2013年12月26日(木)
王様が鞭を振るうことで、カエルが興奮して攻撃が激化する。カエルは口から水を吐き出したり、複数のオタマジャクシを仕向けてきたりして、離れた場所からでも攻撃を展開してくる。
その王の欠点は、少しの緊張で、大量の“脂汗”をかく体質であった。特に女性の前では、その体質が災いして、うまく振る舞うことができない。
劣等感のせいで“恋に臆病”な王が、一目ぼれをした。相手は、とある女中だった。その女中も何かと“脂汗”をかく体質であった。自分と似た相手など、この世界に2人といないだろう。「運命の相手だ」という、一方的な思い込みによって、王は冷静さを失っていった。王は、その女中の後をつけ回し始めたのだ。
物陰から、ジッと見つめる王の姿があった。女中は、気味の悪い気配に気づいた。それが王だと知り、女中は、脂汗を流した。王は目を丸くした。女中の体が光に包まれ、姿を変えていく。なんと……女中の正体は、蛙だった。
彼女が脂汗をかく理由も、元の姿を見れば合点がいった。その蛙は、以前、“ある人間”に命を救われたという。一言、お礼が言いたい――。強い思いが、魔法の残滓と結びつき、奇跡を起こしたのだろう。人の姿を手に入れ、その“命の恩人”を探している最中だという。
王は、まったくお構いなしだった。「蛙でも、自分は構わない。大切に愛してあげるから」と。思いを告げられた蛙は、蛙なりに思ったという。「この王は、どこかおかしい……」と。いずれにせよ、王の想いには応えられない。蛙の想い人は、例の“命の恩人”である。
王の前に、例の白い“杯”が現れた。王の願いは、ただ1つ。あの蛙と一緒になるための障害は、種族の違い。だから……王が得た新しい肉体は、緑がかっていて、特有のぬめりがある。蛙飛びの訓練をした上で、意中の蛙に近づき、愛を囁く。ゲロゲロと、蛙の鳴き声を真似て。
お、重すぎる――。
相手の蛙はそう戦慄し、池に逃げ込んでしまった。さすがの王も落胆し、そしてついに怒り出した。ここまでしたのに、なぜ分かってくれないのか。こんなに愛しているのに、なぜ振り向いてくれない?
王は、蛙を“拘束”し自由を奪った。王は気づいていない。恋愛経験が乏しいせいで、恋愛によって育まれるはずだった感情表現が、うまく機能しなくなっていることを。王は“拘束”した蛙へ、一方的に愛を注ぎ込む。それは端からみれば“調教”のようだった。
王は気づいていない。自身の愛情表現が、どれだけ歪な形をしているかを。それは、王自身の変わり果てた姿よりも、よほど化け物じみている。
ロバの口からは犬が、犬の口からは猫が、猫の口からはニワトリが現れる。動物固有の楽器と攻撃方法を持ち、口から外に出ている動物がそれぞれの攻撃を仕掛けてくる。
その男は、とある教会が組織した“声楽隊の一員”だった。男は歳を取り、年齢を理由に、声楽隊を除隊するよう促された。仕事が生き甲斐だった男は、生活に“はり”が無くなり、一気に老けこんだ。物忘れが酷くなった。飼っていたロバを“息子”と勘違いするほどだった。男の家族は、男の介護に辟易しだす。職場の次は、家族にまで捨てられた。仕事を失った時と同じだ。年を取るのがそんなに罪なのか――。
男の前に不思議な光景が現れた。白い“杯”が宙に浮き、語りかけてくる。しかし……伝説の杯が発するその言葉は、男に届いていなかった。年老いて、耳が遠くなっていたせいだった。聖杯の声に耳を傾けたのは、隣にいた“息子”であった。男が連れ添っていたロバである。ロバは男に感謝していたのだ。息子として可愛がってくれた男に恩返ししようと、ロバは肉体を犠牲に捧げた。男が望んでやまない“歌声”を、取り戻すべく。ロバの鳴き声で音楽を奏でる、不思議な楽器生物が生まれていた。男は、また“歌声”を手に入れたのだ。
一方で、男は“息子”を失ってしまったことに心を痛めた。ところが、すぐに別の“息子”を見つけて、平静を取り戻した。今度は、捨てられた“犬”を息子と呼び始めた。犬を連れたロバ男は、公衆の面前で“ロバ語の歌”を披露した。それも、時間が経つにつれ飽きられてきた。例によって、男は絶望に堕ちた。また、用済みなのか。自分は不用品じゃない――と。
どんなに悲痛な訴えも、何度も繰り返せば滑稽に聞こえてしまう。その後も、同じ光景が現れ、悲劇は滑稽に繰り返される。聖杯が現れ、一字一句違わずに、語りかけてくるのだ。相変わらず、男の耳に声は届かず、それを聞くのは“息子”の役目。捨て犬は、男に恩返ししようと、その身を捧げた。“ロバと犬”の合唱で、ハーモニーを奏でる。そんな不思議な楽器生物が、現れていた。
そして、また人が集まってくる。男は、息子の“犬”を失い、そして新しい息子を見つける。3人目は“猫”である。手にした“ロバと犬”のハーモニーも、次第に飽きられる。用済みになり絶望した男の前に、聖杯が現れる。恩返しをしたい“息子”の猫が、肉体を犠牲にする。こうして、“ロバと犬と猫”のハーモニーが生まれた。
そして、聴衆に飽きられる。次の新しい息子は“ニワトリ”だ。聖杯の声を代わりに聞き届け、その体を犠牲にする。こうして、“ロバと犬と猫とニワトリ”のハーモニーが生まれた。
繰り返すのはここまでだった。
男の身体は、どう見ても化け物になっており、珍しい声で歌っても、誰も興味を持ってくれなかった。不気味さが勝ってしまうからだ。
耳を人間の手足のように操る。力を溜めて繰り出す近距離攻撃や、飛び道具による遠距離攻撃、さらには身体を透明化させることもあり、多彩な手段で魔法使いを苦しめる。
個体数が少なく、ごくまれにその姿を現す。経験値が非常に高いが、動きが早く、すぐに逃げてしまう。
→超魔法バトルをより熱くする4つのやり込み要素とは(3ページ目)
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