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2013年8月26日(月)

フランス人ジャーナリストから日本のゲームクリエイターへの支援――想像力にリミットをかけず、日本人らしいゲームを【CEDEC 2013】

文:イトヤン

■フランスのゲーマー6400人が語る、好きな日本のアニメやマンガとは!?

 ここまでは、25年以上をかけて日本のコンテンツがフランスに受け入れられていく流れを見てきたが、では現在のフランスでは、どのような作品が人気を集めているのだろうか。ここで講師の2人がフランスのゲーマーに対して行った、アンケートの結果が披露された。

 フランスのゲームサイトを通じて行われたこのアンケートは、全部で40項目以上もあるため、講師の2人は「1000人ぐらいの回答があればいい」と思っていたという。ところがフタを開けてみれば、開始初日で1000人を超える回答が寄せられ、最終的には6400人近くが回答してくれたとのこと。「この事実自体が、日本のコンテンツに対する関心の高さを表しています」とゴルジュ氏は語った。ちなみに回答者の平均年齢は25歳で、91%が男性とのことだ。

“日本のゲームでもっと遊びたい!”

・日本文化に興味はありますか?

“日本のゲームでもっと遊びたい!”

 まず最初に、日本の文化について興味があるかどうかを聞いたところ、何らかの形で興味があると答えたのは、なんと96%にも上った。アンケートは、日本のゲームのファンに向けたサイトではなく、欧米産のタイトルも含めて総合的にゲームを扱うサイトで行われたにも関わらず、この数字なのだそうだ。

・初めて見た日本のアニメ・特撮・映画は?

“日本のゲームでもっと遊びたい!”

 『ドラゴンボール』『UFOロボ グレンダイザー(ゴールドラック)』『ポケモン』と、フランスで日本のアニメが人気を集めた各世代を代表するタイトルが上位を占めている。また『宇宙伝説ユリシーズ31』『キャプテン・フューチャー』といった、日仏合作アニメもランクインしている。

・好きな日本のマンガは?

“日本のゲームでもっと遊びたい!”

 ここでも『ドラゴンボール』が圧倒的人気だ。フェレロ氏によると、数年前までは『NARUTO-ナルト-』の人気が非常に高かったが、この2、3年で『ONE PIECE』の人気が急激に伸びてきたという。興味深いのは、『ラブひな』『ネギま!』以外に、いわゆる萌え系の作品がまったく入っていない点だ。

 またフェレロ氏も指摘していたが、日本では知る人ぞ知る作品といった感じの『ユーベルブラット』が、フランスでかなり人気が高いことに驚かされる。なお、41位『遥かな街へ』の作者である谷口ジロー氏は、フランスの芸術的なコミックである“バンド・デシネ”の影響を強く受けている漫画家だ。

・好きな日本のアニメは?

“日本のゲームでもっと遊びたい!”

 『ドラゴンボール』『ONE PIECE』『エヴァ』と、日本でも海外でも人気の高い作品が上位に並んでいる。5位の『カウボーイビバップ』は、そのクールな作風で、日本以上に海外で人気の高い作品だ。7位の『ソードアート・オンライン』と15位の『進撃の巨人』は、フランスではまだネット配信のみでしか視聴できない最新作のため、フェレロ氏はこの人気の高さに驚いていた。

 また、14位『STEINS;GATE』や17位『CLANNAD』など、赤字で書かれているアニメは、公式にはフランスで放送されていないものだそうだ。それでも人気があるというのは、公式ではない方法で視聴していることになる。これについてゴルジュ氏は「公式にフランスで放送すれば人気が得られるはずなのに、もったいない」と語っていた。

・好きな日本の映画は?

“日本のゲームでもっと遊びたい!”

 黒澤明監督や宮崎駿監督、そして北野武監督の作品が多数を占めているが、その中で目を惹くのは1位の『バトルロワイヤル』だ。この作品は“高校生同士が殺し合う”という衝撃的な内容が、日本以上に海外の人々に対して、強烈なインパクトを与えている。フェレロ氏は、欧米の映画ではあり得ないこの内容を“クレイジー”と評したが、これは日本のゲームにも通じる重要なキーワードだ。

 余談だが、フランスでは北野武氏は映画監督と認識されており、お笑い芸人・ビートたけしとしての活動はほとんど知られていないそうだ。ゴルジュ氏によると、フランスのケーブルTVでファミコンソフトの『たけしの挑戦状』が紹介されたところ、フランスの人々は「北野武監督がこんなことをやっていたなんて信じられない!」とショックを受けていたという(笑)。

→フランスにゲーム文化を紹介したのは、日本の家庭用ゲーム機(4ページ目へ)

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