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2013年2月13日(水)

“第4の攻殻機動隊”は6月に始動! 草薙素子役を任された坂本真綾さんも登壇した『攻殻機動隊ARISE(アライズ)』製作発表会をレポ

文:てけおん

 士郎正宗氏原作の人気シリーズ『攻殻機動隊』の新作アニメ『攻殻機動隊ARISE(アライズ)』の製作発表会が、2月12日に東京・六本木にあるニコファーレで開催。全4部作であることや、6月22日より第1話が劇場公開&有料配信されることなどが明らかになった。

『攻殻機動隊ARISE(アライズ)』製作発表会
▲本作のキービジュアル。

 『攻殻機動隊』は、1989年に『ヤングマガジン増刊 海賊版』(講談社刊)でスタートした作品。科学技術が発達し、サイボーグや電脳化技術が普及した21世紀の日本を舞台に、テロなどの脅威を防ぐために活動する組織“公安9課”の活躍を描いたサイバーパンクSFだ。

 アニメとしては、1995年の劇場版『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』や2002年に放送開始したTVアニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズ、2004年公開の『イノセンス』に続く、“第4の攻殻機動隊”となる本作。スタッフは、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』や『イノセンス』などの制作でおなじみのスタジオ・Production I.Gを支えた黄瀬和哉氏を総監督に迎え、『マルドゥック・スクランブル』『天地明察』の冲方丁氏が脚本と構成を担当。音楽は世界で広く知られる日本人ミュージシャン・コーネリアスが担当する。アニメーション制作は、Production I.G。

『攻殻機動隊ARISE(アライズ)』製作発表会 『攻殻機動隊ARISE(アライズ)』製作発表会
『攻殻機動隊ARISE(アライズ)』製作発表会 『攻殻機動隊ARISE(アライズ)』製作発表会 『攻殻機動隊ARISE(アライズ)』製作発表会
▲新たに公開されたスクリーンショット。

 『攻殻機動隊ARISE』で描かれるのは、凶悪犯罪の阻止を目的とした攻性の特殊部隊“攻殻機動隊”の創設と、これまでのシリーズ作品において謎に包まれた全身サイボーグのヒロイン・草薙素子(くさなぎ もとこ)の物語。素子と公安9課の荒巻、後に攻殻機動隊のメンバーとなるバトーやトグサらとの出会いとともに、電脳ウィルス“ファイヤ-・スターター”をめぐる壮絶なアクションと電脳戦が描かれていく。

 そんな本作の製作発表会では、本作のキャストやPVが初めて公開された他、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』を題材にした新作オンラインゲームの発表も行われた。この記事では、アニメ関連の情報をお届けしていく。オンラインゲームについては、別の記事で詳しく掲載しているので、そちらを参照してもらいたい。

■製作発表会がスタート!■

 最初にProduction I.Gの石川光久社長が登壇。冒頭のあいさつで石川社長は、本作の総監督に黄瀬氏を抜擢したことについて、「昨今は3Dアニメの作品が増えてきましたが、その中で2Dアニメの力を見せつけるため」と説明。さらに慶應義塾大学教授の夏野剛氏、角川アスキー総合研究所の遠藤諭氏をゲストに迎え、トークを繰り広げていった。

 iモード立ち上げのメンバーである夏野氏は、『攻殻機動隊』にさまざまなインスパイアを受けたと話し、「苦境に立たされている家電業界のトップは、『攻殻機動隊』に学ぶべし!」とコメント。遠藤氏は「現在研究がさかんなブレインマシンインターフェイスの行き着く先は『攻殻機動隊』の世界」と言い、実際のテクノロジーが『攻殻機動隊』の世界あるものに近づいてきていることなどを述べていた。

 その後、PVの上映をはさんで本作のキーマンである黄瀬総監督、冲方氏が登壇。石川社長を交えてトークしていった。ここでのトークで口火を切ったのは石川社長。もともと『攻殻機動隊ARISE』は、2010年の夏に士郎氏と新たな『攻殻機動隊』を作りたいという話から生まれたという。

 その時、士郎氏と石川社長は『CSI:科学捜査班』シリーズのように、脚本に優れた海外ドラマのような作品を作りたいと話したそうで、石川社長は「それだったらぜひ作ってください」と言ったが、士郎氏に断られたのだとか。しかし、断られた2カ月後に士郎氏から『攻殻機動隊ARISE』(※当時はまだ題名未定)のプロットとキャラクター原案を見せられたらしく、石川社長はかなり驚かされたと振り返っていた。そして、士郎氏のプロットがあまりに難解であるため、冲方氏にそのままゲタを預けたという。

 そんな冲方氏は、本作のプロットを見て「素晴らしいと思ったと同時に、海外ドラマのように“おもしろい脚本”を書いてくれと言われて悩みました」と当時を振り返っていた。さらに、士郎氏のプロットが非常に自由度が高いことから「読んでいて“お前はこのプロットを見せられて何が書けるんだ?”と問われているような気がしました」と話し、黄瀬氏とやり取りを密にしながら制作に臨んでいると話した。またブレてはいけないポイントとして「本作が“草薙素子の物語である”ということ。彼女を人間としてとらえ、“なぜ草薙素子は草薙素子になったのか”を書きたい。テクノロジーが発達しているからこそ浮き立つ人間の生々しさに目を向けたい」と思いをあらわにしていた。

 同じく士郎氏のプロットを見た黄瀬氏は、まずビジュアル的なところをどうしようか悩んだようだ。最初は原案に寄せたデザインで士郎氏にラフを見せたそうだが、男性キャラクターの方がリアルさを感じるデザインだったため、素子も男性側に寄せていくことに。その話が発展して『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』のデザインに近いものにすることになったそうだ。

『攻殻機動隊ARISE(アライズ)』製作発表会
▲この素子がどう動き、どんな活躍を見せてくれるのか……。今から興味が尽きないところ。

 黄瀬氏と付き合いが長い石川社長は、黄瀬氏から上がってきた草薙素子のビジュアルを見て「ヤバイ!」と直感したという。ここでのヤバイとは3つほど意味があったようだ。まずは身震いがするほどレベルが高いということ。そして、このキャラクターは動いて初めて完成するキャラクターなので、ビジュアルだけを見た人に誤解されるかもしれないこと、そして、キャラクターを動かすために現場が相当苦労するだろうということ。実際、制作には想定よりも時間がかかっているようで、石川社長は「これから時間をどう短縮していくかも含めて現場の戦いだと思います」とコメントしていた。

 さらに音楽を担当するコーネリアスについて話がおよぶと、黄瀬総監督は「今まであるものとは違う音楽を作ってくれるだろうという確信はあるので、単純に楽しみです」と、コーネリアスへの信頼を感じさせるコメントをしてくれた。

→ついにキャストが発表! さらにサプライズゲストも!!(2ページ目へ)

(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会

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