2014年1月25日(土)
雨の降らない枯れた世界で展開する冒険活劇『青と黒の境界線』を執筆した久楽美月先生を直撃【Spot the 電撃文庫】
電撃文庫で活躍する作家陣のメールインタビューをお届けする“Spot the 電撃文庫”。第101回となる今回は、『青と黒の境界線』を執筆した久楽美月先生のインタビューを掲載する。
▲マルイノ先生が描く『青と黒の境界線』の表紙イラスト。 |
本作は、雨の降らない枯れた世界で展開する、ボーイ・ミーツ・ガール&冒険活劇。工業都市ノワールで発生した大規模な爆発事故により、世界は黒い煙幕によって覆われた。以来、降雨量が激減し、人々は自らが住む星を“雨の降らない世界”と呼ぶようになる。
それから約百年――。雨を世界から奪った魔女として“雨女”と呼ばれる少女がいた。そして、彼女を運命の相手として追う青年が1人。彼こそ“晴男”だった。相容れないはずの2人が出会い、そして……。
久楽先生には、本作のセールスポイントや小説を書く時にこだわっているところなどを語っていただいた。また、電撃文庫 新作紹介ページでは、本作の内容を少しだけ立ち読みできるようになっている。まだ読んでいない人はこちらもあわせてご覧あれ。
――この作品を書いたキッカケを教えてください。
2年くらい前、通勤途中にふっと雨女の設定を思いつきました。当時は書いたこともなかったのですが、右も左もわからないまま、気がついたらパソコンに向かってました。
これが処女作でもあるので、どうして小説を書こうと思ったのか聞かれることも多いんですが、正直覚えていないんです。“なんとなく書いてみた”というのが一番しっくりくるかもしれません。
――作品の特徴やセールスポイントはどんな部分ですか?
雨女の設定と世界観だと思っています。たぶん担当さんもそこだけ気に入ってくれたんだと思います(苦笑)。あとはマルイノさんのイラストが可愛いのでそれだけで買う価値はあるかと!
――作品を書くうえで悩んだところは?
最初に担当さんとお会いした時にキャラクターが弱いと指摘されたので最後までそこは不安で悩みました。あとは投稿時の話の半分を1冊にしたので構成から練り直さなくてはいけなくて大変でしたね。
――執筆にかかった期間はどれくらいですか?
初めて書いた時は推敲含め3カ月くらいだったと思います。その後、他の新人賞で落とされて、ちまちま直して電撃大賞に送りました。担当さんと話すようになってからは9割変更したので結局1年かかってしまいました……。
――主人公やヒロインについて、生まれた経緯や思うところをお聞かせください。
主人公とヒロインの生まれたきっかけ=作品の生まれたきっかけなので、その2人にイラストがついた時は何とも言えない気持ちになりました。2人の旅は決して平坦ではありませんが、2人のひたむきな姿に私自身がはげまされることもあります。
――アイデアを出したり、集中力を高めたりするためにやっていることは?
アニメでも漫画でも小説でも、物語に触れることです。そうした刺激からアイデアが生まれることがあります。家だと集中できないので外で書くことが集中力を高めることですかね。
――初の商業作品というところで、その感想は・
これはあとがきでも書いたのですが、自分のキャラクターにイラストがつくというのはすごいことだなと。あとはうれしさのあまり書店に並んでいるところを写真に撮ったら店員さんに怒られました。本屋さんごめんなさい。
――今後、どういった作品を発表していきたいですか?
「へえ、こいつこんな話もかけるんだ」っていうくらい今回の作品と真逆の話を書いてみたいです。今は雨女と晴男の行く末を見守るので精一杯ですが……。
――高校生くらいのころに影響を受けた人物・作品は?
小さいころからアニメは好きでしたが、アニメヲタクになったきっかけは深夜アニメの『いぬかみっ!』でした。あれがなかったらこうしてデビューすることもなかったかもしれません。
――現在注目している作家・作品は?
私が投稿した第19回の電撃大賞に投稿して本を出された皆さんです。今、あわてて読んでいます。
――今熱中しているものはなんですか?
小説を書くことです。あまりスピードはありませんが……
――ゲームで熱中しているものがあれば教えてください。
『ダンガンロンパ』です。もうクリアしてしまいましたが、続編の『スーパーダンガンロンパ2』では成田先生の書いたifストーリーも読めるのがうれしいですよね。シリーズの今後がとても気になります。
――それでは最後に、電撃オンライン読者へメッセージをお願いします。
雨の降らなくなった世界で、雨女と呼ばれる少女を救いたいと願う1人の青年の物語であり、世界で唯一、青空を知らない少女が晴男に出逢い、運命と立ち向かっていく。そんなお話です。
カバーイラストは世界観の雰囲気をこれ以上ないくらい表現していると私は思います。雨の日には雨女を、晴れた日は晴男のことを感じながら読んでもらえれば、そんな風に思います。
(C)久楽美月/KADOKAWA CORPORATION 2014
イラスト:マルイノ
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