2014年2月5日(水)
セガが展開する『三国志大戦TCG』のイベント“TCGの宴2014in東京”が2月1日に東京都大田区産業プラザ・PiOで開催された。
この記事では、イベントの様子をレポートする他、北岡功プロデューサーとイラストレーターのクロサワテツさん、木志田コテツさんへのインタビューの模様をお伝えする。
メイン大会の1つ“エリア代表決定戦参加権利争奪戦”は、定員の256人が毎回満員になる盛況っぷりだった。特に東京大会は、同じ会場で3月29日に開催される“覇業への道2014”への予選も兼ねた前哨戦となっており、最新弾を組み込んだデッキで多くの君主(プレイヤー)が参加していた。
この他、パックをその場で開封してデッキを構築するブースタードラフト戦や、称号プレイマット未取得者限定大会“登竜門”なども開催。『三国志大戦TCG』は、公式イベントで一定の成績を収めると“称号プレイマット”がもらえるが、“登竜門”はそれをまだ持っていない人だけの大会だ。優勝すれば特製ラバーマットを手にできるため、多くの君主たちが熱戦を繰り広げていた。
気楽に対戦を楽しむことができるガンスリンガーコーナーでは、デッキを調整しつつ何回も対戦している君主が多くいた。大会の合間などの時間帯には、参加待機列が長く伸び、こちらも大盛況だった。
また、前回の“TCGの宴2013in東京”に引き続き、今回もフードコーナーを設置。対戦の合間に、三国志にちなんだフードを楽しめた。
物販コーナーでは、TCGのプレイに必要なスリーブやデッキケースだけでなく、『三国志大戦TCG』のイラストを利用したキーホルダーなどのグッズも販売。早速売り切れが出る人気のグッズもあった。
北岡プロデューサーから、会場で今後の『三国志大戦TCG』の展開などについてお話をうかがった。イラストレーターのクロサワテツさんと木志田コテツさんにも同席してもらえ、イラストにまつわる貴重なお話も聞けたのでぜひチェックしてほしい。
▲イラストレーターのクロサワテツさん(左)と北岡プロデューサー(右)。写真には写っていないが、インタビューには木志田コテツさんも参加してくれた。 |
――これからの『三国志大戦TCG』の展開について、意気込みをお願いします。
北岡プロデューサー:東京で開催される“TCGの宴”は3回目になります。今回は学生さんの受験やテストシーズンと重なってしまって、来たくても来られないという人も多かったようです。それでも朝から多くの方に並んでいただいて、参加者の方のモチベーションは高かったと思います。
3月に開催される全国大会の決勝は、モチベーションの高いユーザーさん同士のレベルの高い対戦になると思います。会場でデッキを作っているユーザーさんの表情を見てもわかります。
『三国志大戦TCG』はセガが初めて手がけたTCGですが、「なぜセガが?」という声もある中で、一定の評価が得られたと思っています。『三国志大戦TCG』を定着させるという点はできたと思うので、ユーザーさんを拡大させるというところをスタッフ一同頑張っていきたいなと思っています。
“三国志”というコンテンツで見ると、セガでは『三国志大戦』だけでなく、アーケードゲームの『THE WORLD of THREE KINGDOMS』もあります。年末ごろを目処に、これらのコンテンツと“三国志感謝祭”といったようなイベントを企画していますので、『三国志大戦TCG』とあわせて今後の展開にもご期待ください。
――続いて、クロサワテツさんにお話をうかがいます。今までで一番気に入っているカードはなんでしょうか?
クロサワテツさん:一番最初に描いた《趙姫》ですね。やはり最初に書いたという点で思い入れがあります。第8弾では3枚書いていますが、個人的には《関平》はコモンで《花鬘》がSRだと思っていました。でも、公開された《関平》の能力がすごく強かったので、これならSRだなと納得でしたね。
――第8弾のイラストでこだわっているところはどこでしょうか?
クロサワテツさん:先ほどお話しした《花鬘》ですね。第5弾では群雄の《花鬘》がいますが、雌豹のイメージがあるイラストだと思います。今回はそれより後なので、年を取っているのですがあえて幼くしてみようと思いました。最初は北岡プロデューサーが「どうしようかなぁ」といった感じのリアクションだったのですが、最終的に「いいよ!」と言ってくれたので幼い雰囲気の《花鬘》になりました。衣装のフードに南蛮っぽさを感じてでいただけばと思います。
――クロサワテツさんは『三国志大戦TCG』を実際にプレイしているそうですが、普段どのくらい遊んでいるんですか?
クロサワテツさん:店舗大会には月に2回くらい参加して、あとは友だちにデッキ調整の相手をしたりしてもらって楽しんでいます。カードゲーム自体も結構好きなのですが、アーケードの『三国志大戦』をやっていましたし、『戦国大戦』もやっていますよ。
――自分のカードを実際に使っていたりするのでしょうか?
デッキに入れています。デッキのバランスを見てというより、自分が描いたからというだけで入れているんですが(笑)。対戦相手の方に、「自分イラスト描いています」と話すとすごく喜んでくれてうれしいです。手加減はしてくれませんけどね……(笑)。
今は呉の“マリガン走射デッキ”と呼ばれているタイプのデッキを使っています。それなりに結果を残しているデッキなのですが、自分が使うとなかなか勝てないですね。ただ、今日はもう1回“登竜門”に参加しようと思うので、今度こそラバーマットを持って帰りたいと思います。
▲“登竜門”で優勝するともらえるプレイマットのイラストは、クロサワテツさんが手がけた《趙雲》だ。 |
――続いて木志田コテツさんにうかがいます。イラストについてこだわりがあれば教えてください。
木志田コテツさん:実際のカードを見てもらえばわかりますが、第8弾で《荀攸》のイラストを担当しまして、たくさんの猫を描きました。実際は《荀攸》と猫が関連するエピソードはないのですが、ここは自分でアレンジしたところです。
《荀攸》のボスの《曹操》は優秀な人材をたくさん集めていました。その結果、魏軍にはたくさんの軍師がいたようで、その軍師を猫におきかえてみました。その中で、落ち着いて自分の戦略を練られたという人物で描けば、《荀攸》はキャラとして立つのではないかと思いました。
――セガからの発注に指定はないのでしょうか?
木志田コテツさん:最初の《夏侯覇》(※第4弾封入)はある程度の指定をいただいていました。自分で“こういうキャラクター”というイメージを固めてから出しているうちに、最近では武将名だけしか指定が来なくなりましたので、結果的によかったかなと思っています。
“三国志”に登場する武将にはなんらかのエピソードがあると思います。正史でも演義でもそうですが、最低でも「○○に斬られた」くらいのものはありますよね。あとはそのエピソードを自分なりに解釈して膨らませていくと、イラストの特徴に反映しやすいかなと思っています。個人的な野心ですが、コモンをSRより目立つイラストにしてやろうと思っています(笑)。
――北岡プロデューサーにうかがいます。イラストを発注の際、レアリティとイラストを意識することはあるのでしょうか。
北岡プロデューサー:特に関係ないですね。作家さんのモチベーションを上げるために、「このカードはSRですよ!」と言うことはありますけど(笑)。コモンだからシンプルにしてほしいとか、SRになる武将なのですごく豪華にしてくださいとか、そういった注文をすることはありません。
たとえば、今回のブースターで蜀のテーマとなっている兵隊デッキですが、まず《関羽》がボスとしています。そしてそれを支えるのが息子の《関平》ですので、そこで対比できる構図にしてほしいとお願いすることはあります。
《花鬘》は《関索》の嫁や子がたくさんいる中で、強さに応じてレア度を決めていった結果、コモンになりました。しかし、『三国志大戦TCG』では決してSRだから強いというわけではないので、活躍の場はあると思います。同じ作家さんに複数発注する時は、コモンに偏ったりしないようにバランスを取っています。
――イラストを発注をする際のこだわりがあれば教えてください。
北岡プロデューサー:制作サイドとしてはすごい新解釈をしていなければいいかなと思っています。たとえば、武将のイラストを発注してできあがったらロボットになっていたら困ります。でもそうでなければ、“三国志”にはある程度のファンタジーが入るものだと思っているので大丈夫です。
そのうえで、こだわっているところは“色”ですね。たとえば魏軍の武将は赤を基調とした色にしてもらっています。《夏侯覇》は赤と緑のオッドアイになっていますが、これは緑の蜀軍と赤の魏軍の両方に所属したという意味合いです。
他にも《袁紹》の奥さんの《劉氏》には漢軍故に紫色の着物を着てもらったりなどですね。制作サイドからの指定はそのくらいです。たとえば“30才の武将”とお願いしても、作家さんごとに30才の印象って違うと思うんです。それを作家さんに自由にアレンジしてもらうと、すごくカッコイイものができあがったりします。
これを、“髪型はロングで束ねてもらって、おしとやかな雰囲気で”と細かく発注すると、誰が描いても同じようなイラストになってしまいます。そうならないように幅を持たせた発注をしていますが、時に違う作家さんでも同じ構図になったりして、それもまたおもしろいところですね。
今回、木志田さんに描いていただいた《羊コ》と、別の作家さんの書いた《陸抗》が対になる構図になりました。特に指定はいただいていなかったのですが、指揮官が号令しているシーンがシンクロした結果なのかなと思っています。
――計略カードのイラスト発注に関してはいかがですか?
北岡プロデューサー:計略カードに関してはある程度指定しています。戦闘しているカードだと、「戦闘しているシーンでお願いします」といった具合ですね。第8弾に封入されている《援軍到着》は、当然ですが援軍を率いている武将が到着しているシーンでお願いしますと発注しています。
列伝カード(※三国志の重要なエピソードをモチーフにしたカード)も同様で、その舞台をそのまま再現してもらっています。ですので、そういったシーンを得意とする作家さんにお願いするようにしています。
――リテイクなどはあまりないのでしょうか?
北岡プロデューサー:他のイラストのお仕事に比べると、『三国志大戦TCG』はリテイクを出していないと思いますね。社内規定の都合で、《宮廷の聖地》にもう少し女の子たちに服を着せてくださいとお願いしたことはありますが(笑)。実は、アーケードは規定が厳しいのですが『三国志大戦TCG』はそれに準拠して制作しています。
――最後にユーザーへのメッセージをお願いします。
北岡プロデューサー:『三国志大戦TCG』は3年目を迎えることになりました。今年は『戦国大戦』のチームとも相談して、さまざまなことをやっていこうと思います。また、ニコニコ生放送も少し変えていこうと思っています。いろいろと考えていますので、今後の展開にご期待ください!
(C)SEGA
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