News

2014年1月30日(木)

『戦国BASARA4』新キャラの特徴やアクションについて開発者が熱弁! 島左近と柴田勝家のイメージは新社会人!?

文:kbj

 カプコンから、1月23日に発売されたPS3用ソフト『戦国BASARA4』。本作を手がけた開発者へのインタビューを掲載する。

『戦国BASARA4』

 本作は、人気アクションゲーム『戦国BASARA』シリーズの最新ナンバリングタイトル。“戦国創世”をテーマに、新たな設定のもとストーリーが描かれていく。島左近や井伊直虎など多数の新プレイアブル武将が登場し、ドラマに関わる武将の人数はシリーズ最多の40人を数える。また、アクションやドラマ演出の強化も行われる。

 本作について語っていただいたのは、山本真シリーズディレクターと門脇章人プロデューサー。ソフト開発の経緯から始まり、新武将の成り立ちやアクションの特徴、開発でのこだわったところなどを聞いている。シリーズのファンだけでなく、本作に注目している人も、ぜひご覧いただきたい。なお、インタビュー中は敬称略。

『戦国BASARA4』
▲山本ディレクター(左)と門脇プロデューサー(右)。

■家康以外の武将が日本を統一したらどうなっていた?

――新作となる『戦国BASARA4』の開発ですが、新たな武将が決まり、設定が決まっていったのでしょうか? それとも設定ありきでスタートしたのでしょうか?

『戦国BASARA4』

山本:基準となったのは足利義輝です。『戦国BASARA3』を出した時に、「関ヶ原の戦いをやって、次はどうなるの?」ってよく聞かれたんですが、それについての答えはだいぶ前に決めていたんです。ユーザーの方に戦国時代を作ってもらおうということで、“戦国創世”という風呂敷を広げたかったんです。

 すると今度は「戦国時代を作るって実際どうするの?」という問題が持ち上がるので、時代を元に戻して、再スタートを切る人がいる必要がありました。そこで目を付けたのが足利義輝ですね。

――なぜ義輝にしたのですか?

山本:室町時代は15代まで本当は将軍がいて、義輝は13代目なんですけど、信長からも尊敬されていたり、謙信からも一目置かれていたりするすごい人。今回、天に政を還すという意味の“天政奉還”という造語を用意したんですが、その役割を担ってほしいなと思い設定づけました。

 「ここから、戦国時代がスタートです!」ということで、イベントで公開した時に室町というキーワードを出したんです。「室町の世が長く続いたので、新たな時代を創ってくれ!」という意味だったんですが、室町時代が舞台になると勘違いされた方も多かったようです。

――“戦国時代を創ってもらう”という考えは、割と早い段階からあったのでしょうか?

『戦国BASARA4』

山本:そうですね。それが今回の作品自体のテーマであり、スタート地点でもあります。

 実は、『戦国BASARA3 宴』を作っている時から、ぼんやりと考え始めていました。『3 宴』を作り終えて、スタッフが休暇から戻ってくるころには、キャラクター構成に加えて、日本地図の上に軍勢相関図を用意していた状況。『BASARA』シリーズは、タイトルの構想と開発が同時進行なタイトルなんです。

門脇:『3 宴』が終わり、本格的に『4』を作ろうとなった時には、山本の中で設定関係はまとまっていた感じでした。

――大江戸温泉のコラボレーションなどで、ユーザーがコラボを楽しんでいるころには、すでに『4』が動いていたと?

山本:そうですね(笑)。12月には設定背景図の日本地図は、フィニッシュにかかっていたぐらいです。

門脇:その時の年末年始は、休んでいなかったです。

山本:夏の最後のころにはだいぶまとまってきていたんですが、テーマをどうするかというところで、悩んでいました。構想だけならば、半年くらいあります。

 関ヶ原をやった『3』の時に、歴史の勉強をし直して、深いところまで学んだんですよ。その際に、歴史に詳しい方とディスカッションしたんですね。

 家康の治め方は、歴史的には親族だったり血族だったり、いろんな繋がりを重視していたのを『戦国BASARA』では“絆”という言葉に置き換えて表現しました。ただ、実際の信長だったらどう治めるつもりだったのか、秀吉だったらどうなっていたのか、他の武将が治める時にはどういう方針があったんだろうということを考えました。

――それはおもしろそうですね。

山本:そこで、国を実際に獲って治める時にどうなるのか、バックボーンも含めて掘り下げるような作りにしたいと思い、創世というテーマで作ることになりました。

■左近と勝家のイメージは新社会人!? シリーズイメージを刷新しつつアクションをより奥深く!

『戦国BASARA4』

――今まではメインに描かれるのは伊達政宗と真田幸村という感じでしたが、今回は政宗と三成に、新キャラも交えた4人が前に出てきていると思うんですが、これは新しくリファインするというテーマがあったのでしょうか?

山本:そうですね。政宗は『戦国BASARA』からいて、三成は『3』から出てきたキャラクターなんですが、この2人が並ぶのも新しいし、おもしろいかなと。本当にこれでいいのかと、いろんな人と話をしながら決めました。

門脇:よく聞かれるのですが、“第1回 BSR48選抜総選挙”の1位と2位を獲得した2人になったのは、たまたまです。

山本:実は、『3』ではメインキャラを家康と三成に入れ替えていたのが我々としては挑戦だったので、どうなるか心配もしていました。結果、人気が出てよかったです。

――戦国時代を作るということで、『3』には出ていない武将も出てきます。こちらは、ファンにも好評なのではないでしょうか?

『戦国BASARA4』

山本:秀吉も半兵衛も復活しているので、この絡みは楽しいと思います。そのうえで左近や勝家のように、若いメンバーを出したいという心情もありました。足利義輝は殿上人(てんじょうびと)のような存在なんですが、彼ら若い2人は、大学生が学校を卒業してきたばかりのようなイメージです。

 左近はスタートする時点では、三成についているため、有力な会社に意気揚々と入ってきた夢見る若者という感じ。一方の勝家は、就職活動が絶望的にうまくいかなくてブラックな企業に入った……というのとはちょっと言いすぎですけど(笑)。一歩出てる人と一歩出てない人という対称的な若者を描きたいと思いました。そんな彼らを導くのが三成だったり政宗だったりするのです。

――先ほどの天政奉還というテーマがあったうえで、開発する際に心掛けたところはどこになるのでしょうか?

山本:先ほどのメインキャラの話にもかぶるのですが、今回は新章ということで新しくしたいと思いました。『戦国BASARA』が始まり9年目で10作目になるんですが、初めて入る人もいるだろうなと。そこで、これまでの『戦国BASARA』のよさを引き継ぎながら、「新しいよさはなんだろう?」と考えました。

 バリアフリーな作り方だったり、幅広いユーザー層も本シリーズの特徴であるんですが、そこを確保しながら、よりアクション的にしていきたいというところが今回の大きなチャレンジでした。

――東京ゲームショウのステージでも、アクションに力を入れていると小林さんはおっしゃられていましたが、そこはかなり意識していたと?

山本:そうですね。ぶっちゃけて言うと、1作目の『戦国BASARA』って難しかったと思うんですよ。バランスを取りつつ新しいこともしながら、難易度をなだらかにしていきつつ、階段も作っていったんですが、もう1回チャレンジしたいと思った時に、若干『1』に近づく可能性があったんです。ただ、それでもやりたかったんですね。

――『3』の時にボタンの同時押しが入りましたが、この辺りからアクション的な進化を模索されていたのでしょうか?

山本:実を言うと、僕の中では『戦国BASARA X(クロス)』の影響が強いんですよ。カプコンも格闘ゲームを作っていますが、『BASARA X(クロス)』でキャラクターを立てながら、アクションを成立させるという作り方をアークシステムワークスさんと一緒にやりました。『3』の時に個性をきっちり出しながらもっと踏み込みたいと思った時、『BASARA X(クロス)』を作った時のことが勉強になったし、影響を受けました。

――シリーズの中でもちょっと印象の違うタイトルなうえに、一作しか出ていなかったので、個人的には意外なエピソードでした。

山本:アクションの作り方に触れる中で勉強したことは、僕的にはかなり大きかったんです。

――そんな本作ですが、ボタン長押しもあり、同時押しもあり、ボタンの押すパターンもかなり増えましたね。

山本:ボタンは足りないですね(笑)。レバー+△、L1+△、R1+△、□ボタン長押しも入って、さらに派生技もたくさんあります。固有奥義も3種類を切り替えられるようになっています。ボタンを連打しているだけでも普通に遊べるんですが、さらに色々やろうと思えば、いくらでもやれるような作りにしています。

『戦国BASARA4』

――井伊直虎に関しては、固有技が派生するタイミングをつかめていないので、使いこなせている自信がないですね……。

山本:キャラクターごとの個性があるので、作るのはより大変になっています。例えば直虎であれば、見ないようにしたいぐらい派生があって(苦笑)。

――なるほど。ちなみに門脇さんが『戦国BASARA』の開発に入られたのはいつごろからなのでしょうか?

門脇:私は『戦国BASARA3』の完成と同時くらいですかね。

――すると、『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』もやりつつだったのですね。

門脇:『3 宴』をやっていたころは『MARVEL VS. CAPCOM 3』と同時進行でした。かつ、『戦国BASARA クロニクルヒーローズ』もやっていたので、あの時が一番しんどかったと思います(笑)。

――どちらも期待度が高いシリーズで、濃いユーザーさんが多いので大変ですね。

門脇:ただ、『BASARA』をやることになった時に感じたのは、アクションゲームということで格闘ゲームと通じるところがあったんです。考え方はよく似ていますし、作り方は格闘ゲームに近いんですね。そういう意味で、これまでの経験は生きていると思います。

次のページで新武将について迫る!

(C)CAPCOM CO., LTD. 2014 ALL RIGHTS RESERVED.

1 2 3 4

データ

▼『戦国BASARA4』ダウンロード版
■メーカー:カプコン
■対応機種:PS3
■ジャンル:ACT
■発売日:2014年1月23日
■価格:6,990円(税込)
▼『戦国BASARA4 戦国創世! 出陣の書』
■発行:KADOKAWA アスキー・メディアワークス
■発売日:2014年1月17日
■価格:1,500円(税込)
 
■『戦国BASARA4 戦国創世! 出陣の書』 戦国BASARAマガジン編集部 編の購入はこちら
Amazon.co.jp

関連サイト