2014年1月27日(月)
吉田:2013年11月に発売した『難攻不落三国伝~蜀と時の銅雀~』は、蜀から見た戦場を描いていますが、三国志の魅力は、いろいろな視点から物語を読み解くことにあると思っています。
三国志を知らない人が蜀の視点からだけ魏と呉を見ると、両国が“悪者”になってしまうんですよ。でもそれでは、三国志に対する侮辱になってしまう。なので今回は、魏と呉のそれぞれの正義を描いた『難攻不落三国伝~魏と大いなる戦線~』と『難攻不落三国伝~呉と大河の衛者~』を制作しました。
やつい:『難攻不落三国伝』のシナリオは、かなり歴史にのっとっていますよね。普通、カットしていいような話もきちんと入れていて。
吉田:歴史の時間軸を合わせていくのは、本当に大変でした。やはり、三国志のファンは、歴史の整合性を気にすると思うんです。
やつい:『難攻不落三国伝~蜀と時の銅雀~』では、劉備がいよいよ花開いていくところからスタートするので、劉備好きは特に楽しめるでしょうね。三国志を知らない人も、劉備を好きになれると思います。
吉田:いろいろな作品で、劉備が“善”として描かれていますが、史実を調べていくと、意外と「劉備ってどうしようもない人間だな」と感じる部分があるんです。当然、当時の中国と現代の日本では、死生観が違うんですよね。現代では“悪”と感じるものも、当時では“善”であったりと、そういった多面的な視点に気付かさせてくれるところが、三国志のよさだと思うんですよ。
世界観についての創作は、……美少女化したりだとか、ボーイズラブを取り入れたりだとかは、プレイヤーを受け入れる間口が広がるならば別にかまわないと思っています。
やつい:シリーズを、政治的なゲームにしたらいいんじゃないですか!? 僕は呉のことに詳しくなくて、もっと知りたいと思っています。
呉は小さい国の集まりで、内乱が多発しているドロドロした国ですが、それについて描いているゲームってないじゃないですか。孫権のブレブレ感だとか、陸遜が政治的に追いやられていく様子だとか。
吉田:知られていない呉のストーリーは描いてみたいですね。中国のいろいろなエピソードについて、プレイヤーに興味を持ってもらいたいのが大きいです。
吉田:『難攻不落三国伝』は全編フルボイスで制作しましたが、声優さんってこんなにキャラクターに色を付けてくれるのかと思って、起用してよかったと思いました。
やつい:僕も、セガのアーケードゲーム『三国志大戦』の孟達の声をあてましたよ。「貴様も裏切ればよかったものを……」って一言だけでしたけれどね(笑)。
吉田:ぜひ、弊社タイトルにも声をあててもらいたいです! 多くの三国志ファンにかかわってもらいたいと思っています。参加することによってタイトルに愛着を持ってもらえるじゃないですか。
やつい:いいですね。愛着がわくのはもちろん、三国志好きはそこから「俺、三国志関連の作品にかかわった!」とえらい宣伝しますからね(笑)。SNSなど利用して、情報の広がりがあると思います。ただ、クオリティは下がりますよ!
吉田:(爆笑)。できることであれば、新人の声優さんも起用したいと思っています。声優さんて、なかなか世に出るチャンスがない職業らしいんです。そういったことを聞いたら、なるべくならいろいろな方のチャンスにしてあげたいと思うし、愛情を持って作品に携わってもらいたいと思うじゃないですか。
やつい:裏切りそうなヤツとか、性格が悪いヤツがいたらやらせてください。そういうのに定評があるので(笑)。評価が低いヤツとか。
吉田:三国志の中で、一番悪いヤツといったら、黄皓(こうこう)じゃないですか?
やつい:黄皓でしょうねぇ……。
吉田:蜀が滅んだのって、黄皓の責任が大きいと思うんですよ。
やつい:見方を変えれば、すごい人なんですよね。そもそもただの宦官なのに、一応国を乗っ取りましたからね。黄皓を好きな人なんて、1人もいませんからね。多分、親戚も嫌いだと思いますよ。「お前がこんなことやったから、いまだに言われるんだぞ!」って子孫も言ってますよきっと(笑)。
次回作で黄皓を出してもらえれば……。
吉田:黄皓は出せないですよ(笑)!! 三国志の嫌われものの二番は劉禅(りゅうぜん)でしょうね。
やつい:でも、劉禅はちょっと愛すべきところもあるんですよ。なんだかかわいそうというか……。晩年は、幸せに暮らして死んでいますけどね。ちゃんと寿命で死んでいるというところが、劉禅の強さというか。自分が劉禅のDNAだとしたら、「劉禅、グッジョブ!」なんですけれどね(笑)。
住んでいた場所から魏に移されて、「寂しくないですか?」と聞かれた時、「寂しくないよ! あそこより全然あったかいし、ごはんもおいしいし!」って、こいつはすごいこと言うな……と思いましたね。
どうですか。次回作に『黄皓英雄伝』や『劉禅英雄伝』は!
吉田:難しいですよ(笑)!!
やつい:じゃあ、張松(ちょうしょう)はどうでしょう! アイツは最高ですよね。三国志で一番ブサイクと言われていて、エピソードもおもしろいですし。
吉田:ブサイクで有名ですが、すごく頭がいいんですよね。ただ、劉璋(りゅうしょう)にすぐに殺されてしまいますが……。
やつい:まず、曹操にブサイクすぎて袋叩きに合いますからね。それで、劉備にブサイクだけど優しくされて……。あんなに勉強して頭がよくなったのに、ブサイクという理由で殺されて……。張松は才能もあったんですから、切ないですよ。
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