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2013年10月2日(水)

【ほぼ毎日特集 ♯50】『ダライアスバースト』で味わった“つらさ”とは? ゲーム作曲家インタビュー「教えて!土屋昇平先生」後編(ミゲル)

文:ミゲル

――『ダライアスバースト』の中で、特にオススメの楽曲がありますか?

土屋『Iron Corridor』に関しては、非常に僕らしいんじゃないかなと思います。飛行機に乗って戦う主人公2人の心情を表現したいと思っていました。戦いの丁度真ん中のつらさというか。

●『ダライアスバースト』/『Iron Corridor』

――オリジナルEXモードの3面目の曲ですね。難易度的にもプレイヤーがつらい局面かもしれません。

土屋:制作時は、「STGの曲や『ダライアス』シリーズの曲はこうでなければいけない」みたいな、抽象的な情報が入ってくるんですよ。そういったものを関係ないと思って作っていました。

 そもそも音楽というものは自由なものですが、その中でもゲームサウンドは随一の自由さを誇るもので、それが唯一の“ルール”だと思っているんです。その自由さが、この曲には詰まっているかな。

 『Iron Corridor』はすごく気に入っている曲なので、僕が初めて作った自主制作アルバムの題名にもなっています。友人が名付けてくれました。

 『ダライアスバースト』シリーズも『グルーヴコースター』も、今まで作ったどの曲もそうですが、僕は自分が気に入っていない曲は出さないんです。自分が気に入ってから納品する。自分の好きな曲が世に出ないと、おもしろくないじゃないですか。なので、「特に」と言われると結構難しいです(笑)。でも『Iron Corridor』は、すごく重要かもしれないと思っています。

――今や『ダライアスバースト』からSTGのイメージが定着した土屋さんですが、STGならではの苦労などはありますか?

土屋:2D STGというのはすごく難しいとは思いますね。僕は、ゲームから色味や心情、テンポや作り手の思いなどからインスピレーションを受けて楽曲を制作します。STGは、その基本がすごくシンプルなんですよ。

――そうですね。長いストーリーや会話がたくさんあるRPGなどに比べて、物語性をくみ取りにくいイメージがあります。

土屋:そうなんです。戦いもバリエーションがたくさんあるかというと、基本的には“敵が出てきてそれを撃つ”。インスピレーションをもらうことに関して、すごく難しい。

 昔のZUNTATAファンの方は、「ZUNTATAはストーリーテリングをしている」とよく言われるんですが、僕はそうせざるをえなかったんだろうなと思うんです。実際、僕の中にも『ダライアスバースト』シリーズのストーリーが文章となって存在しています。自分の中でのストーリーを作って、それに合わせて音を作っていくのは、2D STGらしい作り方なのかなと思います。

■人とのつながりで作る音楽。
『ダライアスバースト リミックス ワンダーワールド』の制作秘話とは?

――『ダライアスバースト リミックス ワンダーワールド』では、作曲家の方々に土屋さんが声掛けをして制作されたとのことですが、人と作る音楽のおもしろさとはなんなのでしょう。

土屋:元々、音屋(音楽クリエイター)さんはメーカーの垣根がなく、横のつながりの強い文化があるんです。『ダライアスバースト リミックス ワンダーワールド』は、いろんな人の解釈で、僕の曲をアレンジしてくれるチャンスでした。

 ゲームの作曲をメインにされている作家さんをたくさん選んだのは、「ゲームの作家って、すごいよ!」という、1つの僕の意地なのかもしれないです。

●『ダライアスバースト リミックス ワンダーワールド』試聴動画

――確かにそうそうたるメンバーが、ものすごくかっこよくアレンジされていましたね……。

土屋:取ってつけたようなアレンジアルバムにしたくなったので、僕が全部曲の題名と曲順を決めて皆さんにお渡ししているんです。ストーリーが決まっている中で作ってもらおうと思って。ストーリーテリングがしっかりしているアルバムのほうが、聴いている方が楽しいかなと思ったんです。何より、僕が楽しそうと思ったから(笑)。

 ゲームの概要をご説明して、タイトルから自由に想像して作ってもらったんです。ジャンルの縛りなどは特に設けていません。

――その指針は大きいですね。自分の曲をアレンジされるって、どんな気持ちですか?

土屋:そもそも自分の曲って、作り終えた後に自分の曲と思っていないというか、「誰が作ったんだろう?」みたいな(笑)。

――子離れしてる感覚ですか?

土屋:子離れというか、作っている時から自分が作っている感じがしないので、あまり自分のものだと思っていないんですよ。もちろん、大事な自分の曲であるという一面もあり、いろんな一面が内包されている感覚があります。アレンジされるのは、すごくうれしいしすごく好きですよ!

――逆に、誰かの曲をアレンジされる時はどんな気持ちですか?

土屋:僕はサンプリグミュージックがめちゃめちゃ好きなので、サンプリングは好きなんですけれど、リミックスやアレンジというのは、そこまで得意じゃなくて困るんですよね……。でも、「作って」と言われるとうれしいです(笑)。「じゃあ、変なことしよう!」と思っちゃいます(笑)。

――『すばらしきこのせかい Crossover~Tribute』にも参加されていましたよね。

土屋:あれは石元丈晴さんの曲がかっこいいですし、石元さんが「好き勝手やっていいよ」と言ってくれたので(笑)。

――アレンジをするにあたって、プレッシャーや気を付けていることなどはありますか?

土屋:やっぱり作ったオリジナルの人に、楽曲を気に入ってもらいたいとは思います。でも、そこまでのプレッシャーはないかなぁ。嫌われたら嫌われたで、まぁいいかなと(笑)。

 ただよく、「メロディを壊すな」とは言われます。以前アレンジを頼まれた時に、その曲の上の体形をまるっと削って、ほとんど聞こえないようにして、自分の曲を上から重ねて作ったんです。「鳴ってはいるから!」と言って提出したんですが、すごく怒られました。あと音の構成をすごく細かく切って、「音は使っているよ!」と言って全然違うフレーズにしたりとか(笑)。

――それは怒られますよ! むしろそれはアレンジというよりサンプリングじゃないですか!(笑)

土屋:逆に言うと、僕はそのくらい音楽は自由だと思っているんです。僕の曲を切ってぐちゃぐちゃに編曲されたとしても、僕は全然OKです。むしろ楽しい! 『ダライアスバースト リミックス ワンダーワールド』で言えば、Baiyonさんが体現してくれて、すごくうれしかったです。

 Baiyonさんのリミックスは、僕のフレーズなんて1個も入っていないんだけれど、全部僕の音を使ってくれているんです。新しい曲が生まれて、すごくおもしろかったですね。

→同人音楽のポジショニングとは……。
土屋さんの二次創作音楽との向き合い方(4ページ目へ)

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