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2013年2月14日(木)

『神咒神威神楽 曙之光』シナリオライター・正田崇氏にインタビュー! 5つの追加章や“座”シリーズの今後に迫る

文:ごえモン

『神咒神威神楽 曙之光』シナリオライター・正田崇氏インタビュー
▲通常版パッケージ

 lightから、4月25日に発売されるPS Vita用ソフト『神咒神威神楽 曙之光(かじりかむいかぐら あけぼののひかり)』。そのシナリオを執筆した正田祟氏にインタビューを行った。

 本作は、美少女ゲームブランド・lightから2011年9月に発売されたWindows PC用ソフト『神咒神威神楽』のPS Vita移植作。神州・葦原中津国を舞台に、化外(けがい)との戦いを描いた“和風剣戟アドベンチャー”だ。『PARADISE LOST』、『Dies irae』に続く、“座”シリーズの最終作にあたる作品と言われている。

 インタビューでは、『曙之光』となって追加された要素や、作品のそもそものコンセプト、キャラクターへの思い、そして本当に“座”シリーズの最終作なのかどうか? などについて迫っている。さらに、1月1日~13日にかけて読者から募集した、正田氏への質問・疑問への回答も掲載する。

『神咒神威神楽 曙之光』シナリオライター・正田崇氏インタビュー 『神咒神威神楽 曙之光』シナリオライター・正田崇氏インタビュー

※本インタビューは発売前にもかかわらずネタバレが多分に含まれている。PC版をクリアしていない人が2ページ目以降に進む場合は、注意してほしい。

■前作との関連性が強くなったのは、反響の大きさと自分の思い入れが暴走した結果

――まずは、PC版『神咒神威神楽』の制作経緯、コンセプトについて教えてください。

 制作経緯としては、マリィルートではラインハルトたちが死んでいないので、いじり甲斐があったんです。あの後、世界はだいぶ不安定になると思っていたので、崩したくなったと言うか……サド心が働いてしまいまして(笑)。あとは、和風がやりたかったので、それに合わせて作ったというのもあります。

 雰囲気をがらっと変えたかったんですよね。自分は『PARADISE LOST』のころから、西洋オカルトの男だと思われているだろうなと思っていたので、「いや、別にそれだけじゃないよ」というところを見せたかったんですよ。

――それで和風になったと。

 実際は和風のほうが好きなんですよ。キャラクターも、外国人ばかりを出すのは実は好きではなくて。

『神咒神威神楽 曙之光』シナリオライター・正田崇氏インタビュー 『神咒神威神楽 曙之光』シナリオライター・正田崇氏インタビュー

――それなのに、これまでのシリーズは外国人ばかりが登場しましたよね。

 『Dies irae』は“第三帝国”なのでしょうがなかったんですが、日本のよくも悪くもドロドロした感じというか、和風の伝奇をネタにした作品は、あると言えばあるんですけど、そんなになかったじゃないですか? だからやりたかったのもあります。でも、『神咒神威神楽』が発売される前後くらいに、和風は一瞬流行っているんですよ。あれは完全にシンクロニシティでしたね。

――『神咒神威神楽』というタイトルの意味、命名意図などを教えていただけますか?

 “神咒”というのが、“神様の名前に宿る力”という意味で、“神威”も“神様の力”で同じ意味ですよね。“神楽”は、自分の好きな音楽ネタですよ。『Dies irae』がオペラだったので、戯曲を全体的にイメージしていました。今回もそれと同じで“神楽舞”をイメージしています。“作品を舞台”と考えて、最後は“神楽”にしました。3つ合わせると語呂がいい、という理由もありますけどね(笑)。

――前作『Dies irae』の移植先はPSPでしたが、今回、移植ハードとしてPS Vitaを選んだ理由を教えてください。

 これは単純にスペックの問題ですね。『Dies irae』と『神咒神威神楽』だとシステムがまったく異なるのですが、PS Vitaぐらいのスペックがないと、不自由なく楽しむことができないんです。縦書きなので、画面が小さいと読みづらいですしね。

――据え置き機という判断はなかったのでしょうか?

 会社の意向で据え置き機という判断はなかったですね。実際にPS Vitaでテストプレイをしたのですが、画面が大きくて文字がとても読みやすいです。縦書きでも問題なく読めました。

『神咒神威神楽 曙之光』シナリオライター・正田崇氏インタビュー 『神咒神威神楽 曙之光』シナリオライター・正田崇氏インタビュー

――PS Vitaならではの機能は搭載されているのでしょうか。

 タッチパネルと背面タッチパッドへの対応を予定しています。

――初回限定版特典のビジュアルファンブックとオリジナルドラマCDはどのような内容になるのでしょうか。

 ドラマCDは、例によってふざけているので、まったく真面目な話を期待しないほうがいいです。ちょっとやりすぎかもしれないですね。間違っても、本編クリア前に聴かないでください。ネタも本編後みたいになっているので、最初に聴くと完全にキャライメージが壊れます。ビジュアルファンブックに関しては、自分はノータッチですね。

――少し突っ込んだ質問になりますが、“座”シリーズ2作目の『Dies irae』では1作目『PARADISE LOST』とはそこまで関連性が強くありませんでしたよね。しかし、3作目の『神咒神威神楽』と『Dies irae』の関連性は非常に強い印象があります。言わば『Dies irae2』とも呼べる内容となった理由について教えてください。

 これは『Dies irae』の反響のデカさと自分の思い入れがある意味暴走した結果です。よくないことだと思います。初期の段階だと、『神咒神威神楽』は『Dies irae』と完全に別物だったんですよ。一応、世界観だけは踏襲して、関係のあるキャラなどは何も出てこない。前作を大して知らなくても楽しめるものだったけど、書いているうちに、そっちに寄っちゃったんですよね。これは、あまり威張れることではないのですが……。

『神咒神威神楽 曙之光』シナリオライター・正田崇氏インタビュー 『神咒神威神楽 曙之光』シナリオライター・正田崇氏インタビュー

――『Dies irae』ファンとしては、当時かなりビックリしました。

 いろいろと賛否があると思いますよ。自分はやりすぎたとちょっと反省しています。

――そんな『神咒神威神楽』をコンシューマに移植することとなった経緯を教えてください。

 身も蓋もないことを言うと、会社の意向なんですよ。元々、『神咒神威神楽』はコンシューマ化しようという話はあったんです。そこから、「だったら『Dies irae』もやろう」という意見も出てきて。『Dies irae』に関しては本当に移植したくなかったんですが、『神咒神威神楽』を移植するとなると、『Dies irae』もやらないとダメなので、なだれ込んだ形ですね。

――『神咒神威神楽』は、最初からコンシューマを意識した作りだったということですか?

 そんなことはないですよ。発売した後に、『神咒神威神楽』をコンシューマ化しようという話になりました。この内容なら、『Dies irae』と違ってそんなに苦労しないだろうと思いましけど、移植を前提に作ったことは一度もないし、これからもありません。

――タイトルに『曙之光』が追加されていますが、こちらの意味も教えていただけますでしょうか。

 それは、PC版をやっている人にはわかりきっていることだと思いますので、あえて言わずにおこうと思います。

→2ページ目では、追加される5つの章に迫る!

(C)2013 light

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データ

▼『神咒神威神楽 曙之光』ダウンロード版
■メーカー:light
■対応機種:PS Vita
■ジャンル:AVG
■発売日:2013年4月25日
■希望小売価格:6,300円(税込)
▼『神咒神威神楽 曙之光』
■メーカー:light
■対応機種:PC
■ジャンル:AVG
■発売日:2013年6月28日
■希望小売価格:未定
▼『神咒神威神楽 曙之光』Gユウスケ描き下ろしクロスポスター
■メーカー:アスキー・メディアワークス
■発売日:2013年3月27日
■希望小売価格:4,500円(税込)
 
■『神咒神威神楽 曙之光』Gユウスケ描き下ろしクロスポスター
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