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2013年9月12日(木)

『俺の屍を越えてゆけ2』がいよいよ始動!! TGS2013に出展される試遊版を使ったプレビューと生みの親・桝田省治さんへのインタビューをお届け

文:長雨

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■『俺屍』を越える多彩な遊びがプレイヤーを待つ!

『俺の屍を越えてゆけ2』
▲桝田省治さん。『俺の屍を越えてゆけ』(PS/PSP)、『リンダキューブアゲイン』(PS)など多くの作品でゲームデザイナーを担当している。近年は小説やアニメの分野でも活躍中。

――ついに正式発表となりました。今の率直な気持ちを教えてください。

 「まだ、やることがあって大変だな」が率直な感想です(笑)。続編として、前作でプレイヤーのみなさんから出た要望や不満は当然解決しています。そういう部分に応えるのはプロとして当然だし、システムとして作るのもそんなに難しくありません。それ以外の新しい要素を作っている最中で、それがまだまだ大変ですね。

――『俺屍2』と前作のつながりはあるのでしょうか?

 世界観は前作と同じで、およそ100年後の物語になります。そのため天界で最高位にいる神様・太照天昼子や、彼女と深い関わりを持っている黄川人などキャラクターも当然登場しますよ。あと前作の御前試合で戦った人もいる阿部晴明は、より深く物語にかかわってきます。ただし、舞台が“京”ではありません。

 そのため、まったく新しい場所や迷宮を冒険してもらうことになります。また本作には、僕の書いた小説のキャラクター・夜鳥子も登場してもらっています。彼女がどう一族にかかわってくるのかにも期待してもらいたいですね。

『俺の屍を越えてゆけ2』
▲独特の存在感を放つ夜鳥子。彼女は一族たちと一緒に戦ってくれるようだが、まったく違う種類の技を使うようだ。

――主人公一族の拠点に、新キャラクターのコーちんがいました。彼女は、前作のイツ花のようなナビゲーションキャラになるのでしょうか?

 そうですね。ただ、できることをかなり拡張しています。『俺屍』はとっつきにくいとか、マニア向けという声が多かったんですよ。ゲームの敷居を下げて初心者でも遊びやすいように、コーちんはオススメのダンジョンや“このキャラにこれを買うべき”など、役立つ提案をしてくれるサポートキャラにしました。

 また前作のイツ花と違って、迷宮にも一緒についてきてくれます。そこ“走っていて体力が減ったら△ボタンで回復をして”など、探索に慣れるまでていねいに戦闘のアドバイスをしてくれます。

『俺の屍を越えてゆけ2』 『俺の屍を越えてゆけ2』
▲主人公一族の頼れる味方・コーちん。彼女は出陣や交神のアドバイスはもちろん、儀式の巫女などさまざまなお仕事をこなしてくれる。

――冒険の舞台となる迷宮のグラフィックや、戦闘の演出もかなり凝っていますね。

 迷宮はどこも、絵として美しい場所や日本の景色をイメージできる場所になっています。変なのは、ねうねう亭だけかな。1つくらいわかりやすくウケ狙いの迷宮があってもいいだろうと(笑)。

 PSP版のグラフィックは日本画や水墨画がモチーフで、筆で描いたようなタッチになっています。今回は、浮世絵の流れをくむカラフルな木版画をイメージしています。1番参考にしているのは、明治時代の色が豊富になった木版画作品ですね。その雰囲気を再現しようと頑張っています。術の併せをするとき動きや奥義のときのアクションも、より印象的になるようにしました。

『俺の屍を越えてゆけ2』 『俺の屍を越えてゆけ2』
▲独特のタッチで描かれた迷宮は、キレイ場所ばかりです。ただし、ネコだらけの迷宮“ねうねう亭”のように、ちょっと笑える迷宮もあり!▲術や奥義も、よりハデでカッコいい演出になっています。ほかの術や奥義の演出も、早く見てみたい!

――前作では味方だった神様が、迷宮のボスとして登場しました。なぜ、彼らが敵に?

 今回のボスは、すごく微妙な立ち位置の存在です。そのため、結構な数の神様が敵になってしまうんじゃないかな……。そのため、交神に悩むこともあるかもしれませんね。

――『俺屍』といえば、神様とのあいだに子孫を残す“交神”システムが有名です。“交神”に関係する新要素もあるのでしょうか?

 今回は、ユーザーの“能力だけでなく顔も遺伝してほしい”という声に応えています。テストでは2Dのイラストで作っていたのですが、どうしても福笑いのようになってしまって……。そこで一族と神様の顔を3Dで作り、容姿も遺伝できるようにしました。あと交神のコマンドの中に“転生”というのを入れています。

 詳しい内容は伏せますが、辞書で引いた通りの内容だとだけお伝えしておきます。またPSP版で評判のよかった神様のレベルアップも、後半でも緩やかに成長するように調整して入れてあります。

『俺の屍を越えてゆけ2』 『俺の屍を越えてゆけ2』
▲交神の間では、3Dモデリングされた神様たちに会うことができます。“交神”で生まれる子どもは、どこか親の面影を受け継いだ容姿になっているのもおもしろいです!

――サイトに“拡散”、“共有”、“参加”というキーワードが出ていました。この要素のヒントを教えていただけますか?

 本作ではすべてのプレイヤーが、ゲームの特性上それぞれ違った状態からスタートすることになるんですよ。そのなかで自分の拠点となる街に投資して、いろんな特色を伸ばしていくことになります。

 例えば神社仏閣だらけの街や弓作りに優れた街など、それぞれのプレイヤーの好みに合わせた街が作れるんです。そういったプレイヤーごとの違いを共有して、遊べるようなシステムを今作っています。この要素がどんなふうに遊んでもらえるのか、開発スタッフでもまだ完全には予想できていない部分があるのです。

 どう遊ばれるのか楽しみでもあり、びくびくしているところでもあります。そのびくびくを減らし、もっと完成度を高めるために、もう少し開発陣にお時間をください。もちろんネット環境がない人やデータを共有するような遊びが苦手な人でも遊べるように、ちゃんと作っているのでそういう方もご安心ください。

――PSP版では街の商業部門に投資していると、家宝の刀を作ることができました。本作でも制作できるのでしょうか?

 刀だけでなく、武器や防具はすべて作れるようになります。また今回は、街にある神社に神様をまつれるようにしました。例えば水神様をまつると、店売りの武器や防具に水属性がつくようになります。ただし全部の武器を作ったり、目当ての属性をつけたりするのはかなり大変です。ここでも、先ほどお話した拡散や共有などの要素が生きてくることになると思いますよ。

――特にここに期待してほしいというところはあるでしょうか?

 こちらから言うよりも、むしろ新しい遊び方を開発して、「こんな方法もあるのか」と私たちを驚かせてほしいですね。『俺屍』でも、想像していなかった遊び方をユーザーの方々には編み出してもらいました。PSP版で口癖や趣味を数文字足しただけで、物語を1冊作っている人や、「それでもクリアできるんだ」と思うほどガチガチに制限をかけてプレイしている人をWebサイトなどで見て、すごくおもしろかったですね。

『俺の屍を越えてゆけ2』

 他にもプレイ日記を書いてくれる人や、ゲームのプログラミングなどを分析している人もいましたね。『俺屍2』もおもちゃとして相当遊べるものになっているので、そういういろんな遊び方を見つけてもらいたいです。

 また、前作では容量の関係でセーブできるデータの数が1つだったのですが、兄弟で遊びたいとか、前にプレイした一族を残したいなどのご意見が多かったため、『俺屍2』は4つに増やしました。また、同じく容量の関係なのですが、一族の人数上限が前作では256人だったのが、『俺屍2』では1,024人にまで増えています。通常は100人くらいでもクリアできますが、クリア後もプレイし続けていただいたユーザーから上限が少ない、というご意見をいただいたのが増やした理由です。

――発売を楽しみにしているファンのみなさんにメッセージをお願いします。

 本作ではプレイヤーの行動が、より反映されるようになりました。そういう意味では今までと同じ遊び方もできますし、次元がまったく違うところで新しい楽しみ方もできると確信しております。我々の提案する新しい要素に、ぜひ期待してほしいです。

(C)Sony Computer Entertainment Inc.

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