう見たくないって思っていたんですけど、今度は逆に見たくなってきて(笑)。でも、ルイズに貸してしまってできなくなってしまったので、他のバッドエンドはPS3版で楽しもうと思っています。

――『車輪の国』については、これが最後の質問です。未プレイの人に対して、オススメコメントがあればお願いします。

 映画や小説のようにグイグイ世界観に入り込めて、義務などみんなの背負っているものを通して、人との絆とか、大切さとかをたくさん教えてくれる作品です。いっぱい泣けて、感動して、衝撃的で、鳥肌が立って――こんな名作はないと思っています。やらなきゃ絶対に損だし、やったらみんなが『車輪の国』を大好きになって、忘れられないゲームになると思うので、絶対にやったほうがいいと思います。

 女の子でも、美少女ゲームとかじゃなくて、『車輪の国、向日葵の少女』というジャンルの名作だと思ってプレイしてみてください。絵はかわいいですけど、ヒューマンドラマなので人間の深いところを描いています。気軽に始めてもらえれば、プレイ時間は長いですが、どんどん引き込まれてあっという間に終わると思います。

――アツいコメントありがとうございます。それでは最後に、ユカフィンさんの今後の活動について教えてください。

 この作品の応援隊長として、大好きな『車輪の国』をたくさんの人に知ってもらいたいので、これからも活動できればなと思っています。アフィリア・サーガとしては、4月にNEWアルバムが発売されて、5月にツアーが決定しています。

 あと、私はアフィリア新宿店で働いています。ゲームが大好きで、『車輪の国』以外では『ダンガンロンパ』に最近ハマっています。実は『忍道』シリーズが一番好きなゲームなんですが、そういったゲームの話をたくさんできるお友だちというか、語れる人とお話したいので、ぜひお店にも来てみてください。

――『忍道』好きはアフィリア新宿店に集合ということで。

 (笑)。ゲーム全般が好きなので、『車輪の国』以外のいろいろな作品についても語りたいです。ギャルゲーについても語りましょう!(笑) ぜひ、私に会いに、アフィリア・サーガのイベントか、新宿店に遊びに来てください!

『車輪の国、向日葵の少女』
▲限定版特典の“向日葵の少女ヒロインズラバーストラップ”。この他、限定版には“贖罪ドアノブプレート(3枚組)”が同梱される。

(C)AKABEiSOFT2/(C)2013 MAGES./5pb.

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