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2013年9月18日(水)

Xbox Oneの日本初お披露目となる“Xbox プレスラウンドテーブル”をレポート! 新機能を使ったさまざまな活用法を紹介!!

文:イトヤン

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■“ID@Xbox”で、誰もがゲームクリエイターになれる!

 これまで紹介されたように、Xbox OneはTV、音楽、映像などのコンテンツを集約するオールインワンのプラットフォームだが、その中核にあるのは最先端のゲームだ。しかし泉水氏によると、この“最先端”とは既存のゲームメーカーだけでなく、より小規模なゲームスタジオから発信される、新たな遊びを生み出すゲームのことも指し示しているという。

 ここで、海外で大きな注目を集めているインディーズゲームに対するマイクロソフトの取り組みとして、“ID@Xbox”のプログラムが紹介された。このプログラムは、8月にドイツで開催された“Gamescom 2013”で発表されたものだが、日本でもこのプログラムを推進していくという。今回は、マイクロソフト インディペンデント デベロッパー ディレクターのクリス・チャーラ氏が登場し、あらためて説明を行った。

『Xbox プレスラウンドテーブル』

 チャーラ氏は、「このプログラムの目的はとてもシンプルだ」と語った。たった1人のデベロッパーから大規模なスタジオまで、どんな規模のスタジオでも、自身のゲームをXbox Oneのオンラインストア上で配信(セルフパブリッシュ)できるようにすることが、ID@Xboxの目的だという。Xbox 360では、いったん配信したソフトに対し、アップデートで変更を加える際の費用負担が問題になっていた。しかしID@Xboxではどれだけソフトに修正を加えるのも無償とのことで、オンラインゲームなどで重要な、継続的なアップデートの負担が大幅に軽減される。

 しかもID@Xboxでは、KinectやXbox SmartGlass、クラウドなど、Xbox Oneの特徴でもあるすべての機能が活用できる他、完成したゲームはXbox 360のようにインディーズゲームとしてカテゴライズされるのではなく、大手ゲームメーカーのタイトルと同じ“Xbox Games ストア”に並ぶことになるという。チャーラ氏はこの点について「すべてのゲームは平等だ」と明言した。

 ID@Xboxプログラムに参加するデベロッパーには、現時点では開発キットが無償配布される形となっているが、将来的には市販のXbox One本体そのものを、開発機として使用できるようにしたいとのこと。また現時点では、プログラムに参加できるのはゲーム開発経験のあるデベロッパーに限定されているが、これも将来的には広く一般に開放したいという。

 チャーラ氏は、「将来は、Xbox Oneを持っている人なら誰でも、ゲームクリエイターになることができる可能性がある」と語った。また泉水氏は「日本では特に、ゲームの次の世代を担うような若いクリエイターを、このプログラムで支援していきたい」と語っていた。

 ID@Xboxプログラムの詳細は、日本のXbox公式サイトでも詳しく紹介されているので、興味のある人は参照してほしい。

■Xboxにとって、そしてマイクロソフトにとって、日本は今でも重要な市場だ

 最後に、集まった報道陣による質疑応答が行われた。日本における展開について、さまざまな質問が飛び出したので、ぜひチェックしておいてもらいたい。

『Xbox プレスラウンドテーブル』

――Xbox Oneの記録メディアにはBlu-rayディスクが採用されていますが、独自の規格を採用するという考えはなかったのでしょうか?

スペンサー氏:Xbox Oneでは大容量のフォーマットが必要となったので、Blu-rayディスクを採用しました。Xbox OneにはオンラインのXbox ビデオや、サードパーティのビデオストアもありますが、Blu-rayディスクで映画を観るというのもポピュラーであるため、“オールインワン”を目指すハードとしては、Blu-rayディスクを再生できることも必要だと考えたのです。

――Xbox Oneの音声認識は、日本語に完全対応するのでしょうか? またXbox OneにはHDMI入力端子があり、海外ではこの端子にCATVのセットトップボックスをつないで連動できると発表されましたが、日本ではどのように利用されるのでしょうか?

スペンサー氏:音声認識については、日本はもちろん、すべての主要なリージョン(国および地域)で、発売時に完全な対応を行いたいと考えています。それは簡単なことではないですし、その検証には時間が掛かってしまうことをご理解ください。

 またXbox Oneは、HDMI入力端子からTVコンテンツを取り込んで、それと連動することも可能になっています。ですが、音声認識と同様に、各国のTVコンテンツと連動できるように交渉するのには、かなりの時間が必要となります。各国の実情に合わせた、さまざまな展開を考えているところです。

泉水氏:技術的にいえば、お手持ちのHDDレコーダーやCATVのセットトップボックスをHDMI入力端子につないで、Xbox Oneから出力するといったことは可能です。こうしたことを使ってどんなことができるか、検討していきたいと思っています。

――インディーズゲームも含めたすべてのゲームは平等であるとのことですが、暴力描写などのレーティングも平等に行われるのでしょうか? 日本では現状、Z指定にレーティングされるゲームは実質的にオンラインでの販売が不可能に近い状態となっていますが、これに対してはどのように考えているのでしょうか?

チャーラ氏:インディーズゲームも、他のゲームと同様にレーティングの審査を受けます。その点では平等です。レーティングに関しては、リリースマネージャーが各デベロッパーにアドバイスする形になっています。インディーズ・デベロッパーがレーティングの審査を受けるといったことに対する援助も、ワールドワイドで行っていきたいと考えています。

スペンサー氏:アメリカではESAという団体がレーティングの審査を行っているのですが、この審査の手続き自体をもう少し簡略化できるように、交渉を行っているところです。ID@Xboxのプログラムを通じて、すでにクリス(クリス・チャーラ氏)のところには多数のタイトルが集まっているのですが、レーティングの審査で滞るようなことがないように、手続きをある程度自動化できればと考えています。そして、審査の結果によって得られたレーティングというのは重要なものですから、そのレーティングに沿って適切なユーザーに対して提供されるように、コントロールしていきたいと考えています。

泉水氏:日本でZ指定にレーティングされたタイトルに関しては、適切なユーザーに対して、できるだけスムーズに届けられるようなシステムを考えたいと思っています。われわれのプラットフォームが持っている機能をどのように組み合わせれば、そういった仕組みが実現できるのかと考えています。それと同時に今後、Z指定のコンテンツをどのように流通させていくべきか、他のプラットフォームメーカーさまも交えて、業界全体として話し合っていきたいと思っています。

――Xbox Oneのクラウド機能について、もう少し具体的な活用法を教えてください。

スペンサー氏:Activisionの『コール オブ デューティ ゴースト』では、クラウド上に専用の対戦サーバーを置くことを発表しました。これはゲーマーにとって、非常にフェアなマルチプレイ環境を築けるということを意味しています。

 また『Forza Motorsport 5』では、クラウド上にプレイヤーの操作を忠実に記録したAIプレイヤーを保存しておくことができます。他のプレイヤーが1人でプレイした時でも、そのAIプレイヤーと対戦することで、まさにそのプレイヤーと対戦しているかのような体験が得られるのです。

 クラウドの3つ目の活用法としては、演算能力の強化があります。Xbox Oneの演算能力は、本体に内蔵されたCPUだけでなく、クラウド上に存在する数百、数千ものサーバーの支援を受けることができます。もちろんインターネットを介しているので、リアルタイムのゲームに活用できるほど素早くはありませんが、長期間にわたる変化といったものを表現する際には、その恩恵を受けることができます。

 さらに、本日のデモでご紹介したように、自分のプレイ環境を世界中どのXbox Oneにサインインしてもすぐ再現できるというのも、クラウドの持つ大きな能力です。

――Xbox 360で導入された“Xbox SmartGlass”は、Xbox Oneではどのように活用されるのでしょうか?

ペネロ氏:スマートフォンやタブレットと連動できるXbox SmartGlassは、Xbox 360の発売から数年後に付け加えられた機能です。そのため、どうしても活用法に限界がありました。Xbox Oneでは、Xbox SmartGlassが最初から機能としてデザインされているので、いろいろなことに活用できます。タブレットなどを使ってコンテンツを購入したり、映画を観たりといったことはもちろん、ゲームでも活用できます。私のお気に入りの活用法は、『Dead Rising 3』で用意されているものです。このゲームでは、ゲームの中のキャラクターに対して、自分のスマートフォンから電話をかけることができるんですよ(笑)。

――Xbox 360では素晴らしいゲームがリリースされていたのに、日本でのハードの実売には結びついていません。Xbox Oneも同じような道をたどるという懸念もある中で、どのような対処を考えられているのでしょうか?

泉水氏:Xbox Oneでは、最高のゲーム体験とゲーム以外のエンターテインメントを含めた、“すべてをひとつに”にというコンセプトで準備を進めています。そうなってくると、これまで以上に日本独自のコンテンツやラインナップが重要になると思います。そのため、日本のユーザーのみなさんに十分に楽しんでもらえるラインナップをご用意して、発売を迎えるということが重要だと考えています。またXbox Oneは、さまざまな生活の場面で使用されるデバイスになりますので、日本のユーザーさんの生活の中に、きちんと溶け込むような伝え方をしなければいけないと考えています。

 マイクロソフト自身も、みなさんご存じの通り“デバイス&サービスカンパニー”へと変革していくために、大きな組織変更を行いました。そんな中で、Xbox Oneは今後のマイクロソフトの柱の1つを担うデバイスとして、日本マイクロソフト全体として展開していく形になりますので、これまでとは違った結果が出てくると信じております。

――日本が欧米よりも発売日が遅いということは、マイクロソフトにとって日本は“ファーストチョイス”ではなくなったのでしょうか?

スペンサー氏:初代Xbox、そしてXbox 360と、日本のゲーム市場に挑戦し続けてきたわけですが、日本市場は今でもXboxにとって、そしてマイクロソフトにとって重要だと考えています。ただ、Xbox Oneの完全な体験を味わってもらうためには、音声認識やエンターテインメント・コンテンツなどの面で、まだ時間が必要だということをご理解ください。それらがそろった適切な時期にXbox Oneを発売することで、日本市場でも成功できると考えています。

『Xbox プレスラウンドテーブル』

(C) 2013 Microsoft

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