2013年7月25日(木)
――マイナーなゲームもいろいろと作曲されているお2人ですが、その中でもオススメな自曲はありますか?
細江:実はこんな作品もかかわっていました、と言うのはありますね。18禁ゲームとかもやっていたり。
佐宗:ボーイズ・ラブゲームの『ハンクス・ワークショップ!』とか。女の子向けなのに、ガチムチな本場の方々にウケてしまったゲームなんですが(笑)。音楽はバリバリのデステクノですよ!
細江:いろんな効果音も録っていたよね。
佐宗:“電動歯ブラシ攻め”の音とかね。
――!! な、なんですかそれは詳しくきかせt(~ 以下、自主規制 ~)
佐宗:『SIMPLE2000シリーズ Vol.32 あずみ』の作曲もやりましたが、意外と力が入っているんですよ? 他にも、“ポケモンだいすきクラブ”内にあるミニゲームのBGMは、私と江口が担当しています。
――“ポケモンだいすきクラブ”も!? たまに遊びますが気が付かなかった……。でも改めて聴くと、シンセ音がすごく佐宗さんのカラーです……!!
細江:そう言えば、さくらやの“オニ安セール”のTV-CMソングもやりましたね。
佐宗:もとは細江さんが作って、アレンジバージョンを私が担当しましたね。15秒でカッキリ終わらせないといけない音だったんで、大変でした。
細江:アニメ作品の『ヤンス!ガンス!』とか、自主制作アニメの『海からの使者』もやっていますね~。
佐宗:『ヤンス!ガンス!』は、細江さんがテーマ曲やその他挿入曲、効果音は私が担当してます。『海からの使者』は、私が音楽で細江さんが効果音を担当していますよ。
あとは歌舞伎役者の市川染五郎さん中心に、お台場の東京カルチャーカルチャーでここ数年毎夏に行われている“妄想歌舞伎”というトークイベントがあるんですが、その中で上映されるCG作家の秋元きつねさんが作られた動画に私が音楽を付けています。そのイベントの模様が電子書籍化されているんですが、イベント内で上映されたムービーも収録されているんです。
――ゲームだけではないのがおもしろいですね!
佐宗:そう考えると雑食ですね(笑)。演劇の劇伴も担当していますし。
――だからこそ、ゲーム1本とってもいろいろなジャンルの音楽が混ざっておもしろいものが出来上がるんですね。
佐宗:それぞれのジャンル毎にお約束事が違うので、それを知ることができるのがおもしろいですね。演劇なんて生ものなので、ちょっとセリフ回しが伸びてしまうとBGMとズレてしまったり(笑)。いろいろな“気付き”があるんです。
――BGMだけでなく、効果音もいろいろと担当されているんですね。
佐宗:MA(映像の効果音付けやSE制作)はMAで本当におもしろいですね。曲がない状態でも、音を入れると絵が生きてくるというか、効果音付けは命を吹き込む作業ですね。これもセンスが必要な作業だと思います。
例えば、“手をつく音”1つでも、“どこに”、“どういった感じで”だけでも全然(聴いた時の感覚が)違ってきてしまいます。オーダー表で“靴音”とだけ書いてあっても、“どこを歩いているのか”、“どんな靴を履いているのか”、“屋内なのか屋外なのか”と、確認することがいっぱいありますね。
――作曲家を目指している読者に、何かアドバイスはありますか?
佐宗:とにかく、いろいろなものを聴いておいたほうがいいです。イヤなものでも1回は食べておけと。全然違ったジャンルから変にひらめくこともあるんです。
自分もバンドをやっていたクセに、ギターらしいサウンドがあまり好きではなくて、メタルとかの楽曲は全然聴けなかったんです。でも、ハードコアやガバテクノのサウンドを聴いていたら、メタルとそれらの楽曲の共通点に気が付いて、それからメタルが聴けるようになっていったんです。ハードコアを知ってからパンクが聴けるようになったり。
思いもよらない変なところから繋がることもあるので、とりあえず一通り味見はしておいたほうがいいと思いますね。おいしいと思ったら、食べ続ければいいんですし(笑)。
視野は全方向に広げたほうがいいです。どこに何があるかわからないですから。『ビデオ・ゲーム・ミュージック』もそうですけれども、私が劇伴に興味を持ったのはアニメの『うる星やつら』に大ハマりしたのがきっかけなんです!
細江:安西史孝さんはいいよね。
佐宗:シンセサイザーに興味を持ったのも、『うる星やつら』からですね。Y.M.O.ももちろんですけれど、安西さんが作られたシンセサイザーの音がすっごく好きで。ずっと吹奏楽をやっていたんですが、エレクトーンを学んだのもそれがきっかけです。エレクトーンは、プリセットシンセサイザーみたいな部分もあるので。
※安西史孝さんは、アニメ『うる星やつら』や『みゆき』、『あらしのよるに~ひみつのともだち~』の音楽を手掛ける作曲家。アナログシンセサイザーの知識は非常に深く、公式HPのシンセ講座は圧巻。『初音ミク』を使用した楽曲の公開や『初音ミク』講座も開設されている。
細江:僕は、とりあえず「コピーしとけ」ですかね。コピーするか、理論を勉強するか。頭で覚えるか、体で覚えるかの違いですが。
――プロとして作曲をしていて、「よかったなぁ……」と思ったエピソードはありますか?
佐宗:やっぱり、お客さんに感想をいただけた時が一番報われる瞬間かなと思います。
『ゼビウス』に憧れてナムコに入って、『ゼビウス3D/G』を担当して辞めてしまったのという(笑)。『ゼビウス3D/G』の最終面の曲は、ノーミスで進めるとちょうどいい感じに盛り上がるように作ってあったんです。それを実際にプレイしてくださったお客さんがいらっしゃって、「泣いたんです」と感想をいただいたんです。
BBSだったか、直接メールをいただいたのだったか……。「“涙でモニターが見えない”じゃないですけれど、本当にそうだったんです!」と長文で感想をいただいて。あれは本当にうれしかったですねぇ……。
――普通の音楽では体験できないことですよね。ゲームに入った楽曲だからこそ、その作品と1つになって体験できる特殊なものだと、私は思います。
細江:歌詞なしで泣かすわけですからね。
佐宗さんに「先生」と呼ばれるスーパー作曲家の楽曲を紹介!→(3ページ目へ)
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