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2013年12月13日(金)

主人公最強モノの学園バトル作品を描く上で注意した点とは? 『祓魔学園の背教者』三河ごーすと先生を直撃【Spot the 電撃文庫】

文:てけおん

 電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第97回となる今回は、『祓魔学園の背教者(ミトラルカ) -祭壇の聖女-』を執筆した三河ごーすと先生のインタビューを掲載する。

『祓魔学園の背教者(ミトラルカ) -祭壇の聖女-』
▲ukyo_rst先生が描く『祓魔学園の背教者 -祭壇の聖女-』の表紙イラスト。

 本作は、“世界最強の聖女”を護る、祓魔師志望の少年・逢沢拓真(あいざわ たくま)の活躍を描いた学園バトルファンタジー。

 祓魔師――それは信仰する神仏精霊を具現化し、悪魔契約者と戦う選ばれた聖職者。逢沢拓真は信仰を持たない身でありながら、祓魔師を養成する“祓魔学園”の門戸を叩く。そこで彼が出会ったのは強大な力を持ちながらも邪教の信徒とされ、その力を禁じられた少女・ミトラルカ。禁忌の力を狙い来る敵から“世界最強の聖女”を護る。信じる神を持たない背教者の戦いが今、幕を開けた!

 三河先生には、本作のセールスポイントや小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている他、第2巻が来年1月に刊行予定。さらに、三河先生が執筆する『CODE OF JOKER(コード・オブ・ジョーカー)』の特別掌編が電撃オンラインの特集ページ内で連載中。興味がある人はぜひご覧いただきたい。

――この作品を書いたキッカケを教えてください。

 いくつもの企画や原稿を書きまくってはいまいち納得できなくてひっこめる――というようなことを数カ月続けていたある日、“祭壇を背負った銀髪の少女”が頭にいきなり浮かんできまして……よし、この子をヒロインに書こう、と。祭壇ならば宗教だろうということで宗教を題材にすることに決めました。

――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?

 最強の主人公が最強のヒロインを護る派手な護衛アクションモノ、あらゆる宗教の教区が集まった街という特殊な世界観(巫女もシスターも自然にごった煮)、といった特徴がありますが最大のセールスポイントは邪教の教祖なのに健気カワイイヒロインですね。とても護りがいのある子です。

――作品を書くうえで悩んだところは?

 既存作品との差別化ですね。いわゆる“主人公最強モノの学園バトル作品”というのは、ここ1年以内で爆発的に数が増えていまして……バトルの工夫や世界観、主人公やヒロインの在り方などで作品独自のモノを出していきたいなと。とはいえ今作には“宗教”という柱があったので、古代宗教や宗教の文化的側面なんかと絡めていくことで解決できたかな、と思っております。

――執筆にかかった期間はどれくらいですか?

 着想を得てからは2、3カ月ほどで執筆しました。ああでもないこうでもないともがきながら書いたので、平均的な自分のペースよりは時間がかかってしまいましたね。

――執筆中に起きた印象的な出来事はありますか?

 〆切間近なのに原稿がいっさい進まなくなった時に腕立て腹筋スクワットをしながら神様に祈るという他人にお見せできない奇行に走った作家が友だちの友だちにいるらしいですよ。背教者の話を書いておきながら神様に祈っているなんてとんだ自己矛盾野郎ですね。いったい何三河の話なんだ……。

――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。

 ヒロインは、外見がパッと頭に浮かんできました。その上で“かわいそうな状況に置かれたヒロイン”というのが好きなので、疎まれている健気カワイイ邪教の教祖様にしようと思い、主人公はその護衛ポジション――最強のヒロインを護る最強の主人公に! と。あ、ヒロインは1人ほしいです。飼いたい。

――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?

 キャラクターを人間として魅力的に描くことですね。「こんな奴になれたら素敵だな」とか「こんな人と友達or恋人になりたいなぁ」とか、読者さんにそう感じていただけるキャラクターを書きたいと常々思っております。

――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?

 手ぶらで散歩に出かけます。どうやら私はダメ人間のようなので、その場その場で一番楽しいコト、ラクなコトに逃げる傾向があるんですね。歩いている間は退屈なので“一番楽しいコト”が頭の中で妄想を働かせることになるわけです。すると不思議とアイデアがまとまって、家に戻るころには原稿を書きたくて仕方ない状態になっています。

――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?

 映画『鳥』などを手掛けたアルフレッド・ヒッチコック監督のシナリオ、ストーリーテリングに対するスタンスには大きく影響を受けています。予算が少なくてもシナリオの工夫ひとつでスリリングな物語にできる……やれることの少なかった高校生だからこそ、監督の考え方に触れたことで、文章だけですごいものを描けるかもしれないという気持ちになったわけですね。

 また、『魔界転生』などで有名な山田風太郎先生や、『魔界都市《新宿》』シリーズなどの菊地秀行先生のアクションとドラマにはとても影響されています。熱く、かつ、わかりやすく、おもしろい。自分もそういうもの書いていきたいなと考えていますね。

――現在注目している作家・作品は?

 『オレたちバブル入行組』の池井戸潤先生ですね。ドラマ『半沢直樹』から原作に入ったのですが、独自の題材で勧善懲悪! というのが好みのストライクでした。今作『祓魔学園の背教者』を勧善懲悪の精神で書いているのも、そういう作品が好きだからだったりします。

――今熱中しているものはなんですか?

 海外TVドラマのDVDを大量にレンタルして観ています。電撃文庫のある作家さんからインプット方法のひとつとしてオススメされたのですが、気づいたら純粋にハマっていました(笑)。

――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。

 ブラウザゲームの『艦隊これくしょん』を……って、これあらゆる作家さんが同じタイトルを挙げるんじゃないかな(苦笑) あっ、『ポケモン』の最新作『ポケットモンスター X・Y』も最近はじめました。

――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。

 “主人公最強”、“健気カワイイ教祖様系銀髪美少女ヒロイン”、“宗教都市”――といったわくわくする要素全部のせでお届けするエンターテインメント、『祓魔学園の背教者(ミトラルカ)』をどうぞよろしくお願いします! ミトラルカちゃんの信者になってあげてください!

(C)三河ごーすと/KADOKAWA CORPORATION 2013
イラスト:ukyo_rst

データ

▼『祓魔学園の背教者(ミトラルカ) -祭壇の聖女-』
■発行:KADOKAWA
■発売日:2013年10月10日
■定価:本体590円+税
 
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