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2013年10月17日(木)

『コード・オブ・ジョーカー』特別掌編の連載がスタート――第1話では緋神仁と御巫綾花の過去が描かれる!?

文:電撃オンライン

 セガが放つ話題のアーケードゲーム『CODE OF JOKER(コード・オブ・ジョーカー)』。本作の特別掌編の第1話を掲載する。

 『コード・オブ・ジョーカー』は、ゲームで使用するカードがすべてデジタル化された思考型デジタルトレーディングカードゲーム。プレイヤーは自分の戦術に合わせてデッキを組み、1VS1で交互に攻守交代をするターン制バトルを繰り広げていく。相手のライフをゼロにするか、もしくはライフが多く残っていれば勝利となる。

 『コード・オブ・ジョーカー』の小説を執筆するのは、『ウィザード&ウォーリアー・ウィズ・マネー』で第18回電撃小説大賞銀賞を受賞した、三河ごーすと先生。小説は全7話の構成で、電撃オンライン内特集ページにて順次掲載されていく。なお第1話のみ、10月10日に発売された『電撃文庫MAGAZINE Vol.34』(KADOKAWA刊)とこの記事に掲載される。

『コード・オブ・ジョーカー』

 特別掌編の第1話“正々堂々お嬢様!”では御巫綾花が登場し、後に国家情報防衛局の秘密組織・ASTのエージェントとして歩み出す私立探偵・緋神仁に接触する様子を描いている。以下でお届けするので、三河ごーすと先生のファンや、カードゲームファンはチェックしてほしい。


『コード・オブ・ジョーカー』

●緋神仁(声:羽多野渉)

 普段はクールで寡黙だが、有事の際には情熱的な一面も見せる。とある事件を追っている時に、綾花に命を救われ、エージェントとなった。天性の直感と強運で、どんな状況でも切り抜けていく。


『コード・オブ・ジョーカー』

●御巫綾花(声:伊藤かな恵)

 天真爛漫で運動好きな女子大生。規律を重んじるマジメな性格だが、肝心な場面で失敗することも。国家情報防衛局の官僚を父に持ち、彼女もそれに属する組織のエージェントとして活動している。


 顔にのせていた雑誌が取り上げられて紙のにおいが遠ざかり、かわりにストロベリーブロンドの髪が甘く香る。寝ぼけてぼんやりした目にも、御巫綾花の快活そうな輪郭はくっきりと浮かび上がって見えた。

「ホント、忙しそうで何よりね」

 息のかかるほど近くにあった彼女の呆れ顔を見つめ返して、緋神仁は「また、あんたか」とうんざりしたように声をもらす。

 短く切りそろえた綺麗な髪。小ぶりな唇。赤みがかった瞳には快活な色が宿っている。ぴっちりしたシャツに洗練されたボディラインが浮きあがり、ミニのスカートからは健康的な脚がすらりとのびる。

 あまたの男を振り向かせるであろう健康的な魅力を持つ少女が目の前に。だというのに、仁は顔色ひとつ変えず、むしろ面倒くさそうに片手をふった。

「ご覧のとおり、浮気調査と迷い犬探しと……あー、それと西東京あたりの強盗事件の捜査とかが重なってるんだ。ああいそがしいいそがしい」

「へえ……」

 綾花が疑わしげに目を細めて振り返る。

 昼下がりの緋神探偵事務所はしんと静まり返っていた。壁にかけられた依頼受信用のPDAはうんともすんとも言わないし、起動しっぱなしのホログラムパソコンに表示されたカレンダーは絶望的に真っ白だ。

 綾花は細くて長い指をさっと横にすべらせる。空白の一週間に赤い線が引かれた。

「とりあえず、ここからここまで。私に付き合って」

「ひとつ忘れてた。ストーカー被害のご相談。私立探偵の緋神仁さんからだ」

 仁の皮肉っぽい言い方に、綾花はむうと唇をとがらせる。

「……まあ、いいわ。あなたのそういうところにはもう慣れたから」

 軽いため息とともに綾花の顔から不機嫌な色が消える。

「お昼、まだよね?」

「とっくに食べた。間に合ってる。だからさっさと帰――」

 くう、と、仁の声をさえぎるように腹の虫が情けなく訴えた。

「証拠はそろってるわね。探偵さん♪」

 綾花は弾むように笑った。肩にさげたトートバッグから手品のようにするりと抜き出したエプロンをすばやく身に着けて、きびきびした足取りでキッチンへ。冷蔵庫の中を眺めて「あ、おととい買ったお肉、まだ残ってる」などとつぶやいた。

 鼻歌が奏でる流行曲の陽気なメロディに合わせて、引き締まった腰がかすかにゆれる。その仕草は幼い少女のようであり、大人びたエプロン姿と合わさって、アンバランスな魅力を醸し出している。

 ここ数日間、飽きるくらいに見ている綾花の後ろ姿に、仁はため息まじりに髪をかきあげた。

「なあ、そろそろ勘弁してくれ。あんた、うわさになってるぞ」

「えっ」

 ぽかん、と口をあけて綾花が振り返った。何を言われたのかわからないとでもいうように、すこしの間、ぱちぱちと瞬きする。その顔が見る間に青く染まっていく。

「うわさ……って。まさか、電脳空間のことがバレて……」

「通い妻だと思われてるんだよ」

「カヨイヅマ? 聞き慣れない言葉だけど、どこかの組織名?」

 綾花がううむとうなりながら生真面目に考え込み、仁は唖然とした。「本気かよ。このお嬢様は……」と呆れ返りつつも、言葉の意味を簡単に説明する。恋人とか彼女とか。そういったより一般的かつやわらかな表現に変えてはみたが。

 すると綾花の表情が一気にふやけた。ぽーっと頬が桜色に染まり、ふわわわっ、と意味のよくわからない声を発して唇をわななかせている。

「な、な……っ!? し、失礼よっ。勝手に変な想像して、根も葉もないうわさを流してっ」

「毎日のように訪問して、三日に一度は食材を持ち込んで夕飯も作ってる。客観的に見て、根も葉もしっかりあるだろ」

「ええっ!? だって、私はただあなたを――エージェントにスカウトしてるだけでっ!」

 赤面した綾花が大げさに飛び上がる。

「って、あっ!」

 と、その拍子に、スカートのポケットから小型のPDAが落ちた。市販のホログラムPDAと似ているが、あまり見ないモデルだ。表面に「AST」というロゴが刻まれている。

 それを拾い上げて仁は鋭く目を細めた。

「エージェントのスカウト……か」

 そう、綾花はただの女子大生ではない。表向きには隠しているが、その正体は国家情報防衛局直下、ASTという組織のエージェントだ。二週間前に仁が電脳空間ARCANAに取り込まれた際に助けてくれた、命の恩人でもある。

 そのことには感謝している仁だったが、綾花の話を呑もうという気にはなれていなかった。

「俺の脳波がその仕事に適したものだという話はわかった。事故とはいえ、ARCANAの存在を知ってしまった以上、俺を組織に入れたほうが管理しやすいってのも理解できる。だが、このことはいっさい口外しないとあんたの上司とも契約書付きで約束してるんだ」

「知ってるわ。でも、私は個人的にあなたに協力してほしいの」

「どうしてそこまで俺にこだわる?」

「目」

 眉間にまっすぐ指を突きつけて、綾花はほんのすこしずれた答えを返した。

「お父様にはいろいろなお友達がいてね、小さいころからたくさんの“本物”を見てきたの。大富豪やベストセラー作家、総理大臣やプロ野球のスター選手にナンバー1電脳アイドル。各界の偉人と呼ばれるような人達よ。みんな普通の人とは違う目をしていたわ」

「目……輝き、とかか?」

 仁は怪訝そうに問いかける。

 くちびるに指を当てて、綾花は記憶をさぐるように眉を寄せた。

「うーん。そんなにはっきりした感じじゃないかな。くすんでる人もいるし、うつろな人もいるんだけど……自分のすべきことを見据えているような、そういう目をしているのよ」

「すべきこと?」

「そう」

「たとえば?」

「そう言われると困るけど」

 綾花は言葉どおりに苦笑を浮かべる。

次のページに続く!

Illustration:Production I.G
(C)SEGA

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データ

▼『CODE OF JOKER(コード・オブ・ジョーカー)』
■メーカー:セガ
■対応機種:AC
■ジャンル:ETC
■稼働開始日:2013年7月11日
▼『電撃文庫MAGAZINE Vol.34』
■発売:KADOKAWA
■発売日:2013年10月10日
■定価:720円(税込)
 
■『電撃文庫MAGAZINE Vol.34』の購入はこちら
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