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2013年7月24日(水)

【ほぼ毎日特集#22】『ギャラクシアン3』や『F/A』の裏話も飛び出すインタビュー!? 「教えて!佐宗先生&細江先生!」前編(ミゲル)

文:ミゲル

■佐宗さんと細江さんの魅力の1つ、“ダンスミュージック”を取り入れた“ゲームミュージック”の始まりを明かす!

――前回のインタビュー特集で、k.h.d.n.の林さんに「ゲームの中にダンスミュージックを取り込んだのが佐宗さんや細江さんたちの世代だよ」と教えていただきました。では、それ以前のゲームミュージックとはお2人から見てどのようなものだったのでしょうか。

「教えて!佐宗先生&細江先生!」

細江:会社によって全然違うよね?

佐宗:そうですね。それこそ“ナムコ音”、“セガ音”、“タイトー音”ってパッキリ分かれていて、基板によるクセとか使用しているツールとかで、各社全然違うものだったと思いますね。

細江:アーケードゲームのことだけで言えば、なんとなくフュージョン色は強いイメージですね。あとはプログレとか。家庭用はちょっと違いますけどね。

佐宗:ゲームフュージョンというか、あの独特のフュージョン感は何でしょうねぇ。

細江:音が少ない頃の『ダーウィン4078』とかデータイーストとかもプログレっぽかったですよね。いきなり8分の7拍子ですからね。

――そこに、自分の好きなテクノなどの曲調を入れてみようと思ったきっかけはありますか?

細江:最初にやろうと思ったきっかけは、友だちからデステクノの海外インディーズ盤CDを「今、こういうのが流行ってるんだよ! すごいんだよ!!」と勧められて聴いた時ですね。最初に聴いた時は「なんだこの音楽!?」と思ったんですけれど、聴いていくうちにだんだん気持ちよくなってしまって、もうやめられなくなってしまって(笑)。『F/A』で全面採用しました。

※『F/A』とは、1992年にナムコが発売したアーケードゲーム。縦スクロール型のSTGで、シンプルでストイックなスタイルが特徴。楽曲には細江慎治さんの他、相原隆行さんも参加している。

細江:ROM容量が小さくて、あまり普通の曲も向かないなと思って。デステクノって言われる曲は、小さいパーツで作れそうだったんです。それまで使っていたのは、ナムコの“システムII”というアーケードゲーム基板なんですが、サウンドに使える最大容量が8Mbit。丁度その時に“NA-1”という基板に切り替わって、サウンドの最大容量が1.5Mbitになったんです。でも、その中に意外とデステクノはキレイに収められたんです。

佐宗:私も最初に細江さんに勧められて聞いた時は、(デステクノのよさが)わからなかったんです。「間違うと雑音じゃない!?」みたいな。今まで、いわゆる“キレイな音楽”しか聴いてなかったので。でも何度も聴いているうちに、中毒みたいになってくるんですよね。

 一時期、“リアル音志向”みたいな、とにかくPCM音源のシンセサイザーを使って、本物に近い音を出すのが正義となっていた時代があったんです。そんな中で、旧世代音と言われたローランド社製の『TR-909』(ドラムマシン)や『TB-303』(シンセサイザー)を使った、“ブリブリの波形が鳴っているのに、なぜかカッコイイ”っていうのは、逆に新しく思えたんですよね。リアルな音だけがいいってものではないぞ、という見直しのきっかけになったと思います。

●『overdrive hell9 ヒズミ天国 燃えるマハラジャ』試聴動画

※細江さんと佐宗さんが、Sampling Masters MEGAとSampling Masters AYA名義でリリースしているミニアルバムシリーズ『overdrive hell ヒズミ天国』。“デステクノをこじらせたハードコア最終形(佐宗さん談)”サウンドが病みつきになる。デステクノというよりもガバテクノやスピードコアの曲調だが、ミゲルが大好きな楽曲なのでここで紹介する。

――『F/A』にそういった音楽を入れた時の周りの反応はいかがでしたか?

細江:最初の僕たちと一緒でしたね。「なんじゃこりゃあ!」って(笑)。「間違っているんじゃないの?」とか、「ROM差し間違えていますよ」とか(笑)。

佐宗:「合っていますから大丈夫です。逆差しもしてないから大丈夫です」って言って(笑)。

――それがゲーム業界における音楽の変化のきっかけになったわけですよね。

佐宗:「ナムコ、とうとう狂った」とか言われましたよね。「どうしたんだ細江! メガテンどうした!」っていろんな人に言われて(笑)。

――チープな言い方になってしまいますが、その時のマイブームをゲームに取り入れて成功したわけですが、今も何か現行のマイブームを作品に取り入れることはありますか?

細江:今は逆に難しいかもしれませんね。プロデューサーやディレクターに細かい指定をいただくことが多くなってしまったので。当時は本当にサウンド担当が好き勝手にやっていて、余程のことがない限りボツにはなりませんでしたから。

――伸び代がたくさんあった時代だったんですね。

佐宗:それはありますね。かなり実験もしていたと思います。『F/A』と『余命検索サービス X-DAY』は同時に開発をしていたんですが、『X-DAY』のリリースが伸びた間に(基板の改良で)音色を増やせるようになって、曲を増やせたんですよ。そんな時代でした。

※『余命検索サービス X-DAY』とは、ナムコが1993年に発売したアーケードのエレメカゲーム。未来の戸籍にアクセスしてプレイヤーの寿命を検索するという設定の、寿命診断ゲームだ。近未来的な世界観を、佐宗さんがテクノ調の楽曲で表現している。

『ギャラクシアン3(キューブ)』稼働の裏話も飛び出す!?→(4ページ目へ)

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