2013年3月9日(土)
電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第70回となる今回は、『俺の天使(アイドル)は恋愛禁止』を執筆した美月りん先生のインタビューを掲載する。
▲亜方逸樹先生が描く『俺の天使(アイドル)は恋愛禁止』の表紙イラスト。 |
本作の舞台は、全国民がはっきりとランク付けされている完全格差社会。その中で最底辺のCランクに属する少年・佐藤永久と、最上級のAランクにいてもおかしくないのにCランクに属する美少女・小野寺ソフィアの関係を軸にしたボーイ・ミーツ・ガールストーリーが展開していく。
単なるラブコメもの……というのではなく、とある理由からアイドルを目指して努力するソフィアの姿や、Aランクの人間にもへつらうことなく接していく主人公・永久の姿がしっかりと描かれていく本作。美月先生には、本作のセールスポイントや小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。
――この作品を書いたキッカケを教えてください。
格差社会をテーマにした物語をずっと書きたいと思っていました。同時に、アイドルをモチーフにした物語もずっと書きたいと思っていました。提出したプロットがことごとくボツになって頭を悩ませていた時に、ふと、「この2つを一緒にしちゃえばいいじゃん!」と思ったんです。そしてこの作品が生まれました。
――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?
本作品は格差社会をテーマに扱った学園芸能ラブコメです。その才能によって、子どもですらABCとランク分けをする近未来。Cランクの主人公は、その中で色んな人に出会って成長をしていきます。そしてその結果、あこがれのアイドル“七大天使少女”に近付くことができます。そしてその自信が、今までの自分を変えていく……。
若輩者の私ですが、それでも今まで生きてきて思ったことは、出会いの大切さでした。“誰と出会うかで、人生が大きく変わることもある”そんなことを伝えたくてこの作品を書きました。だから、キャラクター設定に関してはその生い立ちまで深く突っ込んで考えました。たくさんの登場人物の中から、共感できるキャラクターを見出していただけたら幸いです。
小説のキャラクターだって、それも出会いのひとつですから。
――作品を書くうえで悩んだところは?
“七大天使少女”のアイドルシステムですね。自分自身もアイドルが好きなので、設定やキャラクターはすぐに思いついて楽しく書いていたのですが、アイドルのシステムを考えるとなると頭を抱えました。このアイドルシステムとSNSサイト“天使電脳世界”だけの企画書も別に書きました。そのやりとりを担当さんとしている時は、自分は小説ではなくこのアイドルとサイトを実際に作ろうとしているのかと錯覚しそうになりました(笑)。
――執筆にかかった期間はどれくらいですか?
執筆じたいの期間は3カ月くらいです。プロットのやりとりと改稿に苦労しましたので、それを含めますとなんだかんだで半年かかりました。
――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。
主人公は自分が高校のころに持っていた劣等感をそのまま投影しています。常に何かに憤っているけれど、かといって何をするわけでもない……永久くんがいろんな人に出会って変わっていくこの物語は、そんな過去の自分に助け舟を出しているのかもしれません。ちなみに頼れる年上のお姉さんである美咲さんは、自分が高校の時にこんな人に出会っていればなぁという理想の人です。
――小説を書こうと思ったキッカケは?
小説家になるのは幼少の頃からの夢で、自分で作った物語をノートに書き溜めたりしていました。そのまま成長した私は、就活から逃げるように「小説家になる!」と宣言したのですが、その実はアルバイトや派遣社員がメインの時々ライターでした。これではいかん!と一念発起し、仕事を辞めて小説を書きました。
――初の商業作品というところで、その感想は?
本当にたくさんの方々が自分の作品に関わってくれているのだなぁというのが一番の感想です。それと同時に大きな責任感を感じました。ずっと販売業をしてきたこともあり、自分の本を読者さんがお金を出して買ってくれる、ということがとても重くありがたいことだと思いましたから。本当に今までの人生で、一番色んな人に感謝をしました。
――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?
エンターテイメントであること、にこだわっています。遊園地みたいな物語を常に書いていきたいです。
――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?
映画を見ることです。なるべく何も考えなくていいようなエンタメ系のものをセレクトします。気分転換をするとアイデアが浮かぶので。あとは音楽PVを見ること。短時間で感性を刺激してくれます。
――今後、どういった作品を発表していきたいですか?
いわゆる戦隊ヒーローや変身ヒロインのように、いろんなカラー(性格)のキャラクターが一丸となって戦うという設定がとても好きなので、バトル物に限らずそういう作品を書きたいです。
――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?
コント番組の『笑う犬』シリーズをビデオに録画して繰り返し見ていました。お笑いが好きで、当時は放送作家になりたかったです。ただそもそもが影響されやすい性格でしたので、小説・漫画・映画……と見たもの読んだものにその都度感化されていた気はします。
――今熱中しているものはなんですか?
アイドルのライブやイベントに行くことです。最近は男装アイドルの風男塾さんにハマっています。
――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。
最近は時間がなくてゲームをするひまがないのですが、ノベルゲームやホラー系が昔から好きですね。『クロックタワーシリーズ』や、『マリア 君たちが生まれた理由』、『トワイライトシンドローム』などなどの系統が好きです。
――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。
多種多様なかわいい女の子キャラクターがたくさん出てきますので、ぜひあなたの推しメンを見つけてください!
(C)美月りん/AMW
イラスト:亜方逸樹
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