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2013年7月12日(金)

ライトノベル1冊ほどの値段で始められるTCGを――富士見書房×MFが放つ『アンジュ・ヴィエルジュ』プロデューサーインタビュー&動画をお届け!

文:カワカミ雁々

■女の子たちが、女の子同士で戦う理由

――続いて『アンジュ』のゲーム性などについてお話を伺いたいと思いますが、そもそも『アンジュ・ヴィエルジュ』とはどういった意味の言葉なのでしょうか。

荒井さん:フランス語で“アンジュ=天使、ヴィエルジュ=乙女”という意味ですね。女の子がたくさん出てくるゲームなので、こういったタイトルになりました。

――50音順で並べると最初のほうに来る“あ”から始まるタイトルになっているのは、何か意識があったのでしょうか。

『アンジュ・ヴィエルジュ』

荒井さん:言われてみれば、確かに50音順に並べると『アンジュ』より前に来るタイトルは少ないですね(笑)。

大和田さん:検索性を上げるためとかで、狙っていたことにしましょう、それ(笑)。

荒井さん:タイトルが『アンジュ』に決まるまではいろいろなものが提案されました。覚えている中では『EVE』なんて案もありましたね。“E”、“V”、“E”でそれぞれ始まる単語の略称にしよう、という感じで。スタッフ全員で集まって、少なくとも50個はタイトル案を出したんじゃないでしょうか。

大和田さん:女の子が中心のゲームなので女性的な響きにしたかったんですが、かといってあまり弱々しいイメージにはしたくないという考えがありました。そうやって考えていたところで、「フランス語ってあまり使われていないんじゃないか」という話になったんです。タイトルの響きからもオリジナリティを出したいということで、『アンジュ・ヴィエルジュ』に決まりましたね。

荒井さん:TCGのタイトルって、英語かドイツ語のものが多いんです。そういう背景もあり、ファーストインプレッションであえて違和感を覚える感じ、「なんだこれ」ってちょっと引っかかる名前にしました。“ヴィエルジュ”の部分が言いにくいのではという意見もありましたが、“アンジュ”と略してもらえば言いやすいし、覚えやすいと思います。タイトルに含まれる意味については、ユーザーさんに想像していただければと思います(笑)。

――すでに発表されている世界観などと合わせて考えてみるのも、また楽しいということですね。世界観と言えば、『アンジュ』のゲームはどういう戦いを描いたものなのでしょうか。

荒井さん:『アンジュ』では、滅びが迫る世界の中で“プログレス”と呼ばれる異能に目覚めた女の子たちが過ごす“青蘭学園”での日常や、その中での鍛錬風景がカードとして描かれています。『アンジュ』でプレイヤーは“プログレス”とリンクする“αドライバー”となって、彼女たちとともに訓練をしているという設定ですね。

『アンジュ・ヴィエルジュ』
▲こちらは本作の発表会で公開された資料。突然現れた“門(ハイロウ)”により、日本が3つの異世界とつながるのがすべての発端となる。

――いわば“練習試合”をゲームにしているようなイメージなんですね。危機に瀕した世界ということですが、その危機の源となっている何かとの戦いを描かなかったのには理由があるのでしょうか。

荒井さん:TCGには“プレイヤーがどういう存在なのか、なぜ戦っているのか”がわからないものが結構あるんですが、『アンジュ』はライトノベルやコミックスになることが決まっていたので、そこをしっかり設定したかったんです。しかし、あまり殺伐とした雰囲気は出したくなかった。なので来たるべき戦いに備えた模擬戦をゲームにしようということになったんです。

大和田さん:きちんと“女の子たちが、女の子同士で戦う理由”がないとコミックやライトノベルになった時、ユーザーさんに違和感が生まれちゃうと思ったんですよね。TCGとメディアミックスした作品との間でそういう不自然な感じを出さないために、今の設定になりました。

荒井さん:あと、そうすれば女の子のカードだけ出せるしね(笑)。

大和田さん:我々を含めてTCGを遊んでいる人は、プレイヤー不在の“ただ戦う”ゲームに慣れてしまっている部分はあると思うんですが、初めてTCGで遊ぶ人にはそれがないと思うんですね。なので“プレイヤーとは何か、なぜ戦っているのか”をしっかりとゲーム内に落とし込むことにしました。そうすることで、一種の“なりきり”的な楽しみも生まれるんじゃないかと思っています。

荒井さん:これから講習会を開催する時も、まず最初にプレイヤーはどういう存在なのか、女の子たちはなぜ戦うのかはしっかり伝えていくつもりです。

――その戦う女の子たち=プログレスですが、『アンジュ』には4つの属性がありますよね。属性ごとの特徴のようなものは、やはりあるのでしょうか。

荒井さん:『アンジュ』には青・黒・赤・白の4属性がありますが、各属性ごとに異なった世界ということになっています。青は現代、黒はファンタジー、赤は神話、白は未来といった感じです。『アンジュ』は4つがつながって1つになってしまった世界が舞台になっていて、各属性の女の子たちはそれぞれの世界のイメージを反映したものになっていますね。

『アンジュ・ヴィエルジュ』 『アンジュ・ヴィエルジュ』
『アンジュ・ヴィエルジュ』 『アンジュ・ヴィエルジュ』
▲地球を含め、4つの世界が登場する本作。各世界のメインキャラクターもあわせて公開されている。

――お気に入りの女の子を見つけてほしいということでしたが、4つの属性分けが自分の好きな子を見つける指針になるわけですね。

大和田さん:はい、ロボ娘が好きなら白、魔女系なら黒という感じですね。好きなキャラクターがいるからその属性を使う、あるいはその属性の戦略が好みだから、そこから好きなキャラクターを見つけ出す、どちらの楽しみ方でもいいと思います。

荒井さん:ちなみに、1弾は124種類のカードで構成されていて、その中に40人くらいのキャラクターが登場するので、きっと好きになれる子が見つかるはずですよ。もちろん、複数のレアリティにわたって登場する子もいます。

――属性ごとの特徴はどういった振り分けになっているのでしょうか。

荒井さん:これからの講習会で遊んでいただくのは青と黒のデッキなのですが、青はカードを引いたり、手札を入れ替えたりといったドロー操作が得意、黒はプログレスの除去や相手の手札に干渉するのが得意な属性になっています。

大和田さん:なお『アンジュ』には、いわゆる“色拘束”のようなものはないので、複数の属性を自由に組み合わせてデッキを作っていただけます。ユーザーさんの好きなキャラクターでオールスターなデッキを組んでもらえればと思っているんです。それでちゃんと戦えるように作ってあります。

――デッキ構築はかなり自由な印象を受けますが、たとえば属性をそろえるメリットのようなものもありますか。それとも、そういったガッチリとしたデッキ構築は求められないと考えていいのでしょうか。

荒井さん:“青のプログレス1体のパワーを増やす”というような、属性を参照するカードもあるので、そういったカードを効果的に使いたい場合は属性をそろえるといいでしょう。もちろんカード間のつながりや、組み合わせて強いカードというのはあります。好きなキャラクターだけでデッキを組むこともできますし、カードの効果や効率を考えてデッキを組みたい方はそうできるようになっていますね。

――デッキを構築する時、たとえば青は“Σ”とのリンクが得意なので、“Σ”のカードをたくさん入れるといいといったような、フレームと属性の相性のようなものはあるのでしょうか。

大和田さん:そういったことは1弾の段階ではないですね。やはりユーザーさんに自由に、好きなキャラクターでデッキを組んでもらいたいと思っているので、拘束はなるべくしないように作っています。フレームの種類も、“Σ”と“Ω”、そしてどちらにもなる“∀”(オール)の3種類から増やす予定は今のところありません。

→ライトノベル1冊くらいの値段で遊べるものを提供したかった(3ページ目へ)

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