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2013年11月1日(金)

『World of Tanks』で多彩なカテゴリーの戦車を使いこなせ!【めざせ! 戦車道免許皆伝!! 第5回 駆逐戦車・自走砲・重戦車編】

文:田中尚道

 昔、学生時代の友人が「空軍はいいよな、大空のロマンを語れば認められる気がする。その点、戦車兵は、運転が好きだからとかでなるもんじゃないし」などと言っておりました。が、地べたをはいずるロマンもきっとあります。戦車は航空機に比べると地味で、泥臭くて、油まみれな気がしますが、「俺たちゃしがないボトムズ野郎」とニヒルに笑えば、すすけた背中もカッコよく見えるものです。

 そして陸の王者であり、陸上戦闘の華は、まぎれもなく戦車であります。『World of Tanks(ワールド オブ タンクス)』(以下、『WoT』)では鋼の騎兵として世界中のさまざまな場所を制覇できるのです。というわけで今回は、軽戦車と中戦車以外のカテゴリーに属する車両について考察します。

 ちなみに、「万が一戦争になったら、どの部隊に配属されたいか」という話もよくしますが、小官、会計課とかがいいです。戦車兵とか絶対イヤ! 箱の中で灼けた鉄の奔流に身を焼かれるとか、どこの地獄だよ!

『World of Tanks』

■【駆逐戦車】は戦車なのか?

 Tier IIにランクアップすると登場する“駆逐戦車”。走攻守ともにオールラウンドな性能を誇る中戦車などとは異なり、駆逐戦車は防衛に特化した装甲車両。小型の車体に口径の大きな砲を搭載していることが多いのですが、戦車と決定的に違うのは、旋回できる砲塔を持たないこと。史実では、装甲や搭載砲の陳腐化により一線を退いた車両の、火力増強策として登場しました。

 戦車砲は無論、戦車に搭載することを前提にして作られたものもあり、ドイツ軍の場合だとKwK(Kampfwagenkanone)と書かれています。英語にすると“Fighting Vehicle Cannon”。これに対して、PaKと書かれているものが対戦車砲です。

 ちなみに、PaKは“Panzerabwehrkanone”の略で、そのまま対戦車砲の意味です(基本的には、陣地を作って設置されていた対戦車砲)。37mm砲や、50mm砲、75mm砲なんかがそうですね。さらに言うとFlaKというものもありますが、これは“Flugabwehrkanone”の略で、対航空機砲のこと。つまりは対空機関砲や高射砲の転用です。

 88mm高射砲の対戦車砲への転用は一説によると、“砂漠の狐”の異名をとった戦車戦の申し子、エルヴィン・ロンメル元帥の発案であるとか。戦車砲も高射砲も、遠くに弾を飛ばすことには変わりないわけで、高威力かつ高い命中精度を誇る高射砲は、対戦車戦闘に用いるのに十分な性能を持っていたのです。

『World of Tanks』
▲戦車砲へと転用された対空砲と言えば8.8cm砲(アハト・アハト)が有名ですが、実は2㎝砲も対空砲だったらしい。知らんかった!

 戦車砲の威力はひとえに装甲貫徹力に集約され、これは弾の重さ×弾の速度で表されます。つまり、重い弾を速いスピードで撃ち出せば威力が上がるというわけです。弾の重さを増すためには、弾の直径を大きくするのが一番手っ取り早いので、相手の装甲が厚くなればどんどん大きな口径の砲を積まざるを得ず、戦車の車体も大型化していくわけです。そうすると、使い物にならなくなるのが、それまで主力だった多数の戦車。

 第2回の記事に書いた通り、兵器は【開発】→【投入】→【対抗】の3つのシークエンスで進化していくのですが、これが戦争中は大変な速さで進行するので、あっという間に主力が陳腐化してしまいます。かといって廃棄するのは時間も手間も掛かるので、なるべく長く使えるように改造しようというのが、駆逐戦車のコンセプトです。ちなみに駆逐戦車はドイツ軍での呼び方で、他の国では対戦車自走砲などと呼ばれていました。これは、対戦車砲を装甲車両にそのまま積んだからです。

『World of Tanks』
▲戦車から砲塔を取り去り、対戦車砲をそのまま積んだ形の駆逐戦車(対戦車自走砲)。結構雑なイメージです。

 草むらなどに隠れて、進攻してくる戦車を迎え撃つための対戦車砲。その一般的な移動方法は、トラクターや、時には牛馬で牽引するというものでした。ただ、ぬかるみにはまって立ち往生してしまうことも多く、迅速な展開は望めませんでした。

 そういった意味でも、無限軌道(キャタピラ)を持つ車両に対戦車砲を載せてしまうのは、理に適った運用でした。ところが、戦車の車体にそのまま対戦車砲を載せると、どうしても腰高になって、隠匿性が薄れてしまいます。ノッポの伏兵では、あまり待ち伏せている意味がないので、砲を車体と一体化させ、さらには露天式で防御に不安のあった砲に装甲を施し、最終的に駆逐戦車という形態に落ち着いたのです。

 砲も装甲も強化され、これで「敵戦車と対等に戦える!」と思えば、あにはからんや。砲塔は旋回しないうえ、強化されたとはいえども所詮は型落ちですから、敵の新鋭戦車にコテンパンにやられてしまいます。現実に、第二次世界大戦中のドイツ軍では、駆逐戦車を戦車と同様に運用して大損害を出したという報告があるそうで、実際に使ってみれば側面や背面に回り込まれてヒドイ目にあいます。あくまで、”自走できる対戦車砲”であると割り切るべきなのです。

『World of Tanks』
▲軽戦車など足の速い戦車は、駆逐戦車の天敵。後ろを取られれば、あとは一方的に攻撃され放題(泣)。

■駆逐戦車の長所と短所

 駆逐戦車の長所と短所をまとめてみれば、以下のようになります。

●駆逐戦車(TD、Tank Destroyer)

【長所】
・車体が小さい。
・搭載砲が同規模の戦車に比べて強力。
・移動もそこそこ速い。
・装甲も同規模の戦車に比べて厚い。

●【短所】
・旋回砲塔がない。
・過信するほど装甲が厚くない。

 低Tierの駆逐戦車は、軽戦車を改造した車体が多く、軽戦車のメリットがそのまま生かされます。すなわち、速くて小さいこと。ですが、軽戦車と同じように運用することはできません。軽戦車の任務は威力偵察ですが、駆逐戦車は砲塔が旋回しないため、敵が後ろについた時に走って逃げられないことがほとんどです。また背面の装甲は前面より薄いので、たやすく撃破されます。足の速さは、戦場での展開の速さのためのものと割り切りましょう。ミニマップを見れば戦闘が始まった場所は一目瞭然ですから、そこに急行して火力支援を行います。さらに、砲を撃てば自分の居場所が露見します。すぐにその場所から離れ、生存率を高めるためにも、高い機動性は有効です。

 もう1つのメリットである車体の小ささは、隠蔽性の高さに現れます。迷彩塗装や迷彩ネット、搭乗員の共通スキルである【カモフラージュ】を使用することで、駆逐戦車の本来の仕事である待ち伏せが効率的に行えます。メリットである強力な搭載砲も、同規模の戦車に比べればという話であって、上位Tierの戦車や、重戦車が相手だと、やや力不足な感も否めません。正面から撃ち合っても敵のほうが装甲が厚いなんてことがしばしばですので、通過する敵の側面や背面を狙うことで、撃破スコアを稼ぎましょう。駆逐戦車は、敵を誘い込んで消耗させる“後の先(ごのさき)”という戦法を非常に取りづらく、見つかったら負けだと思ったほうがよいのです。

『World of Tanks』
▲草むらに隠れて敵を待つ。駆逐戦車と自走砲には“迷彩ネット”が必需品です。

→自走砲は戦場を“面”で制圧するための戦略兵器!(2ページ目へ)

(C) Wargaming.net

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データ

▼『World of Tanks(ワールド オブ タンクス)』
■メーカー:ウォーゲーミングジャパン
■対応機種:PC
■ジャンル:ACT
■配信日:2013年9月5日
■価格:無料(アイテム課金)

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