2013年12月21日(土)
電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第98回となる今回は、『今日からかけもち四天王! ~ネトゲの彼女はボスでした~』を執筆した高遠豹介先生のインタビューを掲載する。
▲こーた先生が描く『今日からかけもち四天王! ~ネトゲの彼女はボスでした~』の表紙イラスト。 |
本作は、とある事情からネットゲームで勇者と魔王を守ることになってしまったネトゲ初心者・初島理央(はつしま りお)の“板ばさみネトゲライフ”を描いたラブコメディ。勇者軍と魔王軍で戦争するネットゲーム『勇魔戦争オンライン』を始めた初島理央。勇者としてプレイする宇留野麻未(うるの まみ)と仲よくなった彼は、ネトゲ素人ながら勇者を守る親衛隊の1人になってしまう。
そんな中、幼馴染の早坂亜梨沙(はやさか ありさ)が魔王役であることを知った理央。悩んだ彼は、ぼっちな亜梨沙を守るため、こっそり別キャラを作成し魔王を守る四天王の1人になってしまう……。
負けたらキャラ消滅という厳しい条件でプレイするかわいい勇者&かわいい魔王を守るため、理央は両陣営をかけもちして、2人の決着の邪魔をすることになり!?
高遠先生には、本作のセールスポイントや小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。
――この作品を書いたキッカケを教えてください。
以前の作品『三井澄花と四角い悪魔』というクレジットカードを取り扱った小説の後書きで、私は延滞債権の取り立ての仕事をしていると話しましたが、実際の話、クレジットカードを使ってガチャなどの課金をし、支払いができなくて延滞する人が増えています(もちろん取り立てます)。
話を聞いてみると「息子、娘が使った」という声もあります。それくらい、オンラインゲームやソーシャルゲームが流行し、それに伴うトラブルも増加傾向にあるのだと感じました。ところで去年の冬に上野で開催されたツタンカーメン展に行って、古代エジプトの文明は同時期の日本よりも遥かに進んでいたことに驚きを隠せませんでした。
そこで思ったのです。「ネットゲームの話を書こう」と。
――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?
“ネトゲもの”と聞いた時、皆様がどのような物語をイメージされるかはわかりませんが、おそらくそのイメージよりも現実部分の割合が多くなっていると思います。本作はゲームとしての物語よりも、現実、ゲームにおける主人公たちの人間関係を主に描いたつもりです。作中の言葉を使うなら「ゲームの話をリアルに持ち込む」「リアルの話をゲームに持ち込む」といった内容になっています。
また、主人公の好物をファンタオレンジにすることにより、コカ・コーラのほうにタイアップしてもらおうという狙いもあります。今のところ、連絡はないようです。
――作品を書くうえで悩んだところは?
作中で主人公たちがプレイすることになるオンラインゲームの設定です。読者の全員がネトゲ経験者とは限りませんので、というよりやったことない人でも気軽に読めるように、できる限りシンプルな世界観にしました。
――執筆にかかった期間はどれくらいですか?
4カ月くらいです。その間に異動して営業になりました。
――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。
主人公は“男子”にしようと決めていました。性別のことではなく、きちんと男子らしい感性の持ち主という意味です。そして書いてみると、みるみるうちにバカになりました。
――執筆中の印象的なエピソードはありますか?
原稿を送るたびに担当さんが「スーツの女性は出ないんですか?」と詰め寄るので、その担当さんの首の付け根あたりをガッとやるのが大変でした。
――小説を書く時に、特にこだわっているところはどこですか?
会話も地の文のテンポがすべてです。読者のストレスを限りなく軽減できるように読みやすく書いています。
――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?
落ち着いた雰囲気の喫茶店で執筆をしています。マスターが電源も自由に使っていいと言ってくれる素敵なところです。コーヒーはコロンビアをよく飲みます。
――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?
前回のインタビューでは転機となった(道を踏み外した)きっかけとして『シスター・プリンセス』と回答しましたので、今回はゲームではなく人物を答えたいと思います。咲耶です。
――現在注目している作家・作品は?
松岡圭祐先生の『Q』シリーズにハマりっぱなしです。他の質問事項をすべてカットしてこの作品について語りたいのですが、どうやらそういうわけにもいかないようです。残念。引っ越すなら飯田橋と言いたいところですが、あそこにはアレがありますからね、アレが。
――今熱中しているものはなんですか?
最近やっとスマホに変えて『魔法使いと黒猫のウィズ』をやっています。くっ……クリスタルを買おうと指が勝手に……!
――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。
『ポケットモンスター X・Y』です。最初の一匹は炎タイプに決めています。
――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。
タイトルに“ネトゲ”と入っていますが、ネトゲ未経験の方でも安心して楽しめると思いますので、ぜひ手に取ってみてください。ネトゲをプレイ中の皆様は、いつもよりログインを2時間ほど遅らせていただき、本作を読んで頂けるとうれしいです。心配しなくても同じギルドの方もこれを読んでいるでしょうから、遅刻しても怒られません。2人のヒロインに現実でもゲームでも板挟みになった主人公の奔走っぷりをお楽しみください。
→高遠先生が執筆した『三井澄花と四角い悪魔』のインタビューはこちら!
(C)高遠豹介/KADOKAWA CORPORATION 2013
イラスト:こーた
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