2013年2月14日(木)
※このページには作品に関するネタバレが多少含まれている。PC版をクリアしていない人は注意してほしい。
――続いて、キャラクターについての質問に移ります。PSP版『Dies irae』のインタビュー時、書きやすい、書ききったと思うキャラはトリファ、エレオノーレ、メルクリウス、ラインハルトとお答えいただきましたが、『神咒神威神楽』の場合はいかがでしょうか?
夜刀と……常世。
――また敵ばっかりじゃないですか(笑)。
(笑)。あとは刑士郎と咲耶ですね。
▲夜刀 | ▲常世 |
▲刑士郎 | ▲咲耶 |
――ちょうど東征軍と“夜都賀波岐”が2人ずつですね。
覇吐や竜胆も好きなんですけど、ちょっと甘かったですね。もうちょっとどうにかできたはずなんですが……。難しいんですよ、あいつら。ただ、波旬は割と書ききったと思います(笑)。実を言うと、もう1本、波旬の章を作ろうとしていたんです。でも、いろいろとムリがあってやめましたね。
――波旬の章を追加するとしたら、どういった内容でどの時期になるのでしょうか?
波旬が死んだ後ですね。波旬が死んだ後、ようするに、この“座”シリーズのシステムの中核にかかわるネタをちょっと明かそうかなと思ったんです。でも、いろいろと大変なのと、作業量的なことと、「見せすぎじゃないか?」という気持ちがあって、もう少し後に取っておこうかなと。
――もう少し後、というのがとても気になりますね。夜刀を書ききったということですが、以前は●君を書ききれなかったとお聞きしていました。
大体の物書きさんは納得してくれると思うのですが、主人公やヒロインは“やっちゃいけないことが多すぎるんです”。枷が多いんですよ。だから、そこから解き放たれると非常に動かしやすい。特に自分はそういうタイプなので、主人公をやらせていた時にはできないような立場で、できなかったようなことを言わせてみると、「むしろコイツは元々そういうやつなんじゃないか?」と思った線があります。
あと、龍明も書ききったと思います。本当にやりきったよ、龍明(笑)。
――逆に書きにくかったのは、先ほどのお話から察すると覇吐と竜胆ですか?
いえ、ダントツで紫織と宗次郎です。
▲紫織 | ▲宗次郎 |
――それはなぜでしょう?
こいつらは設定上、“良心的なものがないヤツら”なんですよ。でも、一応主人公勢なので、鬼畜なことはさせられないじゃないですか? なので、一見して人のいいことをやりつつ、内は違うことを考えている。……ようは、主人公としての言い訳を考えるのがとても大変でした。
宗次郎だったら、「おまえはごちゃごちゃ言っていないで、さっさと覇吐を殺しに行けよ」と思うじゃないですか。でも、そうしたら話が続かないんです(笑)。そういうことに対する理屈付けは大変でしたね。それに、紫織は何を考えているかわからないし。
本当に難しいんですよ、この2人を主人公として書くのは。だから、コイツらを一度敵に回して書いたら、実にイキイキと書ける気がするんです。
――それで次回作のネタが1つできますね。
紫織と宗次郎は、敵に回したら普通に黒円卓のヤツらみたいになりますよ。
――宗次郎とか容赦がなくなったら相当強そうですよね。
あの2人は普通にラインハルトの下につけます。もうグラズヘイムに行っとけよと(笑)。
――“座”シリーズは本作で終わりなのでしょうか?
一応、続編の構想はあります。でも、個人的な話として、ずっと同じ世界観を書くというのは、自分の作家生命を縮めそうな気がしているんです。書きたいことはいっぱいあるんですが、そのネタを同じ世界観の中にはめていくと、どうしても狭くなってしまうんですよ。
――イメージも固定化されてしまいますよね。
そうですね。あと、このシリーズはもうガッチガチに設定が固まっているので、できることとできないことが明瞭すぎます。はっきり言ってあんまりおもしろくないんですよ(笑)。どうなんですかね? 『神咒神威神楽』だけで終わらせるのも尻切れトンボなので、そのうち何かするかもしれませんが、当分は考えていないです。
――続くかもしれないがひとまずは終わり、という認識でよろしいですか?
はい。
――“座”シリーズの2作目と3作目はコンシューマ化されました。1作目である『PARADISE LOST』のコンシューマ化やリメイクの予定はありますか?
……ないですね。自分の分身がいたらやっていると思いますけどね(笑)。もしやるんだったら、完全にリメイクをして、イチから作り直したいくらいの気分です。でも、はたしてそれが売れるのか? というのが問題です。作業量に見合った対価があればいいのですが。
昔、ユーザーに新作とリメイク版『PARADISE LOST』のどちらがいいか聞きました。そうしたら、圧倒的に新作だったんです。『PARADISE LOST』は思い出深い作品ではありますが、もう思い出のまま封印したほうがいいんじゃないかなと(笑)。
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