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2014年1月6日(月)

PS3『The Last of Us』は人類が滅ぶ前に遊んでおくべき世紀の大傑作である【電撃オンラインアワード2013】

文:まさん

■人の心の機微を映画的に描いた作風

 もちろん、ゲームとしてプレイヤーを楽しませてくれる部分も多く、集団でインフェクテッドがワラワラ沸いてきて手に汗握るシーンや、ヤバイ集団との銃撃戦などアクション面のバリエーションも多彩です。そうした激しいアクション部分と通常の探索部分のメリハリも効いているので、崩壊した世界の風景を観察しながら探索できるのもいいところですね。背景描写も細かく、すでに終わってしまった世界の空虚感と、そこで生きていた人々の生活臭が感じられて、ものすごく感情移入できる作品になっています。

 メインとなる物語も、非常に秀逸かつ心にズンとくるストーリー。主役であるジョエルとエリーが疑似的な親子関係を構築していく心の機微を描いた物語は、いつの間にかジョエル視点で感情移入しまくりです。彼らの物語を追っていくだけでも心にクルのですが、その他の人々もモブキャラを含めてしっかり描かれています。アイテムとして落ちているメモや背景の何気ないメッセージからも、地域の人々の暮らしや破滅までの道程が読み取れたり、敵として対立してしまう人々の会話に耳を傾けてみると、彼らにも大切な家族や仲間がいたりと、その世界で生きている人々の想いが垣間見えて、とっても複雑な気分に……。

『The Last of Us』 『The Last of Us』
『The Last of Us』 『The Last of Us』

 そうした世界観に引き込む演出を含めて本当に映画的なのですが、それゆえに“オチ”は賛否両論。おそらく、理解はできても納得できない人もいると思います。その部分も含めて日本人の感性では作れない海外映画的な作りだと思うので、まずはプレイして物語をじっくり堪能してほしい作品ですね。

『The Last of Us』
▲当初はジョエルと衝突しながらも、少しずつ打ち解けていくエリー。擬似的な親子関係が胸を打ちます。また、物語が進むとエリーも生きるために銃を撃つようになるなど、子どもですら人を殺めないと生きていけない世界観のシビアさを感じさせる要素も。

→徐々に減っていく物資。やればやるほど高まっていくサバイバル感(3ページ目へ)

(C)Sony Computer Entertainment America LLC. Created and developed by Naughty Dog, Inc.

データ

データ

▼『The Last of Us(ラスト・オブ・アス)』(ダウンロード版)
■メーカー:SCE
■対応機種:PS3
■ジャンル:ACT
■配信日:2013年10月31日
■価格:5,145円(税込)

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