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2013年11月14日(木)

『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』キーマンインタビューをお届け! 電撃文庫20周年の“お祭り感”を感じられるゲームにするために

文:カワカミ雁々

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■初心者向けやゲーマー向けというくくりのないタイトルに

――プレイをさせていただいた限り、とても遊びやすい構成になっていると感じたのですが、本作は格闘ゲーム初心者とゲーマー、どちらをターゲットにしたタイトルなのでしょうか?

『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX(ファイティングクライマックス)』

寺田D:どちらかと言えばですが、初心者向けになっていると思います。初心者の方に遊びやすく作ってはいるのですが、いくつかやり込みがいのあるシステムがあれば、上級者はそれを利用して、奥深いバリエーションを生み出していってくださると考えています。

亙P:ただ、初心者向けやゲーマー向けというくくりはなく、広く電撃文庫ファン、格闘ゲームファンに向けたタイトルだと思っていただければ幸いですね。もちろん、そのためには初心者のプレイヤー向けの入口になれるようなとっつきやすさというのは用意しなくてはいけないし、やり込んでいる方が物足りないと感じてしまうようではいけません。

 そういった方にも満足してもらえる何かを仕込まなくてはいけないわけです。両立するのは非常に難しい仕事ですが、トライする価値は大いにあると思っています。本作はAll.net P-ras Multiでリリースされますが、この中には『ギルティギア』シリーズのような格闘ゲームファンに高い人気を持つタイトルもあります。我々はそういった作品に続いて、また違ったプレイヤーの層に訴求していくような作品を作る使命があると考えています。

――対戦格闘ゲームというジャンルでは、初心者と慣れているゲーマーとの間に、技術に大きな差が出てしまうと思いますが、そういった点を軽減する具体的な施策を取る予定はありますか?

野中P:現段階でも、例えば初心者に向けては操作の難しさを緩和するべくコマンドを簡単にしたりすることなどで遊びやすくする工夫をしています。どんな方でもまずは触って、動かして楽しいというところを味わっていただけるようにするつもりです。ただ、同時にそこから先のゲーマーさんにも楽しんでもらえる部分についてもしっかりやっていきたいです。

寺田D:経験者と初心者の経験や技量の差についてはともかく、技の入力やコンボの難しさなどを僕たちでサポートしてあげることはできる。駆け引きの要素となるインパクトスキルや切札などはコマンドではなくボタン同時押しなどにしているので、上級者との戦いでもこういった技で切り返しを狙っていくことはできると思います。最終的な勝敗はともかく、初心者でも派手なバトルを楽しめるようにはしていくつもりでいます。

亙P:他の部署の人間にも意見をもらっているんですが、ゲームシステムや操作方法の工夫といった部分、ソフトウェアの部分だけでそれらを完全にカバーするのは難しいと考えています。運営の仕方、稼働のさせ方などにも踏み込んで、どうすればそういった問題を解決して作品が長く楽しんでもらえるかということはまとめていかなくてはならない。ロケテストでもそうなんですが、いつも宿題をもらったような気持ちでいます。

――システムなどで、こだわっている点やここに注目してほしいという部分はありますか。

寺田D:1つはサポートキャラクターのシステムですね。自分が操作するキャラクターの長所を伸ばすために使ってもいいし、弱点をカバーするために使ってもいい。原作の組み合わせで戦ってもいい。自分で積極的にカスタマイズしていってほしいと思います。もう1個はインパクトスキル。敵の攻撃を無効化して攻撃する、攻撃することがメリットとなるようなシステムで、ガンガンこれを使ってアグレッシブに戦ってほしいという意識の表れでもあります。これがゲームの特徴になっていけばいいなと思っています。

――積極的にインパクトスキルを使ってほしいと。

寺田D:そうですね。インパクトスキル同士がかちあったり、すり抜けあったりするのを見るとカッコいいなと感じてもらえるのではないかと思います。そういうところを楽しんでもらえればうれしいですね。

『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX(ファイティングクライマックス)』

野中P:ロケテストでも、飛び道具に合わせてジャストのタイミングでインパクトスキルを使って抜けて戦ってる人もいましたね。もちろんメリットばかりではなくて、例えば多段技などには効きませんし、ガードされるとスキもある。強いけれど、そこがまた駆け引きの材料にもなると思います。

――サポートキャラクターが戦略の幅を広げるとおっしゃいましたが、サポートキャラクターの効果はかなり幅広いものになるということでしょうか。

寺田D:そうですね。サポートキャラクターの効果はかなり多彩なものになる予定なので、自分に合ったもの、気に入ったものを使っていただけるんじゃないかと思っています。

亙P:プレイヤーとサポートの組み合わせは、「お祭り的作品」であり「ゲーマーも楽しめる格闘ゲーム」でもあるというこのゲームのコンセプトを象徴している面でもあります。戦い方を自分なりに組み立てていく手段であるため、ゲーマー心をくすぐるというか、あれとこれを組み合わせるとどうなるかと想像し、実際に使って研究して楽しむという点があります。それと同時に、原作にのっとった、あるいはあえて原作とかけ離れた組み合わせで戦ってみるドキドキ感、キャラゲー的な楽しみ方もできるようになっています。

野中P:ロケテ中もこのサポートはどうやって使うのか、こうやって使うのかみたいな研究が進んでいましたが、どのサポートも必ずこういう戦い方に組み込むといいよみたいな使い方を見つけてもらえると思っています。

――サポートキャラクターの差別化について、何か工夫されたことはありますか。

寺田D:キャラクター選択画面でキャラクターによってアタックサポート・ディフェンスサポート・エクストラサポートと表示されていますが、大きくはそのくらいに分類して、その中でいろいろな派生を作っていく予定です。すでにあるキャラクターでは、例えばリーファなら早さを生かしてコンボに組み込んでいけますし、《シルバー・クロウ》なんかは時間差で現れてサポートするので、立ち回りに組み込んでみるとかアタックサポートだけでもいろんな形が作れると思っています。

亙P:再使用可能になるまでの時間も各キャラクターで違うので、サポートの好みがプレイヤーによって出てきて差別化がなされると思います。格闘ゲームではよく、こういう組み合わせが強い、効率がいいという攻略がまずされていくんですが、今作ではそういったことを知らなくても楽しめるようになっているので、好きなキャラクターを選んで遊んでいただければと思います。

 性能はもちろん考えてはいきますが、同時に、原作で持っているキャラクター性を生かすように作ることを前提にしています。格闘ゲーム的にこのキャラクターはこういった設計で…とかではなく、このゲームの中でこのキャラクターをイキイキと動かすにはどうすればいいかということを第一にキャラクターを作っていきたいですね。

――10月に行われたロケテストでのユーザーの反応には、どういった意見がありましたか。

野中P:ゲーマーとそうでない方で意見がまったく違っていましたね。ゲーマーな人は例えばコンボのつなぎ方やコマンドの入力など、詳細な部分について書いていただいた方がたくさんいらっしゃいました。ありがとうございます。一方で、キャラクターが好きだと言う人からは、純粋な感想やこのキャラクターも出してほしいという要望をいろいろいただきましたね。

寺田D:僕が一番知りたかったのは、格闘ゲームに慣れている方の反応ですね。今回、コマンドなどを簡単なものにしたので、それに対してやりがいが少ないとか、そういった意見があると思っていたんですが、不思議とあまりなかった。簡単でいいという意見が多かったですね。コマンドが簡易な分、駆け引き重視で遊べていいのかもしれません。

野中P:コマンドについては悩んだ部分もあったんです。今回、格闘ゲームに慣れてない方のためにコマンドを簡単なものにして遊びやすいゲームにしました。もちろん、それは元々のコンセプトに沿ったものではあったんですが、逆に格闘ゲームには難しいコマンドやコンボをキチッと入力することで技が出て、相手を倒す気持ちよさもあると思うんですよ。

 そうした部分はトレードオフになるので、不満に思う方もいるのかなと思ったけど、ロケテでのリアクションを見ている限りそう言った声はあまりなかったので、これはうまくいったかな思って、少しホッとしています。

寺田D:集まった意見やネットの反応を見ていると、少しガードを崩しにくいという声があるようでした。これは実際に僕も少し感じる部分ではあったので、そういうところは今後変えていければいいなと思っています。

野中P:アンケートには書かれない反応や、仲間連れで来てる人たちが話していることも小耳にいれたりで、意見を1個1個採用するわけにはいきませんが、おおまかな全体の感想は把握できたつもりです。

――正式稼働の予定は2014年春ごろとなっていますが、その前に再びロケテを開催する予定はあるのでしょうか。

寺田D:やりたいとは思っているんですが、現状では未定ですね。ただ、ロケテでなくとも、何かしら触れられる機会を設けられればとは思っています。

亙P:今いろいろと決めているところなんですが、やはりスケジュールとの相談になりますね。遊んでもらう分にはやればやるだけいいと思いますし、できればユーザーの方にしっかり遊んでいただいて、それを見届けて、さらにそこで得たものを反映したいという気持ちはあります。

――正式稼動まではまだ少し時間がありますが、現段階では何パーセントくらいの完成度だと考えられていますか。

寺田D:40%くらいでしょうか。

野中P:多少謙遜して、そのくらいでしょうかね(笑)。一度完成というか、全部の要素を詰めてからも、そこから全体のバランスを取るための時間も必要になりますしね。本作は、キャラクターとサポートの兼ね合いもあるので、入れたいキャラクターは多いんですが、数が多すぎるとゲーム全体で収拾がつかなくなってしまうかもしれません。この辺はしっかりバランスとっていきたいですね。

寺田D:本当にまだまだコアができただけというところだと思います。

――最後に、本作に期待しているユーザーにメッセージをいただけますか。

『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX(ファイティングクライマックス)』

野中P:電撃文庫のファンも格闘ゲームのファンも、誰もが楽しめるゲームを目指しています。がんばって作っていくので期待していてください。

寺田D:格闘ゲームでもあり、キャラクターゲームでもある作品だと思いますので、キャラクターを大事にしてアクションやセリフを1つ1つ作っています。どちらのファンの方も満足していただけるタイトルにしていきたいと思いますので、今後も応援よろしくお願いします。

亙P:セガの格闘ゲーム、まったくの新作はなかなかないまま結構な年数がたっていますが、今回こういった形でコラボレーションが実現したのはセガとしても、アーケード業界としても、すごいことだと思います。しかも、それがコアなユーザーだけに向けた作品ではなく、電撃文庫のファンという幅広い層に訴えかけられる、アーケードのまた1つ新しい間口となる可能性を秘めたものなのですから。

 2D格闘は、20年来変わらないものと思われるかもしれませんけれど、そういったクラシカルなことをしっかり踏襲しておきつつ、新しいことをしているという自負を持って進行していきますので、来春の稼働を期待していてください。

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