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2013年11月15日(金)

【ほぼ毎日特集#61】目黒将司さんと土屋憲一さんのコラボが生んだ未公開音源を掲載! インタビュー「教えて!土屋憲一先生」(後編・ミゲル)

文:ミゲル

■過去と現在の“好き”から読み解く、土屋憲一を構成するもの

――好きなゲーム楽曲や作曲家の方はいますか?

土屋:多すぎちゃって……。好きなゲームの曲は全部好きなので、言いたいことがありすぎて本気で語り始めたら、“正座で徹夜”って話になってしまいますよ(笑)。

 ゲームアーツさんの『ファイアーホーク テグザー2』の曲がすごく好きです。あと、『ゼリアード』! “黄金の世界”の曲が特に好きですね。アイレムさんの『最後の忍道』、これは外せません。大事なサントラを借りパクした奴、誰だよ許さん。あ! システムソフトさんの『ソリッドランサー』や『大戦略III’90』もいいですね。このペースで語り始めると、何百タイトルと出てきますけどいいんですかね!?

 僕はあまり特定のアーティストさんを追い続けることがなく、たまたま耳に入っていいなと思った曲を場当たり的に買い漁るタイプなので、不勉強なことにゲーム音楽も作った方の名前を知らない曲がすごく多いんです。いちゲーム少年だったころは「あのゲームのあそこの曲がすごく好き!」という覚え方をしていて、作曲家をあまり意識していませんでした。

 ひょんなことから作曲家を知る機会があって、「あの曲はこの方が作っているのか~!」と改めて思うことがあるのですが、初めてゲーム音楽の作曲者のお名前を意識したのは、やはり古代祐三さんでしたね。『イースI』や『イースII』のあたりが、自分のゲーム音楽の原体験だと思います。

――作曲家インタビューを行っていると、皆さんから古代さんのお名前が出ますね。

土屋:この時代のパソコンゲームは、FM音源という今でもファンの多い音源を使っているのですが、古代さんはまず、パラメータが多くて狙った音を作るのが難しいこのFM音源を使いこなしているところがすごい。それに憧れて、自分も耳コピーをやるようになりました。

 ハッ! 好きな作品ですが、T&E SOFTさんの『ハイドライド3』や『ルーンワース 黒衣の貴公子』、……X68000やFM TOWNSを含めるともっと増えてしまいますが、『ライザンバー』や『ソルフィース』とか、この辺りは音源の使い方という意味でも神がかっていましたね。

 メジャーどころで挙げれば、『悪魔城ドラキュラ』シリーズも大好きです。『ダライアス』シリーズも好きで、特に『ダライアス外伝』がお気に入りです。ハイスコアが全国ランキングに載ったこともありますよ(笑)。

――ゲーム以外の曲でお気に入りのものはありますか?

土屋:たまたまテレビで流れているのを聴いて買ったり、映画を観に行った時に気に入ってサウンドトラックを買ったりしますね。サウンドトラックになってくれないCM曲とかも結構多いので、すごく困るんです。

 1曲を通しで聞くのではなくて、曲の一部……例えば「CMの中で使われている15秒がすごいかっこいい!」のように注目して聴くことが多いです。

――最近買われたCDを教えてください。

土屋:最近はもっぱらiTunesのダウンロード販売で購入してしまうんですが、ごく最近でいうと“鍵盤のプリンス”マキシムの曲を買いましたね。あとは、過去にブラスバンド部で演奏した懐かしの名曲のCDを見かけて、思わず買ってしまいました。

 NHKのドラマで役所広司さんが演じていた『宮本武蔵』の『Overture“FIVE RINGS”』とか、保科洋さんの『風紋』とか、レックス・ミッチェルの『大草原の歌』とか、我々世代のブラスバンドの名曲をよく聴いていますね。

 もっとも最近に買ったCDは、沢田研二さんのベストアルバムですね!

――ジュリーベスト!?

土屋:『おまえにチェックイン』とか『TOKIO』とか入っているんですよ。今だからこそ「すごーい! イカスー!!」ですよ! バックコーラスに佐野元春さんがいるとか、今になって気が付くところがあったりなんかして(笑)。

――渋い18歳ですね(笑)。

(爆笑)

■“遊び”を作る会社だからこそ、遊び心を持って挑む仕事

――効果音を含めると、本当にたくさんのタイトルを手掛けられていますね。

「教えて!土屋憲一先生」

土屋:いろいろやっていますね。『プリント倶楽部』の曲も担当しましたよ。オリジナルの曲も作りましたし、浜崎あゆみさんの楽曲の耳コピーもしました。

――そんなところまで! 懐かしいです。私も“ムー大陸”に遊びに行きましたし、フロストくんとプリクラも撮りました。

土屋あのプリクラの初代ジャックフロストは、副島くんが描いていたんですよ。一般の方には「プリクラくん」って呼ばれていることが多かった気がしますが(笑)。

――副島さんが! し、知らなかった……。

土屋:趣味を仕事にすることについてはいろいろな意見がありますが、僕はあまり働いているという感覚がなくて……って、なんかものすごいダメ人間な発言ですね! まあ、社会人としてどうかとは思うんですけれども、思う存分やりたいことができる時間と空間と機材を会社に提供してもらっているような感覚があります。

 大きな会社になればなるほど、高度なものを作るために分業・専門化が進んで、システマティックにならざるをえません。そんな中で、アトラスのように1人で曲も効果音も作って……という開発環境は、カッコよくいえば“オールラウンダー”ですが、与えられた裁量が大きい一方、システムとしては泥臭いほうで、今後どうしていけばいいのかな、という問題意識はあります。

――確かに、作曲、コンバート、効果音と専門分野を分ける動きは強くあるようですね。

土屋:僕が入社した当時のアトラスの原野社長は、「うちの会社を踏み台にして、もっとビッグなところにどんどん行け!」と新入社員に言っちゃうような豪快な方でした。でも申し訳ないことに期待に添えず、「今でもアトラスにいてどうもすみません……」と思うんですが(笑)。

 雑用……というか、自分の手が届く範囲の作業を、なんでもかんでも自分でやっちゃうような雰囲気の開発現場です。でもその環境が、自分にはすごく合っていると思います。「作曲家ですか?」と言われると、いや違います。「じゃあ、効果音屋?」と聞かれると、それも違います、と。僕は“ゲームを作る人”でいたいと思っています。ゲーム作りの現場にいて、ゲームのデータを作っていたいというのが一番大きいです。

 誰かが作った絵や物語に、自分が音を付けて作品を完成させるのは楽しいんですよ。スーパー雑用係になりたいというのが夢ですね。我々のやっていることは、ゲームありきですから。

――ありがとうございました!

 今回も、豪華読者プレゼントをご用意いただきました! 土屋憲一さんのサイン入り『真4』のB2ポスターと、アトラス作品でお馴染みのジャックフロストのかわいいラバーストラップをセットにして、抽選で4名様にプレゼントします。応募の締め切りは11月22日となっていますので、どしどしご応募くださいね。

「教えて!土屋憲一先生」

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