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2013年9月3日(火)

【ほぼ毎日特集 ♯42】『ダブルドラゴン』の“ひじ打ち”は金欠の子どもたちの救世主だった――「デュクシ!」(まっつ)

文:まっつ

■FC版『ダブルドラゴン』との出会い

FC『ダブルドラゴン』画像

 FC版『ダブルドラゴン』との出会いは、たぶん当時のゲーム雑誌『ファミマガ』で、カセットを買った時の記憶はまったくない。カセットのイラストが『北○の拳』っぽいのと、敵キャラのローパーが友だちの岡村君にそっくりで面食らった覚えがあるが、概ね好意的に受け入れていた記憶がある。

 AC版に比べて当然グラフィックは落ち、2人同時プレイが不可になっていたのは残念と言わざるをえないが、経験値制であったり、ステージが迷路構成になってボリュームがアップしていたりと独自の要素が目を引いた。

 今でもかすかに覚えている感動が、タイトル画面に流れるメインテーマのBGM。「カッコいい曲だなー。オリジナル曲かな」と思っていたが、のちにゲーセンでさりげなく聞き耳を立ててみたら、タイトルとデモ画面でしっかりこのBGMが流れていて驚いた。意外だったのが、なんかFC版のほうがテンポが早くてカッコいいこと(個人の感想)。

 そういえば、ステージ2のBGMがマイケルジャクソンの曲だと思い込んでいて、兄貴にそれを言ったら思いっきり笑われたのを思い出した。しかもムキになってそれに反論していたのも思い出した。完全な痛い子じゃねーか……。でもたしかに今聞いてみても、ちょっとスリラーっぽい。

 その他だと、AC版最強の技“ひじ打ち”を敵がしゃがんで避けるようになっていて、ちょっと驚いた記憶あり。しかもコンティニューができないので、難易度は明らかにFC版のほうが上だろう。

 個人的にうれしかったのが、ポーズボタンを押した時に何も表示されないこと(他のゲームでは画面中央に“PAUSE”とか表示されることが多い)。漫画『あしたのジョー』のパンチが決まったコマが大好きな子どもだったので、それと同じようにアッパーとかが決まった瞬間にポーズをかけて、それをニヤニヤしながら見ていたっけ。我ながら気持ち悪いガキである。

FC『ダブルドラゴン』画像
▲アボボに飛び蹴りを食らわせた瞬間が特に好きだった。蹴りの角度とアボボのほっぺの距離感が実にイイ(たぶん誰も理解してくれないだろう)。

 ちなみに「デュクシ!」の再現は、子ども心に無理なのはわかっていたので、大した問題ではなかった。このころは、今と違ってアーケードゲームとコンシューマゲームでは性能に雲泥の差があり、どうしても劣化移植になるのが当たり前の時代。ゲーセンに通っているような子どもにとっては、AC版との違いを探して見比べるのも楽しさの1つだったように思う。

FC『ダブルドラゴン』画像
▲「デュクシ!」は聞けないが、蹴りを当てた時の「ゴッ!」というSEは痛そうで好き。

 当時のゲーセンは、最高峰のゲームが集まるゲーマーにとっての“聖域”だった。でも今では、立場が逆転するどころかアーケード自体が姿を消しつつあるように感じる。趣味が多様化しすぎているうえに、そもそも子どもが出入りできるようなゲーセンや駄菓子屋自体がないもんなあ。思春期をあの猥雑な空間で過ごしたおっさんにとっては、寂しいものがありますなー。

 なんか20年後くらいに老後の楽しみ用の巨大ゲーセンとかできねーかな。今で言う囲碁・将棋倶楽部みたいな。じいさんが集まって、掘りごたつでキャベツ太郎を食いながら『ストII』とか『ゼビウス』をやるみたいな。……無理か。デュクシ!

おわり。

→オマケ・敵キャラクターを真のラスボスを含めて紹介!(4ページ目)

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データ

▼『ダブルドラゴン』
■メーカー:アークシステムワークス
■対応機種:3DS(ダウンロード専用)
■ジャンル:ACT
■配信日:2013年2月6日
■価格:500円(税込)

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