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2013年10月4日(金)

【『三国志大戦TCG』開発者コラム「桃園だより」】第3回:基本ルール完成までの道のり

文:北岡功(『三国志大戦TCG』プロデューサー)

 皆さん、こんにちは。

 三国志大戦トレーディングカードゲーム(以下、三国志大戦TCG)のプロデューサーをしている北岡です。

 本日は基本ルールに纏わるお話をしたいと思います。なぜ基本ルールに関することかといいますと、基本ルールで最もこだわった部分が、今後の三国志大戦TCGにとってもとても重要だと私が考えているからです。

 さて、セガにとっては日本国内では初めての対戦型トレーディングカードゲームとなる三国志大戦TCGの基本ルールの完成は、想像以上に困難な道のりでした。

 北岡にとってはトレーディングカードゲームの開発は経験済みだったことも有り、基本方針さえ固まってしまえば、多少の困難はあっても予定通りに進むだろうと考えていました。

 私が三国志を題材に選んだ理由は「三国志が好き」。これはまぁ当たり前の事です。他には「本格的に三国志を題材にしたTCGが無い」ということも有りました。過去には三国志を題材にしたものも発売されていますが、今後「三国志のTCGといえば三国志大戦TCG」となる目標を今でも掲げています。

 また「セガには三国志大戦というアーケードで大成功したタイトルがある」という事でコンテンツとしての認知度などのメリットもあることは後押しにはなっていました。然しながら、アーケードであれほど大成功したタイトルをあえてアナログのTCGにすることの批判などのデメリットがあったことも事実です。そしてなんといっても「アーケード版三国志大戦」の印象が基本ルールにおいても大きな壁として存在していたのです。

 三国志大戦TCGの基本ルールの試作ルールでは、現在の自国力エリアと自陣エリアを武将カードが移動することが出来るシステムでした。これはカードを直感的に移動させるという行為でアーケード版の雰囲気を出そうとしていて、実際にカードルール的には面白い部分もあったのですが、国力が減ったり増えたりさせる狙いに反して、増やそうと思えばいくらでも増やせるといった欠陥がありゲーム自体は大味で単調なものになっていました。

 また、今のように計略カードを手札から使う(消費する)事しか出来ないルールだったので初心者にとっては今よりプレイが難しい(考えるというのとは違う意味で)ゲームとなっていました。

 2011年の9月にはこのルールをもう少し進めたものをα版としてカード印刷をし、セガ社内の有志50名程の方にお願いをして実際にテストプレイを行いました。

『三国志大戦TCG』開発者コラム「桃園だより」

 結果は、80%くらいの方からは正直微妙な反応でした。私自身はこの時に「このままのルールで行くか、作りなおすか」でものすごく悩みました。α版のルールのカードを移動して戦う部分は気に入っていたのですが、大半の方からカードの効果ではなくて、ルールが面白くないという回答だったこと、また社内で私のカードゲームづくりに以前から協力してくれていた友人が「今ならまだ間に合うから作りなおすべきだ!」と強力にプッシュしてくれた事が今の基本ルール誕生へと繋がりました。

 基本ルールの作り直しが決まった9月からは地獄のような日々でした。手伝ってくれる有志は日々の業務が別にあるので、その通常業務が終わった夜の8~9時くらいから終電まで毎日会議。TCGチームは、前日夜に決まったことを朝から夜までテストプレイ。このような日々が1月末まで続きました。

この中でとても苦労したのは、

・無双連撃
・国力を裏向き配備で1枚ドロー
・レジェンドルール

 の3点でした。

 無双連撃は今ではこのゲームの代名詞とも言えるシステムだと思います。この無双連撃も「同じ名前のカードでも可能」にするのかで非常にもめましたね。最終的には「同一カードのみ」とすることでデッキ構築が面白くなったと思います。また国力の裏向き配備に関しては実は一番最後に決まったルールです。

 テストプレイヤーからは、いつも「手札が足りないから初手を増やして欲しい」というリクエストが有りました。また手札が事故(使えないカードばかりが手札に来てしまうこと)った時に裏向きに国力を配備できるが、結局は事故ったままになる。という意見がありました。いろいろドロー枚数などを調整したのですが、テストに参加して頂いていたカードゲームの開発者の方がふと「裏向き配備時に手札が増える良いのでは」というアドバイスを下さいました。其の結果、国力配備に関するルールも整ったわけです。今振り返ると、とても多くの方に助けて頂いて完成したルールだなぁと思います。本当に人とのつながりは大事ですね。

 そして私が最もこだわったのが「レジェンドルール」です。レジェンドルールというのは、同じ名前のカードは2枚以上配備出来ないというルールです。三国志という世界には劉備や関羽などは1人しか存在しません。だからゲーム内にも1人しか存在できないということです。ゲームルール的にはこのルールを撤廃したほうが、手札の苦しみもありません。しかし面白いTCGであることと同時に「三国志のゲーム」であることが条件です。またレジェンドルールがあることで場には1枚しか出せない武将をどのようにデッキに何枚、何種類入れていくか。そこを悩みながらデッキを構築する。そんな楽しみが三国志大戦TCGの醍醐味の一つになれば良いと考えております。

 ニコ生やいろんな場所で既に何回もお伝えしていることですが、三国志に登場する武将には限りがあるので、資料を掘り返して聞いたことも無いような武将をカード化して登場させていてもいずれは限界がくる。だからカードのネタがなくなっちゃうんじゃないの? とよく言われたんですが、とんでもない!

 様々なシチュエーションと能力を持った同名カードがもっと沢山登場してその中からどのカードをデッキに何枚入れようかとデッキ構築でもっと楽しんで欲しい。また今までに出たカードも今後も追加されるカードによって強力に生まれ変わっていくことも想定しています。それらは全て「レジェンドルール」が可能にしていくと私は考えています。

 これからも新しい武将は資料を隅から隅まで調べて追加していきますが(笑)、既に登場している武将の2枚目、3枚目の能力に期待してくだされば幸いです。

 今後とも三国志大戦TCGにご期待ください。

 次回はブースタードラフトについてご紹介したいと思います。

 三国志大戦トレーディングカードゲーム
 プロデューサー
 北岡功

(C)SEGA

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