2013年7月13日(土)
電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第83回となる今回は、『ストレンジムーン 宝石箱に映る月』を執筆した渡瀬草一郎先生のインタビューを掲載する。
▲桑島黎音先生が描く『ストレンジムーン 宝石箱に映る月』の表紙イラスト。 |
本作は、『パラサイトムーン』『輪環の魔導師』の渡瀬草一郎が贈る、異形の神と異能者たちが紡ぐ現代伝奇ファンタジー。妹と2人暮らしの高校生・月代玲音(つきしろ れいん)。ある日の放課後、彼は友人の文槻クレアに連れられ、地元の紅街中華街を訪れる。場違いな洋菓子店でメイド姿の双子と出会い、妙なケーキを注文する玲音だったが、異変の刻は彼の知らないうちに着々と近づいていた。
封印を解かれた“マリアンヌの宝石箱”。その内側に封じられていたのは、かつて欧州を席巻した異能者・“皇帝”のブロスペクトとその部下たち。街の裏側で暗躍する“キャラバン”の幹部・周皓月(しゅう こうげつ)の掌に踊らされ、事態は混迷を迎えていく――。
渡瀬先生には、本作のセールスポイントや小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。さらに、本作とつながりのある『パラサイトムーン』はBook☆Walkerで電子書籍配信予定となっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。
――この作品を書いたキッカケを教えてください。
約10年前に、『パラサイトムーン』というシリーズを書いていまして……そのあとがきで「いずれこの続きを!」と書いていたのですが、なかなか機会が巡ってこず、10年温めた末にこの企画が通って狂喜乱舞しました。
といっても、続きというよりは舞台を同じにした新作でして、主人公達も新キャラになります。10年分の思いとか愛とか夢とかがみっちりと詰まっていますが、野望と猫を詰め忘れました。
――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?
敵味方が入り乱れて、それぞれの立場で起きた状況に対応していくというお話なので、登場人物が多く設定も少し入り組んでいます。そのあたりの加減や書き方がツボにはまるかどうかで好ききらいがはっきり分かれてしまう内容ではあるんですが、ハマれる方はディープにハマれると思いますので、初めての方にもぜひお試しいただきたいです。
――作品を書くうえで悩んだところは?
猫をどの場面に出したものかと……結局、猫は出せずに虎が出ました。がおー。
――執筆にかかった期間はどれくらいですか?
だいたい6カ月くらいだと思います。もうちょっと早く! とは思うんですが、これがなかなか……息抜きのゲームは……そんなには……していないと……思います……?
――執筆中に起きた印象的な出来事はありますか?
――主人公やヒロインなど、登場人物について、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。
ちょうど自分の中で金髪ポニテ成分が足りない時期だったので、ヒロインはすんなりと決まりました。主人公については、『空ノ鐘の響く惑星で』、『輪環の魔導師』と聖人君子系のキャラが続いたので、今回はもうちょっと明るく馬鹿っぽい感じでいければと……短編ではそういうキャラも書いていたんですが、長編では初めてかもしれません。
あと例によって脇役のおっさんがよく活躍していますが、いつもの仕様です。
――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?
集中力についてはもうじたばたと足掻くだけで流れに任せています。むしろ気分転換の方法として、(1)あまり時間をくわない。(2)精神状態が軽くなる。(3)楽しい。という三点を満たすモノということで、某4コマ漫画誌を愛読してます。起承転結が短いセンテンスでビシッとハマっていると気持ちいいです。
――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?
高校時代の衝撃はなんといっても『RPGツクール』でした。「自分でゲームを作れる!」ということで必死にドットを打っていたのですが、同時に“完成させること”の難しさを思い知る羽目に……もちろん完成しませんでした。その後、大学生の時に池波正太郎先生の本に傾倒して、小説を書き始めたのもそのころからです。
(C)渡瀬草一郎/アスキー・メディアワークス
イラスト:桑島黎音
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