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2013年6月19日(水)

『ドラッグ オン ドラグーン(DOD)』シリーズの裏話を柴プロデューサーが暴露!? 『DOD3』の使徒のデザイン秘話も掲載

文:タダツグ

■シリーズ最新作『DOD3』は“魔法少女モノ”になる!?

松下:ここで閑話休題というか、ちょっと柴さんに聞きたいことがあります。このタイミングで『DOD3』を作るのは、かなり英断だなと思ったんですよ。『DOD2』から7年も経っているわけですし。どのような心境で、制作を決心されたんですか?

:英断でしたかね? 僕ら的には今がちょうどいいというか、タイミング的にピッタリだと思っています。いわゆる“オタクコンテンツ”って10年前より断然市民権を獲得してますけど、ここ最近、そういうディープな作品があまりリリースされていないじゃないですか。『DOD』のような濃い作品を待ってくれているお客さんは少なくないと思ったんです。

松下:なるほど。確信があって、シリーズ再開の大号令をかけたわけですね。

:本当に、このタイミングしかなかったと思います。ヨコオさんのスケジュールとか、藤坂さんのスケジュールとかを考えると。たまたま空いてたのか、それとも無理やり空けてくれたのかはわかりませんけど、僕も含めて3人のスケジュールがぴったり合致しました。ヨコオ、藤坂、柴の誰が欠けてもやらないプロジェクトだと最初に決めていたので、本当に奇跡的なタイミングでしたね。

松下:運命的な展開じゃないですか。別々の道を歩んでいた仲間が、10年後に成長して再会する的な。

:10年というと短い期間じゃありませんからね。僕自身、ゲームの作り方とか、プロデューサーとしての力の入れどころや抜きどころが、ようやくわかってきたとは思っています。それを含めても、やっぱりこのタイミングだったんじゃないですかね。

『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズ
▲オリジナルスタッフである3人がそろわなければ、産声をあげることはなかった『DOD3』。開発は順調(?)に進んでいるとのことなので、続報に期待しています!

 『DOD1』を立ち上げた当時、僕はまだ24歳くらいでした。自分にとって、ほぼ初めてのオリジナルタイトルということもあり、力の入れ具合がわからなかったんです。今振り返ると、それこそこのキャラの服の色がどうとか、髪の長さがこうとか、かなり細かいところまで意見していたのはよくなかったな、と。そのせいで、ヨコオさんとぶつかった部分もあった気がします。

松下:では今回は、ヨコオさんを全面的に立てる形で、あまり柴さんのカラーを出そうとは思っていないと?

:口を出すべきでないところは、ほぼ言ってないですよ。まぁ、花くらいですかね。

松下:花? ゼロの目の花ですか?

:ええ、ゼロの目の花。アレにはさすがにツッコみました。「なんで目に花が生えてるの?」って。あれ、ビックリしませんでした?

松下:ええ、ビックリしました。あれはヨコオさんの発案なんですよね?

藤坂:あれは僕の発案です。

松下:え?

『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズ
▲藤坂さんにより生み出された、ゼロの目に咲く花。

:そうです。あの花は藤坂さんの仕業。しれっと描いてきたんですよね。何も言われていないのに。

藤坂:開発初期は細かい部分が決まっていないので、アイデア出しも含めて自由に描いたものです。

:それに対して、ヨコオさんがしっかり設定を考えてくれました。後付け設定として。

松下:後付け設定!?

:正確に言えば、デザインありきで生まれた設定ということですね。藤坂さんに刺激されて、ヨコオさんが設定を付け足したってところです。今だから言うけど、『DOD1』のヴェルドレの契約の代償は体毛って設定じゃないですか。アレも後付けですからね!(ビールを勢いよく飲む)

松下:え、そうなんですか?

『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズ
▲笑撃の事実!! 藤坂さんの気分しだいでは、ヴェルドレの頭がふさふさだった可能性も!?

:毛っていうのがいいですよね。契約までしておいて、その代償が毛。「そんな後付けありかい!」と(笑)。花もそうですし、藤坂さんが描いたものが物語に絡んでくるというのは、実はよくあることなんですよ。

藤坂:ゲームの作り始めの段階って、まだ何も決まってないものじゃないですか。だから、まずはもっともわかりやすい部分であるビジュアルからラフを出して、そこから話を広げてもらえればっていう気持ちはあります。

松下:ゼロの花とか、かなり深いことになってそうですね。

:深いですよ~。今ここで話しましょうか? 書かないでくれるなら、話しますよ。

松下:ネタバレはNO!! NOです!! 

藤坂:今回は横尾さんからのキーワードの中に“魔法少女的なモノ”というものがあったので、そこからイメージを膨らませて、デザイン案として投げてみた形です。

:ああ、そうだった。あの時期は魔法少女って言ってたね。『まどマギ(※)』みたいな、魔法少女モノがやりたいって言ってた。

※まどマギ:『魔法少女まどか☆マギカ』。2011年に放送され、深夜枠ながら大きな反響を呼んだ、新境地の“魔法少女モノ”。虚淵玄さんがシリーズ構成および全話の脚本を手掛け、海外でも高い評価を受けている。

松下:アレは“魔法少女モノ”と、単純にくくっちゃいけない作品な気もしますが。

:アニメを見て、何か刺激された部分があったんじゃないですかね。もちろん、そこにヨコオさんなりの解釈が入って、最終的にはまったく違ったものになっている気がしますけど。

藤坂:ヨコオさんって、よくも悪くもセオリーを気にしないというか、常識をくつがえしながら生きている人じゃないですか。

松下:“こうでなくちゃいけない”みたいなルールとか、大嫌いですもんね。

藤坂:むしろ、セオリーの逆を突こうってタイプ。人を驚かせるのが好きなんですよ。対して僕は、「この世界にはこういうルールがあるんじゃないの?」みたいに、仕組みや意味を考えながらモノを作るタイプなので、決められたことからあまり逸脱できない部分があります。

:ただ、藤坂さんはディテールにめちゃくちゃこだわりますよね。それは『DOD1』の頃から一貫して変わっていない、彼のこだわりの部分だと思いますよ。

松下:そういう意味では、こだわりが強いという点でお3方には共通する部分があるんですよね。こだわりの形こそ、皆さんそれぞれで違うようですけど。

:そうですね。総じてこだわりが強いメンバーが集まって作っている部分はあると思いますね。(藤坂さんのグラスにビールを注ぐ)

染谷:カシャシャシャ(ビールを注ぐ柴さんをカメラの連写機能を使って撮り始める)

『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズ
▲柴さんが藤坂さんのグラスにビールを注ぐ瞬間を激写。急いでシャッターをきったので、微妙にブレ気味。

:うわ、ビックリした。なんですか、その“シャッターチャンスを逃さなかったぜ”的なドヤ顔は。

松下:むしろ、柴さんにお酌をさせてしまってごめんなさい……。

:いやいや、プロデューサーっていうのはこういうものですから。

染谷:(慌てて柴さんのグラスにビールを注ぐ)

:あの、ごめんなさい。やっぱり泡しか入ってないので、注ぎ直してください(苦笑)。

→7~4位のキャラへの思い出&藤坂さんのデザイン手法を聞きました(4ページ目へ)

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Character Design : Kimihiko Fujisaka.
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