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2013年8月23日(金)

【『三国志大戦TCG』開発者コラム「桃園だより」】第2回:印刷途中のデータで追うカードデザインの秘密

文:北岡功(『三国志大戦TCG』プロデューサー)

 皆さん、こんにちは。

 株式会社セガが発売している「三国志大戦トレーディングカードゲーム(以下三国志大戦TCG)」のプロデューサーをしている北岡です。

 今年の夏はとてつもない猛暑ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか? 三国志大戦TCGの夏も暑さに負けないくらい熱いですよ! 公式イベント『TCGの宴2013』や各地をまわる「闘将キャラバン」など、熱いイベント盛り沢山でお届けしています。

 さて、コラムの第2回はカードのデザインについてご紹介したいと思います。カードといっても、レア度によっては複雑な印刷工程を経て完成しているので、この機会にどのようにして作られているのか、印刷途中のデータなども紹介しながら説明したいと思います。

『三国志大戦TCG』開発者コラム「桃園だより」

 まずこちらは完成して印刷された第5弾の「曹操(5-016)」のカードです。イラストが一番大きくみれる、迫力のある天下無双レア仕様となっています。このカードを作成するために必要な素材はイラストとカードフレームのデータがあればいいように見えますが、実はそんなに単純ではなかったりします。

 まずはカードの素材となる紙が必要なのは当たり前ですが、天下無双レアやプラチナレア、スーパーレアなどのキラキラしたカードは紙の上にまずホロシートを貼り付けたホロ板紙を使用します。

 そのホロ板紙の上に印刷をしていくのですが、ホロの上にそのまま印刷してしまうとホロがすべて透けて見えてしまって全面が光ったカードになってしまいます。そこで光らせたくない部分を別データとして印刷データを作成します。

『三国志大戦TCG』開発者コラム「桃園だより」

 これは白版データと呼ばれるもので、三国志大戦TCGの天下無双レアではとても細かい白版データを作成しています。この画像で白くなっている所が、実際のカードでキラキラしている部分です。実際は光っているのではなくて、カードのホロを透けさせることで光っているんですね。

 こうやってカードは印刷されるわけですが、実はこれで終わりではありません。カラー印刷された後にはカードの表面保護のためにニスを印刷します。これはコモンやアンコモンのカードにも同様の処理がされています。ところが、レア以上のカードにはさらにここから表面加工のシートが貼り付けられます。

 このシートも単純にカード全面に貼りつけるのではなく、貼り付けたいところだけをデータで作成して貼り付け処理をするのです。

『三国志大戦TCG』開発者コラム「桃園だより」

 これがそのデータになります。この画像で黒くなっている部分にキラキラした表面加工用の薄いシートが貼り付けられます。

『三国志大戦TCG』開発者コラム「桃園だより」

 次はカードの裏面です。同じようにカードの背面の印刷データが印刷されて、表面に保護用のニスが塗られるところまでは表面と同じですが、カード裏面には秘密が隠されています。円形の地紋が透かしの様に印刷されているのにお気づきでしょうか?

『三国志大戦TCG』開発者コラム「桃園だより」

 この地紋は表面保護のニスとは違った質のニスを使用していて、そのために透かしのように浮かび上がる様になっているんです。

 このようにカード1枚には様々なデータと工夫が盛り込まれています。ゲームですからカードの性能が評価基準になるのは仕方ないですが、印刷の技術と工夫の塊であることも見逃せない要素だと思います。是非お手元のカードを手にとってご覧くださいね。

 次回は三国志大戦TCGの第1弾の開発秘話などをお伝えできればと思います。お楽しみに!

株式会社セガ
三国志大戦TCGプロデューサー
北岡 功

(C)SEGA

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