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2013年11月2日(土)

『鉄拳』に世代交代の波が到来か!? 世界大会での韓国優勝の裏では13才少年が世界3位に輝く――原田Pに訊く“これからの鉄拳”インタビューも掲載

文:つばちゃん

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 大会後に、『鉄拳』シリーズのプロデューサーを務めるバンダイナムコゲームスの原田勝弘プロデューサーにお話を伺った。“ミスター鉄拳”こと原田プロデューサーが、本大会を見て感じたことは何か。また、キャラクターの多さでは他の格闘ゲームを寄せ付けない『鉄拳』シリーズならではのキャラクターの作り方とは。有志が作り上げる『鉄拳』の大会について、メーカーとしての接し方とは何か。現役プレイヤーならではの視点で聞いてみた。

『鉄拳』世界大会
▲初代鉄拳番長さん(左)と原田プロデューサー(右)

■フィリピンの13歳、AK選手は今回の大会の中心だった

――今回の大会を振り返ってみて、印象に残ったカードを教えていただけますか?

 最初の予想としては、きっとJDCR選手のような韓国勢の勢いに圧倒されると思っていました。その予想をしていただけにフィリピンの、おとといまで12歳だった13才のAK選手、彼のマッチは最初から決勝の盛り上がりをしていましたね。あのカードが1番の印象です。

――鉄拳のプレイヤー層だけみると韓国と日本の2強ですが、その他でも盛り上がっている地域はありますか?

 これが難しくて、家庭用だけ見ると全体で4,400万本くらい売れています。実はそのうち、2,000万本以上がヨーロッパで売れているんです。ヨーロッパは、プレイヤーの数だけで言えば多いのですが、彼らは国が細かく分かれていますし、家庭用ベースなので大会も少なく、地域別でしかやってないというのが実情です。アメリカはやはりプレイヤー数がすごくいるのですが、アーケードという文化はありません。

――海外の多くでは家庭用が主流という感じですか。

 そうですね。海外ではアーケードは10年前くらいからほとんどありません。アーケードが残っているのは、アジアやオセアニア、中東などの地域ですね。その点で考えると、やはりアジアやオセアニアが強い。とはいえ、アーケードと家庭用では、盛り上がり方の質が違うんですよ。

――盛り上がり方の質というのはどういったところでしょうか?

 アーケードは「遊びが一切ない」というイメージです。アスリートの集まりのような感じですね。一方の家庭用なのですが、主にアメリカやヨーロッパに関して言えば、もう少し「お祭り的」なイメージ。好きな人同士が集まって盛り上がろう、みたいな感じが主流ですね。やはり、アジアやオセアニアのアーケードプレイヤーは“半年後に再会することを楽しみに腕を磨いてる”ようなところがあると思います。

■突き抜けたコンセプトのキャラクターをこれからも考えていく

――最新作として考えられている『鉄拳7』に関して、何かお聞きできることはありますでしょうか? 例えば、追加キャラクターの方針とか……

 アーケードと家庭用では、アーケード用はアジア寄りとして、家庭用は西洋寄りとしてウケているのが実情です。そういう意味ではワールドワイドな製品であると言えますね。例えば、日本でうけてるキャラはヨーロッパではうけない、ヨーロッパでうけてるキャラは日本ではうけないといったことがよくあります。だからキャラクターの方針を立てるのが難しいんです。

 要は八方美人にならなくてはいけないということです。でも『鉄拳』というゲームは八方美人なゲームではない。『鉄拳』は濃いキャラが意外とうけたりするので、やや突き抜けたコンセプトが必要なんです。

 そういう部分は、TwitterやFacebookなどを通じて意見を聞いています。僕らの意見とうまく合致すればそういうキャラができますし、逆に合致しなくてもそういったフィードバックを生かして、できるだけ多くの人がいいなと思うキャラが出せたらと思っています。ユーザーの皆さんがどこか1つ“すごくいい”って言ってくれれば、“他が嫌われてもいい”と言えるようなキャラを作りたいという思いはあります。

■ユーザーが立ち上げた大会が一番盛り上がる。これが必要なポイント

――11月3日に国内最大級のユーザー主催大会として“MASTERCUP.6”が開催されますよね。国内だったらMASTERCUP、海外だったらEVOLUTIONといったように有志の大会が今は数多く行われるようになりました。こういった大会へのメーカーとしてのアプローチは今後も続けていく予定ですか?

 これがまた難しくて、EVOLUTIONも昔は60人とか200人くらいで開催していた大会なんですよ。MASTERCUPもエントリー人数はとんでもない数ですよね。

――今回は700人超のエントリーがあるようです。

 観客じゃなくて、参加する人の数だけでその数って異常でしょう(笑)。そんな大会は、公式がいくら告知を出してもできないと思っています。プレイヤーが築きあげたからあれだけ盛り上がっているのでしょうし、僕らもできるだけ見てる人や参加してる人が喜ぶようなお手伝いをたくさんしたいと思っています。しかし口を出しすぎるのは絶対にいけないと思っているので、運営の盛り上げ方などに関しては基本的に口を一切出さない方針にしています。

 一言にアプローチと言ってもすごく難しいんです。かと言って放っておくのもダメですので、この関係はすごく難しいと思っていますね。逆に言えば、だからおもしろいんだと思います。世界を見ても日本を見ても他のゲームを見ても、ユーザーが立ち上げた大会が一番盛り上がっている。これは必要なポイントなんだと思います。

――今回は原田さんもMASTERCUPに参加されますよね。

 そうですね。僕自身、『鉄拳』の大会なんて出たことがないんです。立場が立場なので、これが初エントリーということですね。お祭りなので、1回出てみるか、ということで開発の人間を中心にチームを編成しています。やるからにはひやかしではなく、今の自分たちの実力を全部出し切ろうと思ってます。

――今回はありがとうございました。自分も大会に参加しますので、当日はよろしくお願いします。

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