2013年10月1日(火)
▲タイトーといえば『スペースインベーダー』。コツコツと買いそろえたアパレルグッズを、読者の皆さんに自慢する時が来たようですね……。チェケッ! |
電撃オンラインのスタッフが、自分の好きな分野に突撃していく企画“ほぼ毎日特集”。「サウンドという切り口から、ゲームの新たな楽しみ方を発見しよう!」と、編集のミゲルがゲーム音楽作曲家の方々へ、ほぼ毎月突撃インタビューを敢行いたします。
第3回目となる今回は、タイトーのサウンドチーム・ZUNTATAの土屋昇平さんにフォーカスを当てました。インタビューの中では、土屋さんの代表作『ダライアスバースト』シリーズのお話も飛び出しますよ!
土屋さんは、個人としてインタビューを受けるのは初めてとのこと。このインタビューでは、土屋さんの今まで明かされなかった素顔が明らかに!? 前半となるこの記事では、作曲環境を中心に、作曲家へなろうと思った学生時代の壮絶な(!?)体験も赤裸々に語っていただきました。土屋昇平作曲の、貴重な未発表音源も本邦初公開しています。
土屋昇平:1979年生まれ。2003年にフロム・ソフトウェア入社後、2008年にタイトーへ移籍。『ダライアスバースト』や『グルーヴコースター』の楽曲を担当し、その独特な繊細で歪んだ音がファンの心を惹きつけてやまない。
――土屋さんが初めて音楽にふれたきっかけを教えてください。
土屋昇平さん(以下、敬称略):幼稚園のころ、ピアノを習ったのが最初ですね。音楽家でもなんでもないんですけれども、父がピアノを習っていて、家にピアノがあったんです。
――楽器を習っていた作曲家の方のお話を聞くことが意外と少なかったので、ちょっと新鮮です。
土屋:楽譜を読めはしますけど、僕ができるのは中学生の音楽の勉強レベルですよ。
中学と高校の時にブラスバンド部に入部していたんですが、そこで本格的に“演奏”というものに触れて、演奏を楽しいと思ったんです。高校の時は、コントラバスと学生指揮者をやっていました。すごく楽しくて、のめり込んでいましたね。
――ブラスバンドでは、どのような音楽を演奏したり、活動したりされていたのですか?
土屋:基本的にはクラシックですが、そんなに濃いクラシックではなくて、現代曲やポップスもやっていたかな? 年に3回くらい行われる大きな定期演奏会と、コンクールや文化祭のために皆で頑張るんです。だから、イベントには事欠かないんですよ。
――1年があっという間に過ぎそうですね。
土屋:そうなんですよ!
――そこでクラシックにたくさん触れたことが、今の楽曲に影響を及ぼしていると感じますか?
土屋:それはちょっと違うと思いますね。“音楽を学んでいた”というよりも、“部活をやっていた”感覚だったかな。とにかく、皆で“部活”をやっていて楽しかったんです。
今となって思えば、ブラスバンドの活動が音楽の身になっていたと思いますけれどね。“生の音”がどういうものなのか、体に染み付いています。
――ブラスバンドでは、コントラバスを担当されていたとのことですが、現在続けているエレキベースとのつながりとは?
土屋:中学生の時にてんかんを患っていたので、吹奏楽器の演奏を医者に止められていたんです。ブラスバンドの中で吹奏楽器ではないものというと、コントラバスとパーカッション。「コントラバスを演奏できると、エレキベースを弾けるようになるよ」と友だちに教えてもらって、「それはおもしろそうだな」と興味を持ちました。
丁度、近所のリサイクルショップにすごく安いエレキベースがあったので、「数千円だし買ってよ!」と父親にねだって買ってもらった記憶があります。
――リサイクルショップで!?
土屋:そうです(笑)。エレキベースを買ったはいいものの、いきなりは弾けないので、うまい人の演奏を聴いてみたいと思いました。ちょうど楽器屋に“ジャコ・パストリアス”モデルというエレキベースがあって、「“モデル”と付くものができるくらいだから、その人はすごい人に違いない!」と、CDショップに行ってアルバムを買いました。それが、生まれて初めて自分のお小遣いで買ったCDですね。
『Live in New York City Volume One: Punk Jazz』っていうCDですが、(聞いてみたら)ブッたまげてですね……、超絶カッコよくて……。カッコイイんだけど、「こんなの僕には絶対弾けない!」と思って、しばらくエレキベースの演奏をやめていました(笑)。買ったばっかりなのに、半年くらいやめていましたね。
※ジャコ・パストリアスとは、ジャズやフュージョンの楽曲を主に手掛ける、エレキベースのプレイヤーおよび編曲家。ベーシストとして、ウェザー・リポートのバンドに参加もしている。エレキベーシストの神様のような存在で、今もなお世界中に信奉者が多い。
→無気力だった大学時代――。
そこに訪れた作曲家を目指す転機とは?(2ページ目へ)
(C)TAITO CORPORATION 1978,2013 ALL RIGHTS RESERVED.