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2013年9月21日(土)

『PS Vita TV』は何ができるハードなのか、しっかりと伝えていく――SCEJA戦略企画部 部長 植田氏が語るPS Vita戦略【TGS2013】

文:電撃オンライン

 新型PS VitaやPS Vita TVなど9月9日の“SCEJA プレスカンファレンス”では、新たなハードが発表された。これらのハードについて、ソニー・コンピュータエンタテインメント ジャパンアジア シニアバイスプレジデント兼 戦略企画部 部長 植田 浩氏にお話を伺った。

■タイトルが作り出す世界やお客様を理解することが大切

――まず、9月9日に行われた“SCEJA プレスカンファレンス 2013”の手ごたえからお聞かせください。

SCE植田氏
▲ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア シニアバイスプレジデント兼 戦略企画部 部長 植田 浩氏。

 私はライセンシー様とも交流がありまして、普段はなかなか辛口な評価をいただくことが多いのですが、今回のカンファレンスに関してはメディア様、ビジネスパートナー様をはじめ、多くの方から高い評価をいただくことができてうれしく思っております。

 私が声をかける前に寄って来ていただいて「よかった! びっくりした!!」という言葉を数多くいただきました。これに関しては純粋によかったと思います。商品についても、新型PlayStation Vita(以下、PS Vita)はよくわかる、PS4もわかる、PlayStation Vita TV(以下、PS Vita TV)に関しては、現状まだよくわからない部分も多いけどよさそう、と言っていただきました。

 PS Vita TVに関しては、カンファレンスでは情報量的に十分ではなかったので、“東京ゲームショウ 2013(以下、TGS 2013)”で改めて発表しますと、その場ではお伝えしていました。

――そして、開催中のTGS2013のPlayStaitonブースについて、新型PS Vitaの反響はいかがでしょうか。

 ブースにお越しいただいた販売店様やビジネスパートナー様からは、直接触っていただいたうえで「いいね!」とおっしゃっていただいています。PSPも1000番から2000番になった際、本当に軽い、薄くなったと言っていただきましたが、今回も同じようにコメントしていただくことができました。

SCE植田氏

――新型PS Vitaは、発売日が10月10日に控えていますが、新型を含めPS Vitaは、今後どのように展開していく予定でしょうか?

 PS Vita全体としては、現在“共闘”というテーマがあるので、まずは年間通してこちらを継続していきます。新型PS Vitaに関しては、もう少しカジュアルで女性層も含めたプロモーションを検討しています。当面、この2つを軸に展開していく予定です。

 TV-CMに関しては、生瀬勝久さんにご出演していただいているものに加え、カジュアル層に遡及できるようなプロモーションを現在検討しています。もう少ししたらみなさんにお届けできるかと思います。

――女性層もターゲットにという点で、新型PS Vitaがバンドルされた『オトメイト』パックも注目を集めています。これまでにはない珍しい形での展開ですよね。

 単純に『オトメイト』に多くの女性ファンの方がいる、だから発売してくださいというのではありません。私たちは販売戦略を考える際、その世界、そのお客様のことをまずは理解したい、というところから入っていきます。

 ですので1年半くらいかけてアイディアファクトリー様からご意見をいただき、今のファンの方々が何を求めていらっしゃるのか、何をしないといけないのか、ということを教えていただきました。その結果『オトメイト』パックが誕生した訳です。

 細かい話ですが、通常はゲームタイトルとのコラボパックは初回に生産数を決め、1回出荷の限定生産です。ですが、今回アイディアファクトリーさんにPS Vitaタイトルとしてご用意いただいた3タイトルは、発売時期がそれぞれ少し離れて3回あるんです。お客様の心に刺さる作品がそれぞれ発売されるタイミングで、お客様がハードを「欲しい!」と思っていただけた時にちゃんと買えるように準備をしていかないといけないと考えています。

――『オトメイト』のように、特定層をターゲットにしたパックのような施策は今後も検討されているのでしょうか。

 他のジャンルから登場することも十分にありえます。『ラブライブ!』や『艦隊これくしょん』などもそうですし、こういったジャンルはPS Vitaでしっかり展開していきたいと考えています。

――『艦これ』は、ほんの少し先日のカンファレンスにも登場していましたね。

 メーカー様は独自に、発表のタイミングをご用意されているかと思うのですが、ぜひあのPVのなかに、少しでいいので登場させてほしいとお願いさせていただきました。結果として、お客様から注目していただけたようでうれしく思います。

――PS Vitaのタイトルラインナップ自体が非常に充実していますよね。Best版も登場しますし、『ソウル・サクリファイス デルタ』、『ファンタシースター ノヴァ』など怒涛のように最新情報が公開されています。現時点のタイトルラインナップを見て、どのような手ごたえをお持ちですか?

 さまざまなジャンルのタイトルをどんどん登場させることができるのは、非常にありがたいことだと思っています。お客様にも盛り上がっていただけています。ここから大事にしていきたいのは、ライセンシー様と協力していち早くタイトルを出すということです。

 ライセンシー様にはライセンシー様の計画がありますが、お客様が「PS Vita いいね!」と思ってくださるモメンタム(勢い)を落とさないためには、お客様も「オッ!」と驚くようなタイトルを計画通りに発売したり、情報を随時出していくという努力が必要になります。ライセンシー様と相談しながら、継続的に情報を発信していきたいですね。

■PS Vita TVのプロモーションでは、まずお客様の声にしっかり応えることから

――PS Vita TVについても、TGSでのリアクションをお聞かせください。

 ビジネスデイということもあり、流通様が非常に多かったのですが、ここでも多くの方々から高評価をいただきました。我々は商品を出展する側なので、ある程度自分たちに自信や期待感はあるのですが、PS Vita TVに関してはどう感じられるのか、まったく未知数でした。ですので、「いいね、コレ。売れるかもしれないよ」と言ってもらえたのはうれしかったですね。

SCE植田氏

――PS Vita TVはどのような部分で受け入れられているという印象でしょうか。

 販売店様としては、この小ささと値段のお手頃さで1,300以上のタイトルがプレイできる、という部分に魅力を感じていただけているようです。将来的なシステムソフトウェアのアップデートによる、PS4とのリモートプレイであるとか、いわゆるゲームを軸にした部分が強くアピールできているかなと感じます。

 TGSのPlayStationブースでは、PS Vita TVでできることを1つ1つ紹介しています。PS Vita TVの試遊展示コーナーはサークル状になっているんですが、1つ1つの画面でそれぞれできることを紹介しています。ゲームアーカイブス、PSPタイトル、PS Vitaタイトルの試遊、TSUTAYA TV(ビデオコンテンツサービス)のデモンストレーション、さらにPS4とのリモートプレイなど、現時点でご提供できるサービスすべてが、このコーナーで知ることができます。

 PS Vita TVについて「実際どんな感じなのか知りたい!」と思われたり、分からないことがあれば、ぜひPS Vita TVのコーナーへお立ち寄りいただければと思います。

――ユーザーも、現時点ですごくいい印象を持っているようですが、発売までどういった展開を予定されていますか?

 PS VitaやPS4はゲームが主語だったんですが、PS Vita TVに関してはそうではなくて、ビデオも見れます、各種サービスもあります、ゲームはもちろんできます、というような順番で考えていました。そういう打ち出し方をして、カジュアル層や女性のようなこれまでPSの世界に触れたことのない方々に向けてアプローチしていこうと考えていたんです。

 ただ、9月9日のカンファレンスで発表した際、ゲームで日頃遊んでいるお客様に反応していただくことができました。お客様からのお問い合わせも多数頂戴しています。例えば「PS Vitaがないと使えないの」とか「今PS Vita持ってるけど、どんな連携ができるの」などといったご意見・ご質問ですね。

 そういったご意見を頂いたとき、カジュアル層の方々に向けたプロモーションはいずれやる、でも先にやらねばならないのは、今いただいているご質問にちゃんとこたえることだ、ということに気付いたんです。

 ですので、当面の展開としてはPS Vita TVに関するお客様の疑問に、きちんと答えられるようなプロモーションですね。その部分が実現できてはじめて、TV-CMなどで「PS Vita TV登場!!」としないと意味がない。「何ができるハードなの?」となったら本末転倒ですから。まずはその部分をしっかり固めよう、という方針に切り替えました。

→ライセンシー様と協力してPS Plusのサービスを充実させていく(2ページ目へ)

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