2013年5月9日(木)
──次は、世界観についておうかがいします。今回“東のミカド国”と“東京”という、対比というか、まったく正反対の世界が登場しますよね。それぞれの世界について、簡単に説明をお願いします。
先ほどちらりとお話しましたけれど、原案は金子からもらったものです。東のミカド国っていうのは、見ての通り中世ヨーロッパ風の世界ですね。城塞都市というか、お城を中心に世界があります。“カントー”っていう大地にあって。
──カントー……意味深ですね(笑)。
とても平和な国なんですけど、だったらなんで、お城を中心とした城塞都市になっているのか……。ここが金子にもらった発想でおもしろいところなんですけど、普通、城塞都市っていうのは内部への侵攻を防ぐものですよね?
──そうですね。外敵から街を守るための作りですよね。
でも、東のミカド国のそれは、内部から出てくる敵を防ぐような構造になっている。そして、そんな国を守るために戦うための組織・サムライ衆という人々もいる。彼らはいったい、どこで何と戦うことになるのか? その辺りに注目していていただければ。
──なるほど、その真相はゲームを遊んでからのお楽しみってことですね!
ネタバレはできるだけ少ないほうが、遊んだ時の驚きも大きいと思いますので。ただ、もう少しだけ説明しておくと、東のミカド国には争いがほとんどないんですよね。この国で暮らす人々は“ラグジュアリーズ”という管理階級と、“カジュアリティーズ”という労働階級に分かれていて、ラグジュアリーズがカジュアリティーズを管理する形で暮らしています。争いなんてほとんど起きません。
──普通に考えれば、生まれが違うだけで管理されることに疑問を持つ人もいておかしくない気もしますが……。
それは、この中世風の世界に理由があります。要するに、ラグジュアリーズはカジュアリティーズに必要な情報を与えない。何も気付かせず、疑問を抱かせないんです。いわゆる、情報統制ですね。
──本当の意味で、管理されているんですね。
はい。そして、そんなラグジュアリーズの象徴となるのが“修道院”という組織です。東のミカド国は王政国家で、アハズヤミカド王という王様がいるんですけど。実際のところ、王は象徴でしかなくて、政治のほとんどは修道院が仕切ってます。ここは日本の政治でいうところの“官僚システム”がモデルになってます。
あくまでも私見ですが、実際、日本も国会議員や総理大臣が変わっても、国は正しく運営されてますね。それは外務省とか、いわゆる官僚が動かしてくれているから、ではないでしょうか。東のミカド国も、それと似たような体制になっていると思ってもらえれば。
▲“修道院”が政治を取り仕切る東のミカド国。その政治システムは、日本の官僚システムを参考にしたとのこと。 |
──一方、東京についてですが……。
これは残念ながら、今の段階ではほとんどお話できないんです。ただ、東のミカド国とはまったく状況が異なっていて、悪魔がそこかしこを跳梁跋扈しています。人々は、そんな悪魔にビクビクしながら生きているんです。
──東のミカド国とは本当に対照的ですね。
そんな中、阿修羅会という集団が悪魔とある取引をして、地下街に住んでいるかぎり、人間を襲わないようにするという約束を取りつけました。その取引がどのような内容のものか、そもそもどうして東京に悪魔がはびこっているのかなどは、物語の核心となってくるので、ぜひゲームを遊んで確かめてもらいたいです。
──なるほど。
ちなみに、謎だらけのこの東京ですが、冒険の舞台としてはかなり広いです。初めて訪れたプレイヤーさんは、きっとびっくりされるんじゃないですかね。
──確かに、かなりびっくりしましたね。びっくりと言えば、景観もかなりリアルに作り込まれていて驚いたんですけど。これって、相当ロケハンしていますよね?
もちろん、かなり行っていますよ。担当のデザインスタッフが、相当な数の写真を撮っています。ちなみに、渋谷も舞台として登場するんですけど、現実の渋谷ではもう少しすると、駅の再開発工事が始まっちうんですよね。個人的に、工事が始まる前に出せてよかったなぁってホッとしています。
▲新宿や渋谷など、東京やその近辺に住む人々にとってはなじみ深い場所も多数登場。こちらは新宿にある東京都庁舎をモチーフにしていると思われる。その作り込みに脱帽!! |
▲あえて、お祓いには行かなかったと語る山井氏。ある意味“悪魔の力すら借りる”くらいの意気込みで、本作の開発を進めてきたとも解釈できる。 |
──ちなみに、ロケハンとは少し違う気がしますけど、今回はお祓には行かれたんでしょうか?
ああ、きましたねその質問(笑)。お祓いはですね……、正直に言うと行ってないです。『真・女神転生』シリーズといえば、お祓いに行くのがすでに伝統となっている部分もありますけどね。
ただ、これはあくまでもオカルトマニアの僕のポリシーなんですけど、悪魔とこれだけ密接に絡むゲームなんだから、ちょっとくらいついていたほうがいいと思うんですよね。こんなゲームを作ってるのに、悪魔を祓っちゃったら失礼というか、誠意がないというか……。まぁ、あくまで僕個人の考えなんですけどね。それで僕自身が多少呪われて、苦しんでるくらいならちょうどいいのかなってくらいの意気込みで。今のところ、そのような症状は出てきていませんけど(笑)。
──それでは最後に、期待して待っているファンへ向けてメッセージをお願いします。
今回、いろいろと新しい要素を盛り込んだことで、不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。ただ、開発にかかわった人間は本当にマニアックなメンバーですので、実際プレイしていただければ、「変わった部分も多いけど本質は『メガテン』だな」と感じていただけるものに仕上がったと思ってます。本当はここで全部話してしまいたいくらいのサプライズもたっぷりあるんですけど、やっぱり、実際に遊んでもらってから驚いてもらいたいので、あえて我慢している部分もたくさんあります。少しでも興味がある人は、ぜひプレイしてみてください。どうぞよろしくお願いいたします。
──本日はどうもありがとうございました!
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