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2013年3月5日(火)

2,297人の頂点に輝いたのは? 『マジック:ザ・ギャザリング』グランプリ横浜2013決勝ラウンドを振り返る

文:カワカミ雁々

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<決勝戦>

 いよいよ2,297人の頂点を決める決勝戦がスタートした。その第1ゲームは北山選手の3ターン目《聖堂の護衛》からスタートというゆっくりした展開。その後《聖堂の金切り声上げ》を追加するが、趙選手はこれを除去し、逆に《欄干のスパイ》で制空権を主張する。

 さらにこれを《鍵達人のならず者》で自ら手札に戻し《聖堂の護衛》にブロックされない攻撃陣を作り上げる。北山選手は《ザリーチ虎》と《スラルの寄生虫》をプレイし、ライフを維持しつつ“強請”によって趙選手を攻める姿勢を見せる。

『マジック:ザ・ギャザリング』 『マジック:ザ・ギャザリング』
▲“強請”能力によって攻撃せずともライフを奪っていけるのが白黒の“オルゾフ”デッキが持つ強み。

 攻撃を重ねてもなかなかライフを削れない趙選手はさらに《門なしの守護者》をプレイ。パワーが低い片山選手の攻め手をシャットダウンしたかったが、北山選手は《忌まわしい光景》でこの天使を除去し、戦線を突破する。

 これで北山選手の勝利かと思われたが、趙選手は《オルゾヴァの贈り物》を引き込み、攻め手を強化すると共にライフを回復する手段を得る。しかし北山選手は《オルゾヴァの贈り物》つき《欄干のスパイ》の攻撃をブロックすると、ダメージを与えあう前に《地底街の住人》で生け贄に捧げ、趙選手のライフ回復を許さない。

『マジック:ザ・ギャザリング』 『マジック:ザ・ギャザリング』
▲サイズを上げると同時に“飛行”と“絆魂”を付与する強力な《オルゾヴァの贈り物》だが、クリーチャーにダメージを与える前にそのクリーチャーが《地底街の密告人》で生け贄に捧げられ、ライフを回復できなかった。北山選手のテクニックが光る。

 そして、返しのターンに2まで減っていた趙選手のライフを2回の“強請”で奪い切り、まずは勝利を収めた。

『マジック:ザ・ギャザリング』
▲お互いにライフが少ない状況だが、ライフを回復させる手段を持っているので勝利までの道筋が見えにくい複雑なゲームとなったが、最後は複数の“強請”持ちクリーチャーにより、北山選手がキッチリと趙選手のライフを0にした。

 2ゲーム目は、マリガンをしたあと土地1枚でゲームを始めた北山選手が土地を引けないでいるうちに、趙選手が《雲ヒレの猛禽》を皮切りに《ディミーアの魔鍵》《鍵達人のならず者》と流れるように展開。相手の体勢が整う前に圧倒的に有利な場を築き上げ、北山選手が投了。運命の3ゲームへともつれ込むことになった。

『マジック:ザ・ギャザリング』 『マジック:ザ・ギャザリング』
▲猛烈な攻めはあまり得意でないとされる“ディミーア”の青黒というカラーだが、その気になれば対処しにくいクリーチャーたちによってライフをけずり取ることも可能だ。

 グランプリ横浜の最終戦となる3ゲーム目。北山選手は、1つ前のゲームがウソのように素晴らしい展開を見せる。1ターン目《スラルの寄生虫》から《カルテルの貴種》を2連打! さらに《宮廷通りの住人》と4ターンで4体のクリーチャーによって攻めかかる。

 対して趙選手は土地が《島》2枚で止まってしまい、《雲ヒレの猛禽》を《大都市のスプライト》で1回“進化”させるのみ。しかし、この“進化”によって乗った+1カウンターは《スラルの寄生虫》の能力で取り除かれ、《雲ヒレの猛禽》は再び無力なクリーチャーに戻ってしまう。

『マジック:ザ・ギャザリング』
▲動きの芳しくない趙選手に対し、猛攻を見せる北山選手。ライフ差を21対5とし有利を決定的なものとする。

 そして、そのまま北山選手がクリーチャーの群れで趙選手を圧倒し、グランプリ横浜のチャンピオンとなった!

『マジック:ザ・ギャザリング』
▲グランプリ王者の栄冠をつかんだ北山雅也選手。優勝トロフィーとともに1枚。

■グランプリ横浜2013優勝・北山雅也選手ショートインタビュー■

 グランプリ横浜決勝ラウンドレポートの最後に、見事優勝した北山選手に行ったショートインタビューをお届けする。

――グランプリ横浜、優勝おめでとうございます。

北山選手:ありがとうございます。

――今回は『ギルド門侵犯』を使ったシールドとドラフトのグランプリでしたが『ギルド門侵犯』のシールドやドラフトでは、どういうところが重要なのでしょうか?

北山選手:この環境は2色でデッキを組めることがまれで、大体3色になってしまうんですよ。でも3色になるとどうしてもマナ事故・土地事故のリスクがあるので、いかにマナベースを安定させるかというのがポイントだと考えています。

――爆発力のようなものより、安定性のほうが大事であるということでしょうか。

北山選手:理想を言えば、毎回白赤2色の“ボロス”ギルドで組めたらいいのですが、シールドなどでは、そううまくはいかないので、やはり3色になってしまいがちです。そういう時にどう安定させるか、ということですね。

――決勝ラウンドのドラフトについてお聞かせください。決勝では白黒の“オルゾフ”デッキを作成されていました。その戦略や狙いについて教えていただけますか。

北山選手:まず、今回の自分の戦略として「黒をやりたい」というものがありました。黒のカードを取って、そこから白いカードが来れば白黒の“オルゾフ”に、青いカードがくれば青黒の“ディミーア”にしようと考えていました。実際に、本戦中の2回のドラフトではそれぞれ“ディミーア”と“オルゾフ”を組んで戦い、好成績を残せたのでよかったかなと思っています。

――ギルドではなく色で選ぶということなんですね。

北山選手:《忌まわしい光景》のような強力なカードが黒のコモンにあるので、まずはそういったカードをピックして、それから青に行くか白に行くかを決めながらやった感じですね。

――ちなみに、グランプリ中の3回のドラフトでは何をファースト・ピックとしたのでしょうか。

北山選手:本戦中のドラフトはどちらも《忌まわしい光景》、決勝ラウンドは《聖堂の金切り声上げ》ですね。黒で一番欲しいコモンが最初のパックにあってくれたのでよかったです。

――まだ『MTG』を始めたばかりで、なかなかシールドやドラフトのデッキを組むコツがつかめない、というプレイヤーの方にアドバイスをいただけますか?

北山選手:ドラフトについて言えば「強いカードをただ入れるだけではいけない」ということですね。強いがマナ・コストの重いカードばかり集めても、強いデッキにはなりません。序盤からスムーズに展開できるかどうか、安定した動きができるかどうかを考えてカードをピックしていくことだと思いますよ。

――ありがとうございました。

『マジック:ザ・ギャザリング』
▲2日間に渡る長丁場を戦ったあとでも非常に丁寧にインタビューや撮影に応じていただきました。あらためて北山選手、おめでとうございます!

 こうして長い戦いが終わり、2013年初の国内グランプリであるグランプリ横浜は、大盛況のうちに幕を閉じた。今年、国内では京都と北九州でグランプリが開催される。グランプリには予選などもなく誰でも参加でき、またサイドイベントなども豊富に用意されているので、今回の盛り上がりを見て『MTG』に興味を持った方はぜひグランプリに足を運んでみてほしい。

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データ

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