2013年6月24日(月)
――対応機種はPS4とXbox Oneの2つになるんですね?
現在はそうです。『FFXV』の開発にはDirectX 11を活用し、これまでの“ハードに合わせた作り方”から大きく変わっています。従来ですと、どうしてもゲーム作りが対応ハードの性能に左右されがちで、その後の汎用性も低かったんです。現在は、開発はハードを超えた環境で行い、そこから各ハードにポーティング(移植)するという手法を取っています。これなら今後対応できるハードが登場したら柔軟に対応できますし、マルチプラットフォームの際に片方のハードの性能を考慮する心配もありません。
――開発環境がより高度なものになったことで、リアルタイム映像とプリレンダリング映像の差が、あまり感じられないほどになっていますね。
そうなんです。『FFXV』では極力操作のない場面を減らしてはいますが、逆にプレイヤー側の操作が不要なカットシーンはすべてプリレンダの映像にしたいくらいです。でも、それはそれで大変なので、『FFXV』は場面によっては最初に野末らビジュアルワークスがひな形を作り、それをリアルタイムなものに落とし込んでいます。
実際『Agni's Philosophy』もムービーを作って、それをリアルタイムにするという作り方をしていましたが、それに近い工程になっていますね。
――ちなみに現在の開発状況は?
現時点でハッキリとは言えませんね。開発エンジンのルミナススタジオ(スクウェア・エニックス独自のゲームエンジン)もまだすべてが完成しているわけではなく、今回公開した映像は、一時的にオリジナルの描画エンジンなどを使っています。最終的にはすべてルミナススタジオに統合させる予定です。
――映像だけでも目を見張るクオリティを感じられて、すぐにでも遊びたいくらいです。
あの映像を見て、そう感じていただけたら幸いです。でもスタッフはもっと質を上げようと頑張ってくれている最中で、今回の映像もE3出発直前まで修正を加えていました。完成形はもっとクオリティの高いものになりますよ。
――『FFXV』の開発チームは以前から変わっていないのでしょうか?
次世代機への移行時にチームの再編を行い、そこからCoディレクターとして田畑(田畑端氏。『FF零式』などのディレクターを担当)と、トータルのビジュアルディレクターとして野末(野末武志氏。ヴィジュアルワークス所属)が参加してくれています。彼らとともに新たに参加してくれたスタッフも多いです。
ちなみに公開されている映像でも確認できますが、敵をロックオンした時の表示は、ゲーム的なアイコン表示ではなく、レンズフレアが発生したような表示になっていて、これは野末が提案してくれたものなんです。
――映像を見る限り、『FFXV』はかなりスピーディでアクション性が強いバトルになっているようですね。
まだまだこれからも要素は追加されますが、現時点でもイメージを感じ取ってもらえたらと。動きのバリエーションも豊富です。主人公のノクトはもちろん、仲間キャラのモーションもそれぞれ個別に違いますし、扱える武器も異なります。
ノクトは武器を召喚する能力を持っているので、全部の武器を扱えるオールマイティなキャラです。アクションということで、バトルでのプレイヤーの操作、判断による戦況の変化を考えると、かなり奥深いものになると思います。爽快感を出しつつも、リアルな臨場感の中でファンタジーを、映像内のクオリティのまま体験していただけます。
――やはり操作はアクションに近い感じになりますか?
そうですね。ただし『キングダム ハーツ』のように、アクションゲームが苦手な人でも安心して遊べるものにはなりますので、そこは安心してください。プレイ動画では派手な動きを見せていますが、実際のプレイヤーの操作は、決して複雑なものにはなりません。自分自身も、難解な操作を要求されるアクションは苦手ですので。
――プレイアブルムービーは、初期のPVを再現したものになっているんですね。
あれはCoディレクターの田畑から「実機で見せるなら、あの場面を」という思いがありまして用意しました。基本的に3人パーティで戦い、プレイヤーキャラの切り替えも可能です。戦いの舞台についても、映像で見せたような不安定な足場の中で行うなど、さまざまなシチュエーションを用意しています。
――仲間との連携が多く見られたのも印象的でした。
連携については、今回注力している要素の1つです。他にもノクトはワープを駆使した全方位の戦いが可能だったり、モンスターの部位破壊ができたり、フリーランで大型モンスターの体の上を移動できたりと、いろいろな試みをしています。
――鉄巨人の落とした武器を2人で持ち上げて攻撃するといったものも連携なのですか?
そうですね。背後から仲間が現れて援護するといった連携だけでなく、敵の落とした巨大な武器を2人で持ち上げて攻撃するといった連携など、ドラマ性のある連携もあります。
――バトルに関しては、どのような点にこだわっていますか?
爽快感とリアリティの両立でしょうか。アクション的な爽快感を突き詰めていくと、自然とリアルな動きからはかけ離れていきます。逆に、完全にリアルな動きにするとアクションとして地味でおもしろみが感じづらいものになるため、そこのさじ加減は難しいですね。
『キングダム ハーツ』とは違って『FFXV』はリアル志向の作品なので、例えば攻撃を受けた際の対空時間や、ヒット時の重みがある武器のモーションなど、リアル過ぎてもゲーム性にかかわる部分のバランスが難しいと思います。
――映像には巨大なリヴァイアサンを確認できますが、魔法や召喚獣の登場は?
『FFXV』にも魔法や召喚獣は存在します。PVでもノクトがファイアの魔法を使っていたり、巨大なリヴァイアサンとの戦闘が行われていたりしています。今回の召喚は系統別に分かれていて、その系統内にランクが存在しています。
映像に登場したリヴァイアサンは同系統の召喚獣の中でも最上位の存在なので、実際にあの巨大なサイズの召喚獣をそのまま呼び出せるというわけではありません(笑)。召喚獣は、昔の『FF』のように、戦って倒すことで呼び出すことができるようになります。
――物語についてはまだ謎が多いですが、現時点で語れるテーマなどはありますか?
テーマとなると難しい質問ですが、一応、物語のテーマは“絆”……になるのかな。お話の根幹はシリアスで重いものですが、ノリはわりと緩いコメディです。物語もシンプルで、“クリスタルを取り戻しに行く話”なので。
今回の会話シーンでは、仲間との日常的な掛け合いを意識しています。ゲーム的ではない日常的な他愛のないやり取りが多いので、見方によっては会話がふざけてるように思われるかもしれません(笑)。
――今後の情報公開などはどうなりますか?
さすがに今回情報を出してすぐにまた、というのは難しいです。ですが、例えば東京ゲームショウなどのイベントの際には、なんらか情報を更新していきたいですね。
『FFXV』チームはいっさいの妥協をせずに作り込んでいますので、きっと世界レベルに見劣りしない完成度になると思います。
なお、6月27日発売の『電撃PlayStation Vol.545』では、メインキャラクターの紹介や、本インタビューに未収録の内容も掲載している。また、『キングダム ハーツIII』についてのインタビューも掲載しているので、そちらも合わせてチェックしてほしい。
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