すべてが輝いていた宝箱のような少年時代がここに――小さな町で巻き起こる大事件の謎を解く3DS『怪獣が出る金曜日』レビュー

文：まり蔵

　3月13日にニンテンドーeショップにおいて配信がスタートした3DS用ダウンロード専用ソフト『怪獣が出る金曜日』のレビューを、電撃オンラインのまり蔵がお届けします。

　『怪獣が出る金曜日』は、レベルファイブが贈るオムニバスゲームシリーズの最新作『GUILD02』の中の1本です。前作『GUILD01』は4つのソフトが1つのパッケージに収録されていましたが、『GUILD02』は3つのゲームが1つずつダウンロードソフトとして配信されます。今回は3本の中でもっとも早く配信が始まった、怪獣が出る世界体験シミュレーター『怪獣が出る金曜日』について紹介したいと思います。

　まり蔵がなぜこのゲームをプレイしたか。理由はとてもシンプルで、ミレニアムキッチンの綾部和さんがディレクションをしているからです。ミレニアムキッチンと言えば、なつやすみアドベンチャー『ぼくのなつやすみ』シリーズでおなじみですね。まり蔵はこのシリーズがそれはもう大好きで、『怪獣が出る金曜日』が発表された時、綾部さんの名前を聞いただけで購入することを心に決めました。前情報を一切シャットアウトして配信日に一気にクリアしたまり蔵が、つれづれなるままに本作の感想を書いていこうと思います。

■昭和46年 東京・世田谷――小さな町内が世界のすべてだった

　時は昭和46年の夏、まだ自然が残る東京・世田谷の町“藤の花”が『怪獣が出る金曜日』の舞台となります。主人公は、藤の花駅前商店街にあるクリーニング屋のひとり息子・そうた。TVの怪獣が出るヒーロー番組が大好きな普通の少年です。物語は、そうたの一家が藤の花に引っ越してきたところから始まります。プレイヤーは“そうた”となって、前半は「金曜日に怪獣が出る」と噂される小さな町を駆け回りながらさまざまな謎を解き、後半は“怪獣”と対峙することになります。

　本作は、いくつかの“エピソード”を進めることによって進行していきます。最初は1つのエピソードを終えたら次に移行するのかと思っていたのですが、実際は複数のものを同時並行でガンガン進めていく形でした。エピソード2を終えていないのに8をクリアしたというパターンが多々あるので、特定のエピソードをなかなかクリアできなくても心配は無用です。あと何をしたらいいのかわからなくなった時も、タッチ画面に表示される町のマップに、次はどこへ行くべきかヒントマークが表示されます。うっかり自分を見失ったら、マップを頼るといいでしょう。

　客観的に見て“藤の花”はすごく小さな町なのですが、そうたにとってはこれが世界のすべて。子どもの目線で走り回っていると、“藤の花”がとても大きな町に感じられるから不思議です。それには、マップ移動時のカメラワークが関係している気がします。

　あるマップではサイドから映しているのに、次のマップは俯瞰（ふかん）だったりと、本作はマップ移動時の視点がめまぐるしく変化します。ちょっとした一本道を移動するのに、3回視点が変わることも。おかげで町が大きく感じられ、冒険をより楽しめます。ただ、そうたの移動速度は基本的に一定なので、町の端から端に行きたい時、ちょっとだけ“自転車”が欲しくなったのはナイショです。

　エピソードを率先して進めるのもいいですが、ある程度落ち着いたら一度町をぐるっと回ってみることをオススメします。のんびりとした雰囲気の商店街、情緒あふれる裏路地、美しい川などを眺めつつ、なぜいたるところに怪獣の足跡があるのか、なぜ隕石の落下跡があるのか、そんなことを考えながらこの町をすみずみまで堪能してください。何をするでもなく、ただ美しく懐かしい景色を眺めることも本作の楽しみ方の1つだと思いますので。

　あと、声を大にして言いたいのですが、必ず音を聞きながらやっていただきたい。屋外などでプレイする方は、イヤフォン必須です。BGMの虫の音色や川のせせらぎがすごく耳に心地よいので。これらの音を耳にしながら、ぜひ商店街を、野原を、川のほとりを駆け回ってください。

→次のページでは、キャラクターやカードバトルについて紹介！（2ページ目へ）

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データ

関連サイト

• 『GUILD02』公式サイト