2013年4月15日(月)
――『rain』は海外のゲームショウなどでも発表されましたが、海外の反応はいかがでしたか?
鈴田:好意的な意見を多くいただき、非常にうれしかったです。最も印象的だったのは、アメリカのユーザーさんの「雨音や水たまりをバシャバシャとする感じが、子どもの頃を思い出す」というものでした。そのような気持ちになってもらうことが制作の狙いであったと同時に、言葉がなくても理解し合える世界共通の感覚なのだと感じましたね。
池田:そういえば、最初はゲーム中にパラメータなどのゲージを表示することも検討していたんですが、海外からは「まったくないほうがよい」との声が多かったんですよ。
――ゲージなどがないことで、ビジュアルや音での表現が豊かになっている印象ですね。
鈴田:各ゲージなどがない状態でのプレイを試行錯誤したんですが、十分遊べることがわかりました。もともとプレイヤー自身が世界に没入していくことがメインになっていますので、そこにパラメータは不要なのだと改めて気付かされました。コンセプトにもありますが、ゲームの中へ迷い込ませるのは難しい。余計なものがあると、すぐに冷めてしまうんですよ。ですから、できるだけシンプルにすることを心がけ、ゲームに迷い込んでいる感覚を持続させることを一番の軸にしています。
池田:そうですね。メニュー画面などは、できるだけシンプルなものに抑えたデザインになっているんです。副産物的になりますが、結果的にゲームが快適に動作するようにもなったのはうれしいですね。また、ビジュアル以外にも音にも力を入れていまして、ゲームでは主人公が怪物に発見された場合は、一度怪物が吠えてから接近してくるようになっています。プレイヤーとしては、画面のどこを見ているかわからないため、怪物に吠えさせることで存在を気付かせ、逃げるまでの余裕を持たせました。先ほどの表現が豊かになったという話にも関係しますが、制作段階で音、映像、怪物の動きを相互に補完できるように作り込んでいまして、見た目にもかなりいい出来栄えになっていると思いますよ。最もプランナーさんが大変なのですが(笑)。
――ゲームの中に迷い込ませるという話が出てきましたが、操作説明などのメッセージなどにも、ものすごく気を使われていますね。
池田:そうですね、キャラクターが「○ボタンで走れるぞ!」としゃべると、やっぱり「ゲーム中のキャラが○ボタンって知ってるのか」と突っ込みが入ってしまう(笑)。実際にテキストとして出してみましたが、違和感がありましたね。
鈴田:ユーザーさんに楽しんでもらうよう丁寧に作っていますので、ゲーム中では気付かないレベルに落とし込んでいますのでご安心を(笑)。
池田:それにボタンも多くは使用しないので、すんなりと遊んでもらえると思います。
――『rain』という作品のなかで、ここは変えられないという部分はどこでしょうか。
池田:制作中にゴールが見えていくなかで、どこまで丁寧に作り込むかということです。デザイナーさんと話をしたところ、「マジメに作っていこう」という話がありました。1つ1つきちんとするしかないんです。何か1つアイディアを出したら、飛躍的におもしろくなるということは絶対にない。場面ごとに吟味しながら、この場面ではカメラの切り替えを早くとか、この場面ではライティングを明るくとか、少しずつ丁寧に作るんです。それはサウンドに関しても同様ですね。
――最後に、この不思議な作品を期待している読者にメッセージをお願いします。
池田:ユーザーのみなさんからの期待は非常に感じていまして、その期待を裏切らないものが完成するだろうと自負しています。トレーラーを見て感じ取れた期待を、そのまま実現するような形でお届けしたいと思います。
鈴田:トレーラーを見たユーザーの皆さんが予想されているような「こうなるだろうな」がそのとおりになるべく進んでいます。予想を楽しんでもらいたいです。
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