2013年9月12日(木)
――そういえば、ケイブを辞めた当時はマイクロソフトに行くんじゃないか、みたいな噂がありましたよね。
それは、言われましたね(笑)。具体的にどこの会社に転職しますとかは言ってなかったので、久々に会う方々には「マイクロソフトさんに行くの?」とはかなり言われましたね。ただ、よく考えてみるとマイクロソフトさんとは仲はいいんですが、じゃあその中に入って一緒にやるかというと話は別になりますよ。
こう言ってしまうとアレなんですが、自分が仮にマイクロソフトさんに誘われて行ったとして、外からできることと中からできることというのはそれぞれ違いますし、自分はやはり外からやるほうが合っているような気がするんです。
正直、ハードメーカーに行って何ができるか、というビジョンが自分には浮かばなかったんですね。マイクロソフトの人からも「あ、うちなんですか?」と冗談言われたり、「違うわー!」と否定したりしていましたね(笑)。
――浅田さんはマイクロソフトの尻を叩いていたような印象がありましたから、皆さんがそう思われるのも無理なかったのかもしれませんね。
まあ、おっしゃるとおりべったりな関係でやってきてはいましたけどね。でも、ユーザーの皆さんはマイクロソフトがあまり効果的に動けていないという印象をお持ちだと思うのですが、本社が海外の会社で、なおかつ海外が好調な中で日本が何をできるかというと、なかなか動けない部分も多いんですよ。
でもそんな中で自分を担当してくれていたマイクロソフトさんの担当は、提案した内容に対して「こうしたらできるかも」とか、こちらの提案に対して常に向き合って行動してくれたので。お互い実現したこともあれば、できなかった事もありますが、それでも行動を起こさないで諦めたことはなかったですね。
ケイブでは、ほぼXbox 360だけをやってきましたが、当然ながらMAGES.ではPSフォーマットのソフトもやっていますので、今後どうやっていくかは自分の中の課題でもありますね。まぁ、現時点ではXbox 360とXbox Oneのタイトルを手がけることが決まっているわけなんですが。
――確かに、MAGES.に来たとなると色々と手の広げようはありますよね。
そうですね。ケイブの場合は、家庭用ゲームへの参入自体がほぼ最初ということもあって、まずはXbox 360でのシューティングゲーム市場をなんとかしようという所から始まっていましたし、他のハードにまで手を広げられなかったんですね。
これから先に目を向けると、PS4やXbox Oneといった次世代機が入ってきます。現在出ている仕様などを見ていると、現世代機にあるハードの違いはほとんどありませんし、ソフト的にもおそらくそんなに違いはないと思うんですよね。そんな時、どちらのハードで出すかというのは非常に難しい判断だろうなあと思います。簡単に考えて、両方のハードに出すというのが、どのメーカーさんでも主流にはなるとは思いますね。
もうすでに発表されていますが、自分がMAGES.で最初に手がけるタイトルはXbox LIVE アーケードタイトルの『Constant C』というタイトルです。Xbox Oneのタイトルについても、年内中にはお伝えできると思います。おそらく、自分が手がけるXbox 360用のソフトとしてはこれがラストなのかなと思います。「Xbox 360はこれでラスト」って何回言えば気が済むんだよ、って思われている方も多いかもしれませんけどね(笑)。
――これで3回目ですね。ちなみに、この『Constant C』というタイトルはどういうゲームなんですか? 浅田さんがこれまでやってきたゲームとはちょっと毛色が違いますが……。
『Constant C』は、海外のIGSという開発会社さんが作られたものなんですよ。PCゲームをメインに作られているところなのですが、今回家庭用ゲーム機に出すにあたって、色々と当たっているうちに自分のところに相談が来たという感じですね。
その相談が来たのが6月くらいなんですが、当然ながら自分はもうケイブを辞める直前でしたので、ケイブからは出せないという話をして。そうしたら次の会社で出せればお願いしたいという話になったので、それでは転職先の会社で展開しましょうって事になりました。
――次のパッケージタイトルは次世代機だということですが、次世代機の感触はいかがですか?
自分は主にXbox Oneしか触っていないんですが、とにかく言えることは新しいキネクトがすごい! ということですね。感度がすごく上がっていますし、赤外線だから暗い場所でも大丈夫ですし。カメラに関して言えば、Xbox Oneは非常に楽しみですね。キネクトのタイトルは個人的には非常にやりたいんですよ。
Xbox 360でキネクトを開発環境下で使用しましたが、メモリをとにかく使いまくるというのを最初に教えてほしかったです(苦笑)
ですが、次世代機の環境下では、そのあたりを気にせずに作ることができて快適そうです。コアゲーマーの方はキネクトなんていらない、と考えている人も多いと思いますが、今回はちょっと触ってみてもらいたいですね。より直観的になってますよ!
ゲーム業界って、今はどうしてもスマートフォンのゲームに押されている部分が大きいと思うんですよ。そこで、いかにゲーム機本体の電源ボタンを押させるか、押させるために魅力的なゲームを提供できるか、それは今後の課題になりますね。自分も自宅に帰ってすぐにゲーム機の電源を入れるか、となるとなかなか腰が重くなりますし。
――やるぞ、と心に決めておかないとなかなかボタンに手が届かないですよね。
実は、自宅で一番起動しているゲーム機ってWii Uなんですよ。自宅に帰った後に、iPadを持つかのようにWii U GamePadを持てるのがいいですね。TVをつけなくてもいいというのが大きいかもしれません。自宅内での端末としては使い勝手がいいですよ、Youtubeとかも見やすいですし。どのハードもWii Uくらい電源が入れやすかったら、自宅で据え置き機のゲームをやる人が戻ってきてくれるかもしれません。
→Xbox Oneのローンチに合わせてタイトルを発売?(3ページ目へ)
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