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2013年11月12日(火)

『ドラッグ オン ドラグーン3』キャラクター考察(微ネタバレあり)。主人公ゼロは、なぜ血を分けたウタウタイ姉妹を殺すのか?【電撃DOD3】

文:タダツグ

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―フォウ[Four](声優:竹達彩奈)―

『ドラッグ オン ドラグーン3』

「私、ゼロ姉様とは戦いたくない……」

◆人物設定:ウタウタイ姉妹の五女。山の国を治めている。人の話をきちんと聞ける真面目な性格で、姉妹の中でも屈指の優等生。しかし、その四角四面の性格の裏側には、歪んだ劣等感が隠されている。他のウタウタイ同様に性欲は旺盛ながらも、抑圧された性格がゆえに性行為に及ぶ事が出来ず、姉妹の中で唯一、処女を守っている。瞳の色は緑。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲ややあどけない外見をしているが、しっかりかわいいフォウ。こんな美少女が劣等感の塊だというのだから、『DOD』の世界は奥深い。

◆サイドストーリー“家族の肖像”から読み取れる事実:ゼロを除く他のウタウタイの姉妹たちと過ごす、平凡な日常のエピソードを描きながら、フォウが心に秘める歪んだ劣等感が垣間見れるサイドストーリー。胸が“ぺったんこ”であることに劣等感を抱くなど、女の子ならではの悩みも描かれている。

 フォウの1人称は“私(わたし)”。優等生らしく、まるで母のように他のウタウタイの面倒を見るフォウだが、しだいに彼女は、その心に鬱積している不満を口にしだし、最終的にはファイブの挑発に乗る形で、負の感情を爆発させる。

 それまでは、他のウタウタイたちのいい部分を褒めていたフォウだが、突如としてその存在そのものを蔑み、否定しはじめる様を見ると、心にぞわりと冷たいものが差し込まれた気分。ある意味、もっとも『DOD』らしいサイドストーリーかもしれない。

 物語のラストでは、彼女がワンに寄せる深い信頼と、それ以上に親愛を寄せている(と思われる)ゼロへの気持ちも描写される。どうやらフォウは、今は敵となってしまっていてなお、ゼロに深い思慕の念を抱いているらしい?

 蛇足になるかもしれないが、この“家族の肖像”には、彼女の使徒であると予想されるデカートについての描写は一切ない。デカートが少し不憫に思えるが、彼にとってはそれすらもプレイの一環かもしれないため、ここでは深く考えるのを辞めておく。

◆『ウタヒメファイブ』から読み取れる事実:第0話から登場。IQ300を自称し、自らを“ウタヒメファイブの頭脳”であると豪語する。胸の成長が著しいファイブに対しては、この頃からすでに劣等感を抱いている様子。なお、フォウ本人は爪が伸びる速度が異常に速いことが明かされている。

 戦闘中は、その明晰な頭脳で相手を分析する描写こそあるものの、肉弾戦で戦うシーンは描かれていない。ウタのチカラを発揮すると、巨大な魔法陣らしきものを結界のように展開し、敵からの攻撃を防ぐ“古ノ絶盾(アルマロス)”を発動可能。この結界に触れた敵を、数秒の間しびれさせてしまうこともできる。

 第0話で公開された得意技は、巨大な蔦らしき植物で防御壁を作り出す“グラスグリーン・ウォール”で、これまた防御に適した力。イメージカラーはエメラルドグリーンである。

◆PVや実機プレイから予想されること:セカンドPVにのみ登場。ややぶりっ子なポーズを決めるなど、あざとさを感じさせる部分も。敬愛しているゼロと抱擁しているシーンも存在するが、ゼロの表情が見えないので、これが心温まるシチュエーションなのかどうかは断定できない。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲こちらはセカンドPVの一シーン。抱き合うゼロとフォウだが、どことなく不穏な気配も……。

 実機プレイでは、フォウの命を狙って攻め込んできたゼロを計略にはめて出し抜いていた。頭脳明晰であることを自称するだけのことはありそうだ。


―デカート[Decad](声優:井上和彦)―

『ドラッグ オン ドラグーン3』

「かたくて! 痛いッ!? うぅ、うっ、うぅっ」

◆人物設定:フォウに仕える“使徒”。鍛え上げられた肉体から繰り出す拳で戦う。他の使徒よりも常識を持ち合わせており、女性への気遣いも忘れない紳士。だが、真実は、自らに向けられた苦痛や逆境を試練という名のご褒美に変換する、極端なマゾヒスト。本人は隠しているつもりだが、その嗜好は全員に知れ渡っている。瞳の色は、フォウと同系統の緑。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲拳を用いてガンガン敵を殴るデカート。拳に伝わる痛みすら、彼にとってはご褒美とのこと。

◆サイドストーリー“すべては貴女のために”から読み取れる事実:フォウの使徒となったデカートが、どこまでも自らの性癖を追求していく様が描かれるサイドストーリー。すでに多くのファンが予想していたことだが、このサイドストーリーでようやく、デカートがフォウの使徒であることが描写された。

 デカートの1人称は“私(わたし)”。細かいことだが、ウタウタイと使徒で1人称が一致するのは、このカップリングのみだと思われる。物語はタイトルの通り、デカートがすべてをフォウのために捧げている様が描かれるが、読み進めていくうちに、それはまったくの欺瞞であることがわかる。

 「フォウのためならば死ねる」と豪語するデカートであるが、それはあくまでも自らのマゾヒズムを満たすための“プレイ”。真にフォウのためを思い、フォウの心を気遣っての行動ではないため、その行動には徐々に矛盾が生まれ始める。最初はデカートを頼もしく思い、心を開き始めていたフォウも、ある事件でデカートの性癖を知った後はその事実に絶望し、少しずつ距離を開け始める。しかし、デカートはそれすらもプレイとして享受してしまうので、溝はますます拡大するばかり……と、僕がフォウに感情移入していることも大きいだろうが、読んでいて非常に心が苦しくなる物語である。うぅ、うっ、うぅっ。

 なお、物語中ではフォウが自らを慰めていると思われる描写もあるが、その際に口にする“姉様”という言葉が実に印象的。その言葉が表すものは、はたしてワンなのか、それともゼロ? とても興味深い。

◆PVや実機プレイから予想されること:悲痛な表情でゼロに何かを訴える姿や、ひざまずいて忠誠を誓っている(と思われる)姿が見られる。「ゼロ様のために……」と誓いの言葉を立ててもいるが、フォウの時のことを思えば怪しいものだと言わざるをえない。

 実機プレイでは、もはやお笑い担当と言いたくもなるポジション。ゼロや仲間たちからの蔑みや罵詈雑言、目に入った砂の痛みすらご褒美と享受している様には、苦笑を通り越して尊敬の念すら抱くほどだ。

『ドラッグ オン ドラグーン3』
▲サイドストーリーを読む前は、デカートに『DOD1』のレオナールを重ねて見ていた部分もあったが、ここに来てその考えは払拭された感が……。その嗜好、全然隠せてませんからっ!!

 今回のキャラクター掘り下げ企画はここまで。次回は残るワン、スリイ、オクタ、トウ、セントたちについて踏み込んでいくので、こちらもお見逃しなく。

→ワン、スリイ、オクタ、トウ、セントの考察へ

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Character Design : Kimihiko Fujisaka.

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