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2013年4月19日(金)

版権タイトルの参戦はある? グリー子会社が仕掛けるTCG『ジーククローネ』の開発者インタビューをお届け!

文:カネキング

 電撃カードゲーム担当編集のカネキングです。今回は、グリーエンターテインメントプロダクツが手掛けるTCG『ジーククローネ』の、開発者インタビューをお届けします。

『ジーククローネ』

 3月下旬ごろ、“グリーがTCG(トレーディングカードゲーム)業界に参入”というニュースが飛び交い、衝撃を受けた方もたくさんいらっしゃったかと思いますが、正確にはTCGを展開するのはグリーの子会社であるグリーエンターテインメントプロダクツさんになります。

 こちらは、昨年9月に設立された会社で、グリーさんが保有するIPのライセンスアウトをはじめ、ゲームのキャラクターの商品化、販売などを行うライセンス&マーチャンダイジング事業を手掛ける会社になります。ソーシャルゲーム・ソーシャルメディアなどを展開するグリーさんに対し、グッズなどの商品を販売する事業を行う会社ということですね。

 今回の記事では、そんなグリーエンターテインメントプロダクツのカード事業部部長・原田考多さんと、『ジーククローネ』の開発を担当した、カード事業部の商品開発・井上智代さんにインタビューを行いました。どういった経緯でTCG業界への参入を決めたのか、そして気になる『ジーククローネ』の展開などについて質問をぶつけてきましたので、ぜひご覧ください。

『ジーククローネ』
▲画像左が原田さん、右が井上さん。TCGに対する熱い想いを語ってもらいました。

■カードゲーム事業を始めようと考えたきっかけは?

――まず、グリーエンターテインメントプロダクツさんがTCG業界参入を決めた経緯を教えていただけますか?

原田考多さん(以下、原田):我々が所属している、グリーエンターテインメントプロダクツの設立の経緯からご説明します。グリーエンターテインメントプロダクツは、“ソーシャルゲーム発の文化を作る”というコンセプトのもと設立されました。過去にゲームやアニメなどのコンテンツからさまざまなキャラクターがその枠を飛び出して、よりお客様に身近なところへ広がっていくことで、世代を超えて長く愛されるようになっていったのと同じように、我々が展開しているソーシャルゲームも、よりお客様に長く愛されるためには、そういった展開が必要だろうという考えています。

――グリーさんとは異なり、リアルな市場を視野に入れた会社ということですね。具体的には、どういった事業を手掛けられているのでしょうか。

原田:ソーシャルゲーム発の文化を作る手段として、ソーシャルゲームから出てきたものを、コミックやアニメ、商品にすることが挙げられます。当社はその中で商品化を手掛けています。商品化の中では、2つの大きな軸で事業を進めております。1つはキャラクターグッズ事業で、キャラクターの雑貨や文具などを扱う事業になります。そしてもう1つは、カードゲーム事業です。

――カードゲーム事業を選ばれたのには、どういった理由があるのでしょう。

原田:まず、市場自体が伸びているということが大きいです。あとは、“GREE”の多くのお客様が、モバイルのカードゲームで遊んでくださっているという点ですね。広義のカードゲームになじんだお客様が“GREE”にはたくさんいらっしゃいますので、親和性は高いと思います。そして、モバイルのカードゲームが持つイラストなどの資産を活用できるという点も、相当に魅力的だと思っています。これがカードゲーム事業をやろうと考えたきっかけになります。

――ソーシャルゲームといえばカードゲームが人気がありまからね。おっしゃる通り、アナログのTCGとの親和性は高そうです。

原田:あと、グリーエンターテインメントプロダクツという会社を立ち上げたのには、我々の事業が“ソーシャルゲームの販売促進だけを目的としたものではない”という理由もあります。あくまでキャラクターグッズやカードゲームの範疇で、事業体として成立させて、お客様に喜んでいただける。それがお客様に長く訴求できることになるだろうと考えて、会社を立ちあげることになりました。もちろん結果的に、ソーシャルゲームとの相乗効果があるといいという思いはあります。

――新規にカードゲーム市場に参入するということで、市場調査などは行われましたか?

原田:これまで市場を作ってこられたいろいろなメーカーさんたちの取り組みなどは、非常に参考にさせていただいています。調べれば調べるほど、奥が深いなと正直思いました。よい取り組みは積極的に取り入れていきたいと思っていますし、我々ならではの取り組みも、展開していきたいと考えています。

――従来のデジタルな商品とは違い、リアルな商品を販売するにあたり、苦労などはありませんでしたか?

原田:猛烈に苦労しました。グリーはこれまでにコンテンツやサービスしかお客様に提供したことがなかったので、形のある商品を作って、お客様の手に届けることが初めてだったのです。当然ですが、流通網も、お店様とのコミュニケーションも「初めまして」から始まっています。それに加えて、カードゲームの特徴として、お客様に遊んでいただける場を提供するというのが、重要性が高く、かつ、ものすごく大変だとは感じています。これは他社さんに習って、我々もきちんと力を入れてやっていきたいと思い、一から調べてやってきました。

――先ほど奥が深いというお話がありましたが、どういったところに奥の深さを実感されましたか?

原田:遊んでいただける場所をきちんと提供していくというのが、ある程度想定はしていたものの、準備も含めて思っていた以上に奥深いと思っています。ここまでお客様に遊び場を提供しながら、商品を理解してもらうという事業ってそうないと思うんです。それがインターネット業界から参入する我々にとっては、チャレンジだなと感じました。

――カードゲームは、対戦相手がいないと成立しないゲームですからね。TCG業界参入の情報が公開された際、新規参入のメーカーさんということで、ゲームを遊ぶ場所についてのサポート体制がどのようになっているのか気になりました。

原田:“GREE”のソーシャルゲームで既にカードに慣れ親しんだ方もいらっしゃいますし、またこれまで培ったユーザー基盤もあるので、リアルなカードゲームについてもリーチはある程度できるのかなと考えていました。しかし、実際はお客様にカードゲームを始めてもらうのはかなり敷居が高いと感じています。従って、遊ぶ場所をメーカーとしてきっちり提供するというのは、事業を進めていくにあたり、本当に気を付けているところですね。他のゲームに比べて、遊ぶ場所や機会が少なかったり、友だちがやっていなかったりという状態にはならないように最善を尽くして努力していきます。「どこまでサポートしてくれるんだ?」という考えはお客様に当然あると思っていますので、そこをきちんと示して、安心して遊んでもらえるようにしていきたいです。

――それを聞いて安心しました。無料体験版の配布も先日発表されましたが、こういった取り組みも、ユーザーの敷居を下げるための施策なのでしょうか。

原田:はい。4月末からは、無料体験版“戦乱の行進曲(ファンファーレ)”をカードショップさんや量販店さんで配布します。まずは、とにかくお客様に一度触って遊んでみていただきたいと考えています。

――無料体験版というのは、具体的にどういったものになるのでしょうか。

原田:デッキ50枚のカードが印刷されたシートと、プレイシート、ルールブックがセットになっています。店頭などで4月末から配布されますし、4月27日にはPDFデータを公式サイトで公開する予定です。

『ジーククローネ』
▲配布される無料体験版。パンフレット形式になっていて、中にカードやルールが印刷されたシートが入っています。

――台紙からカードを切り取って、カードと一緒にスリーブに入れれば、無料でゲームを体験できるという仕組みですね。体験イベントなども予定されていますか?

原田:5月から、ティーチングイベント“ディーラーズキャラバン”をスタートする予定です。すでに、かなりの店舗様にお申し込みをいただいています。

→カジュアルに遊べつつも奥深いシステムを目指して(2ページ目へ)

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