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2013年2月22日(金)

よりよくわかる『PS4』の凄さと魅力――キーマンの1人、SCEワールドワイドスタジオ吉田修平氏にインタビュー

文:電撃ゲームメディア総編集長・江口聡

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――5つのキーワード、ゲームの作り手が開発にかかわるということは、ソフトメーカーさんが考える事がやりやすいと言うことでしょうか?

『PS4インタビュー』

 はい。そういうことです。実はハード開発の人たちも「ハードがすごいぞ」という自慢したいわけではなく、このハードで、ものすごいゲームをつくってほしい、と思って作っているわけです。我々ゲームデベロッパーとしての意見を、ものすごく聞いてくれています。ですからハード開発の人たちの思いと、我々ゲーム開発者の思いというのが、非常に一致しているんですね。それは、コントローラとかカメラの企画とかデザインにも生かされています。

『PS4インタビュー』 『PS4インタビュー』
▲『PS4』で採用されるカメラとワイヤレスコントローラ『DUALSHOCK4』。

 ハード開発側は、どんなことがデバイス的にはできるかを知っていて「3年後にはこういったモノができるよ」「コストはこれくらいだよ」とか。我々は「それだったら、こういうことができるかな」と意見交換をして、だったらプロトタイプを作って見ましょう。ということで、『DUALSHOCK4』も、ものすごくたくさんプロトタイプを作って、SCEワールドワイドスタジオが『PS3』のゲームで試してみて、今日お見せした形に決まってきたわけですね。

――開発しやすいハードができあがった中で、SCEの意思としての『PS4』は、どのようなハードにしたいと思っていますか?

 ゲームを遊びたい人が苦労なく遊べるように……例えば時間が1時間あったら、その1時間まるまるゲームができるようなものにですね。その場にいなくても、外出先で気になった時にプレイをしたり情報を見たり、そこで対応して、家に帰ったら『PS4』で確かめたいりプレイしたり、そういうことをやりたいんです。

 ですから『PS4』は、『PS4』だけで遊ぶのではなく、そのために『PlayStation APP』という開発環境を用意して、iOSとアンドロイドのデバイス用に提供します。離れたところからでも、『PS4』にアクセスして、ユーザーさんがゲームの一部をプレイする事を可能になるのです。それは、スマホとかタブレット、『PS Vita』を周辺機器みたいにできるということです。『PS Vita』に関しては、いきなりゲームを全部遊べてしまうというリモートプレイもあります。

『PS4インタビュー』
▲PS Vitaを使った『PS4』タイトルの実機デモも行われていた。

――今までの、“PlayStation”で囲いこむという発想をちょっと崩した感じでしょうか。

 というよりも“PlayStation”の定義を広げた感じですかね。“PlayStation”の家庭用のコンソールとコントローラだけが、“PlayStation”ではなくて、“PlayStation”に繋がるデバイスから生まれる遊びをすべて含めて『PS4』と言うことです。それが次世代エンターテインメントシステムなのです。

――今までは、『PS3』も『PS Vita』も、そこがやりにくい感じでしたが……

 そのやりにくさを削っていこうとしています。まだまだ開発は続きますから最初の段階で、今話していることが、どこまでできるかというのが、我々エンジニアのがんばり次第なのですけれども。『PS3』も『PS Vita』もそうでしたけれども、ローンチがあって、定期的にアップデートしていきますのでフィーチャーも増えますし、ここが使いにくいというのは、どんどんよくしていくつもりです。

 そのゴールと目標は決まっています。だから、例えばダウンロードの待機時間をゼロにするとか、そういうようなところはいろいろあるわけです。クラウドゲームで買う前に、ちょっと遊んでみられるとか、それを全部最初からできるということはないですが、それをどんどんやっていこうというのが『PS4』の目指すところです。

――次世代エンターテインメントシステムといっている点で、ゲームの作りとはアプローチが変わって来ると思うのですが。

 ゲームもどんどんとサービスの部分が増えてきているじゃないですか。最近のソーシャルゲームは、サービス的要素がそのほとんどと言えますよね。家庭用ゲームはそうじゃないモノが多いのですが、それがこの先サービスの要素が増えていって、どっちがどっちという区別もなくなると思うのです。

『PS4インタビュー』

 そういったことがやりやすいようにしたいというのも『PS4』にはあります。まったくのサービスベースのゲームが最初っから登場するということも考えられますよね。また、メディアとしてブルーレイのディスクもありますからお店で買うというのもありますけれども、『PSVita』のように基本全部のタイトルがデジタルで提供して、大容量のタイトルはお店でも買えるようになります。

――ソフトメーカーの意見はどのようなことが多いですか?

 ゲームが作りやすいというのが多数ですね。『PS Vita』の時もそうでしたが、スタートしてから立ち上がるまでがものすごく早くて、特に今日もデモがありましたけれども『Watch Dogs』(UBIソフト)などは、昨年のE3ですでにデモされているわけですから。それは『PS4』のアーキテクチャーは、PCに非常に近いということで、PCから『PS4』に持ってくるのが非常に簡単なのです。

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▲PlayStation Meeting 2013でムービーが流されたUBIソフトの『Watch Dogs』。

 それで、PS4に持ってきたら、今度は家庭用のゲーム機なので、我々はもっと深いところまでハードを触れますから、より深く作り込みができるわけです。ただゲームをつくって、進める部分においてはPC上でほぼできてしまうのです。

――参入メーカーさんのタイトルデモを見てタイトルが揃っていると思ったのですが。

 『PS3』が登場してから長い期間が経っているので「もうそろそろ次世代機が登場するのでは?」とここ最近は、ずっと言われていました。特に欧米ではそうなのです。

 ユーザーさんも去年あたりから、PC版のゲームを見て、PCの方がグラフィックがいいのではないかという感じなっていて(これの対抗した新しいハードを待望して)、ソワソワしていたんですね。そろそろ家庭用も『PS3』から『PS4』になるべきという感じで開発者側もユーザーさんも待ち望んでいた、そういうタイミングだと思っています。

――本日はありがとうございました(現地時間2月20日収録)。

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