2014年1月27日(月)
やつい:それにしても、『難攻不落三国伝』はかなり細かく三国志のシナリオを描いていますね。
吉田:やついさんは、好きな三国志のエピソードはありますか?
やつい:一番好きなのは、“酒を煮て英雄を論じる”のことわざになっているエピソードですね。僕が生き方の指針にもしている話です。
劉備のことを危険視している曹操が、宴の席で「今の大陸で天下を統一できるのは、僕か君だ」と劉備に言うんです。その時に丁度、外で雷がなって、それを聞いた劉備が、「僕は雷が怖くて……。チョットダメなんですよ……」と脅えたフリをするんです。それを見た曹操が、「雷を怖がるなんて、小物だな」と安心して、暗殺をやめるんですよ。
能力があっても、それをひけらかすとロクなことがない。好きなことだけをやりたいのであれば、バカなフリをしていたほうがいいですからね。でも『難攻不落三国伝』には、このエピソードが入っていない!
吉田:ステージ数や武将数の制限などが……すみません! 予算の問題です!!
やつい:(笑)。『難攻不落三国伝』は、諸葛亮が活躍し始めるあたりからの話が描かれていますよね。曹操や呂布の活躍はその前ですから、三国志前半のキラ星のように輝く武将が登場しないのは少し残念です。横山光輝『三国志』も、“官渡の戦い”をオールカットしていますから、横山光輝的な編集だと思います。
吉田:僕も顔良(がんりょう)と文醜(ぶんしゅう)がすごく好きなので、三国志前半の武将も登場させたかった思いはあります。
やついさんも『蒼天航路』がお好きだと思いますが、『蒼天航路』のいいところは、“今までにない三国志”を表現したところにあると思うんです。僕も今回は、『難攻不落三国伝』で、三国志の物語を描きながらも、途中からはまったく違う“if”のお話を作りたかったんです。
僕は三国志を通して、それ以前の中国の歴史にもすごく興味を持ったんです。殷の太公望の話はもちろん、夏王朝や春秋時代の話がすごく好きで、その時代の話を、少しでもいいからタイトルに取り入れたかった。
ただ、タワーディフェンスというジャンルの中でそれを表現するには、登場武将の制限など、難しいことが多かったですね。このタイトルは、自分の中で“挑戦”が多かったと思います。
やつい:『難攻不落三国伝』の武将は、史実ではめちゃくちゃ大男の張飛が、めちゃくちゃちっちゃい女の子になっていたり、真逆でおもしろいですね。
吉田:正直僕は、登場武将をすべて屈強な男のビジュアルで描きたかったんです。ただ今回は、“美少女化することで、三国志を知らない人でもプレイしやすくなる――間口が広がる”という社内の意見を取り入れました。僕としても、三国志をいろいろな人に知ってもらいたいですから。
やつい:僕は『~蜀と時の銅雀~』で、主人公を“キョウ(姜維)”にしたところがとてもいいと思いましたよ。最後の最後まで戦った、蜀の残された希望ともいえる武将ですし、姜維自身は負けていませんからね。前半の三国志と、後半の三国志をつなげるという意味でも、姜維を主人公にした部分はよかったと思います。美少女にモテモテな気分も味わえますからね(笑)。
吉田:恋愛の要素ももちろん取り入れました。しかし、僕がそういった色恋のことに疎い部分があり、他の方の知恵を拝借はしましたが……。
やつい:僕は、馬超の持つ“悲しい強さ”が好きなんですが、吉田さんはどの武将が一番好きですか?
吉田:僕は馬超が一番好きです。馬超は、人間味があって、男くさくて、それでいて本当は悪いヤツなんです。『三國無双』シリーズなどでは、正義の熱血漢として描かれていますが、史実ではそうではなかったんです。でも家族思いで、父親の仇を取るために曹操を追い詰めたその熱い生き方が、僕は好きなんです。
やつい:武田信玄と上杉謙信の、川中島の戦いみたいですものね。でも馬超が入ってから、劉備軍って全然活躍しないんですよね……。ただ、存在することで、羌族など中国外への牽制にはなっていたようですね。
吉田:実際、すごく怖い存在だったようです。
やつい:趙雲や馬超が男なのは、どういった兼ね合いなんですか?
吉田:…………。
“ボーイズラブ”です。シナリオに意外性を持たせたかったんですよ。僕が考えている、硬派なものとは違うおもしろ味を出せたので、本当によかったと思っています。
やつい:でも本当は、吉田さんは“色恋”表現に弱いんですよね。
吉田:…………。
→次回作の制作も匂わせる!? やついさんが声をあてたい武将とは(3ページ目へ)
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