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2013年12月27日(金)

【スクウェア・エニックス安藤の召喚★アプリ神】また1人、アプリの神を発見! DeNA『マジック&カノン』馬場保仁氏

文:電撃ゲームアプリ

『スクウェア・エニックス安藤の召喚★アプリ神_第13回』

 ゲームアプリ情報誌『電撃ゲームアプリ』で連載中のゲームクリエイター対談企画“スクウェア・エニックス安藤の召喚★アプリ神(GOD)”。『電撃ゲームアプリ Vol.13』に収録された第13回を、Webでもお届けします!

 この連載は、ソーシャルゲームを手掛けるクリエイター(アプリ神)を召喚し、スクウェア・エニックスの安藤武博氏がお話を伺う対談企画です。第13回は、『マジック&カノン』を手掛けた本格RPGのアプリ神に会うために、安藤氏がDeNAを訪れました。

『スクウェア・エニックス安藤の召喚★アプリ神_第13回』
▲ナビゲーターは、コンシューマやスマホ向けのタイトルなどを数多く手掛けているスクウェア・エニックスのプロデューサー・安藤武博氏。

 『マジック&カノン』は動物の国をいくつも渡り歩いて冒険し、次々と発生するクエストをクリアしながらゲームを進行するコンシューマさながらの王道RPG。ボリューム満点なのに、手軽に遊ぶことができるのも大きな魅力だ。

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■DeNA 馬場保仁氏
『スクウェア・エニックス安藤の召喚★アプリ神_第13回』
▲『マジック&カノン』のプロデュースを担当。趣味は、乗馬と野球とカレー。

安藤武博氏(以下、安藤):今回は『栄冠へのキセキ』や『マジック&カノン』を手がけられた、DeNAの馬場さんを召喚させていただきました。実は今年、結果的に僕が一番やり込んだゲームは『栄冠へのキセキ』なんです。

馬場保仁氏(以下、馬場):安藤さんは一時期、全国で2位になっていたそうですね。

安藤:そうなんです、全プレイヤーの中で5本の指に入るほどやり込みました(笑)。当然、時間もお金も費やしたし、それぐらいおもしろいと思ったんですね。

馬場:ありがとうございます。

安藤:馬場さんはゲーム制作の入門書ともいえる“ゲームの教科書”という本も書かれるなど、ゲームの構造的な正体とか、おもしろさへの立ち向かい方を知っている方です。そういう方がWebサービスはもちろん、球団や陸上チームまで持っているDeNAという総合企業でゲーム作りをしている。すごく興味深い立ち位置ですよね。そういう面からもお話を聞きたいと思っています。

 2013年に体験したチャレンジングなゲームシステムとして、衝撃的だったのは、『栄冠へのキセキ』の“卒業”でした。レアな選手が卒業して、お金をかけたかもしれないものがなくなってしまうと、プレイヤーにとってはゲームをやめるきっかけになったりモチベーションが下がってしまう可能性があります。そこをあえてチャレンジされた狙いはやっぱり高校野球をリアルに切り取りたかったからですか?

馬場:それもありますし、前職で野球のゲームを作っていた時から思っていたんですが、結局選手の強さって右肩上がりになっていくんですよね。コンソールだとそれでもいいんですけど、ソーシャルゲームで毎日遊んで確実に全部積み上げていくと、最強チームができた時に終わってしまうんです。

安藤:そうなりますよね。

馬場:なので上がるだけでなく、「世代交代に失敗した」みたいな、沈む波をどこかに作らないといけない。その表現をリーガルにやるとなると、高校野球の方がちゃんとできるんじゃないかと。ただ引き継いでいくものが存在していないと積み上げられないので、選手で積むところと学校で積むところと、両方持たせたんです。

安藤:それで“継承”ができたりするんですね。馬場さんはやっぱり本質的だなと思ったのは、並のクリエイターが野球を取り扱うとプロ野球も高校野球も一緒になる。でも『栄冠へのキセキ』からは、両者は明確に違うものだというメッセージが伝わってくるんです。高校野球って3年で終わってしまうし、腕立てや腹筋のような地味なことをコツコツやっていくのも本質の1つで、それがゲームシステムに凝縮されている。僕は全国レベルでトップランカーになりましたが、夏は優勝できたんですがセンバツはいまだに優勝できていないんです。それもすごく高校野球っぽい。

馬場:連覇って難しいんですよね。

安藤:同じ年で春と夏を勝つのもすごく難しいし、エースで4番クラスの選手がいても1回戦や2回戦で負ける理不尽さが高校野球にはある。その辺を厳しめにデザインされているところをとても気に入ったんです。

馬場:そこはちょっと厳しすぎましたね。ストイックだったなと思います(笑)。

安藤:でもそういう、ある種理不尽なものを飲み込むことが高校野球の美学だとしたら、それをゲームのデザインとしてすごく強い意志を持って入れている。普通のゲームとは違う、骨太なゲームがついに出てきたなと思います。

馬場:ありがとうございます。

安藤:“ゲームの教科書”でも違う角度で書かれていますよね。「ゲームハードの性能というのは、制限を表すと同時に可能性も表している」と。『栄冠へのキセキ』も技術制限のあるブラウザベースで、遊びとしても制限があって、その制限の中には扱い方を間違えるとストレスフルになるようなものがある。だけどそれがゲームデザインの可能性として全部提示されている。このゲームのおもしろさについては、メディアがもっと発信していかないといけないないですよね。

→ソーシャルゲームRPGの本編とイベントのあり方(2ページ目へ)

(C)DeNA Co.,Ltd. 2013. Developed by Media. Vision Inc.

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データ

▼『マジック&カノン』
■メーカー:DeNA
■対応機種:iOS/Android
■ジャンル:RPG
■配信日:配信中
■価格:無料(アイテム課金)
 
『マジック&カノン』App Storeでのダウンロードはこちら(iTunesが必要)
 
『マジック&カノン』Google Playでのダウンロードはこちら

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