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2013年9月12日(木)

『龍が如く 維新!』プロデューサーの横山昌義氏に独占インタビュー! キャラクターの魅力を最大限に引き出した新たな方向性とは!?

文:チョロ松

 セガがPS4とPS3で2014年2月22日に発売する、人気アクションアドベンチャーシリーズ最新作『龍が如く 維新!』。本タイトルのプロデューサーで、脚本の執筆も手がけている横山昌義氏に、今作のコンセプトや特徴などを存分に語っていただく機会を得たので、ここに紹介する。

『龍が如く 維新!』

 2008年にリリースされた『龍が如く 見参!』以来となる、過去の時代を舞台にしたシリーズ最新作『龍が如く 維新!』。幕末の時代を背景に、日本を変えた男たちの物語がつづられる。今回の主人公は“坂本龍馬”。彼は、父と慕う恩師を切り殺した剣士を追い、自らの名を“斎藤一”と変えて京都を訪れる。そして、腕自慢の男たちが集う“新選組”に潜入することに――。

『龍が如く 維新!』

■時代ではなく“人”に焦点を当てて物語を作る!

――現代から時代を移し、幕末を舞台とする本作ですが、この時代を取り上げた理由を教えてください。

 私も、総合監督の名越も、そもそも幕末という時代そのものに強い思い入れがあるわけではありませんでした。

 『龍が如く』の新作という商品を企画する際、私が毎回重要視しているのは“インパクト”と“クオリティ”です。制作する時の市場、作り手側や受け手側のさまざまな環境、シリーズとしての中長期的戦略など、考慮する点は限りなくあります。常に我々開発者はこの世界観を描きたい、このシステムにトライしたいなど、個人的な欲望があります。しかし、ごく当たり前の話ですが、商品としてのインパクトとクオリティ、この2つが担保されて初めて“商品企画”として検討できる段階に入れるのかと。

 最新作の制作においては、その“インパクト”と“クオリティ”の両面において、シリーズが培ってきた“キャラクター”という要素を中核に据える商品開発をすることで、これまでにない魅力的な作品作りができるのではないかと思い、企画化に至ったというわけです。

『龍が如く 維新!』

 これまでの『龍が如く』シリーズでは、“物語”“舞台”“世界観”を重視して企画設計をしてきたのですが、初めて“キャラクター”というものをド真ん中に置き、彼らが最も輝ける、最も魅力的に躍動できるゲーム作りを目指しました。その結果が“坂本龍馬”という人物、ひいては“幕末”という世界観の設定につながったというわけです。つまり、発想法がこれまでと真逆なんですね。

 ユーザーの方には伝わらないかもしれませんが、実は我々のチーム的には初めての挑戦でもあります。

――まずは人ありき。そして、その人がたまたま、その時代にいたと?

 そういうことになりますね。今回はたまたま桐生一馬が坂本龍馬となって登場しますが、もし彼がナポレオンになることが最も作品的にも商品的にも素晴らしいことなのであれば、そうしたと思います。それによって広がる遊び、広がるアイデアは必ずありますからね。実際、企画初期段階ではそれに近いアイデアもありましたし(笑)。

――桐生一馬が坂本龍馬になることはチームにとっての挑戦だったと。

 『龍が如く 見参!』を開発していたころから、「桐生が坂本龍馬って、合うんじゃね?」とかいう会話は、よくスタッフ間でしていました。実際ファンの方からそういったお声をいただく機会も多かったです。しかし、いざ頭の中でイメージしてみると、坂本龍馬ってのはつくづく扱うのが難しいキャラクターだと。

 日本において坂本龍馬は“英雄”です。小説に始まりドラマ、映画など、さまざまな“型”の龍馬が存在します。近いところでは、内野聖陽さんがドラマで演じた龍馬などは、まさに「これぞ!」という感じだったなのではないでしょうか。

 ですが年月を重ねるうち、私なりに龍馬というキャラクターを咀嚼(そしゃく)して、1つのイメージが出来上がるようになりました。もし桐生が龍馬として幕末に生きていたらこう生きるんじゃないか、と。そんな時、シーズとニーズがかみ合うタイミングが折よく訪れたので、挑戦させてもらったというわけです。

――坂本龍馬という人物を題材にした作品は、小説にしてもドラマにしても、彼が時代を動かしたんだというアプローチで作られていることが多いですよね。『龍が如く 維新!』では、どのような坂本龍馬が描かれるのでしょうか?

 恐らく、これまで誰も観たことのない坂本龍馬になるとは思います。性格も豪放磊落(ごうほうらいらく)ってカンジじゃないし、土佐弁もほとんどしゃべりません(笑)。ただ、『龍が如く』シリーズに一度でも触れていただいた方なら、妙に納得できるというか、「ああ、龍馬ってこういう人なのかも」というような感覚になってもらえるのではないかと思ってます。

 それもすべて、桐生一馬というキャラのパーソナリティと魅力が、坂本龍馬という人物の器やスケール感とマッチングするからなのだと考えています。

――では、史実の坂本龍馬とはかなり異なるキャラクターになると?

 坂本龍馬という人物が歴史的にやったとされてるエピソードは、すべてではないですが、ちゃんと描いています。近江屋でもキチンと殺されます(笑)。ただ、その歴史的結果へのアプローチが違うというか、プロセスが違うというか、かなり独自の構成にはなってますね。

 とは言いつつも、実際のところ“史実”と言われても、私自身、一体何が史実なのかよくわかってません。色々資料なども調べましたが、結局「さっぱりわからん!」というのが正直なところでした。

――謎が多くて、不思議な人ですよね。

 そうなんです。「時代に対してモヤモヤした思いを持ちつつ、モダンな考えを持っていた人なのかな?」とか、周囲をうまくいさめていた人みたいな、ざっくりとしたイメージはあるんですが、具体的にはイメージできない。

 それで、今度はもう少し調べてみると、けっこう色々やっている。けれど、やっぱり何をやった人なのかわからない。そんな状態の中で、初心に返り「桐生一馬 = 坂本龍馬とは何ぞや?」となった時に、時代を変えるとかいう大きなことではなく、もっと人物に寄った動機を持っていたほうが、桐生らしいんじゃないかと。例えば、オヤジさんを殺されたとか、愛する人間を失ったとか。そこで、時代を動かすっていう要素は他に任せて、個人的な動機で思い切り動く、桐生らしい坂本龍馬を作ろうと思いました。

『龍が如く 維新!』 『龍が如く 維新!』 『龍が如く 維新!』

→坂本龍馬と斎藤一は同一人物! なぜ素性を隠すのか?(2ページ目へ)

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