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2014年2月20日(木)

死の運命で結ばれた少年少女を描いた怪作『水木しげ子さんと結ばれました』を執筆した真坂マサル先生にインタビュー

文:電撃オンライン

 『水木しげ子さんと結ばれました』で、第20回電撃小説大賞《20回記念特別賞》を受賞した真坂マサル先生のインタビューをお届けする。

『水木しげ子さんと結ばれました』
▲生煮え先生が描く『水木しげ子さんと結ばれました』のカバーイラスト。

 インタビューに先駆けて、まずは本作のストーリーを紹介しよう。本作は“赤い糸”で結ばれている少年と少女の関係を描いた物語。ただし、その赤い糸によって結ばれるのは、愛し合う運命ではなく、“殺し合う運命”だった……。

 優し過ぎるがゆえに人を憎むのが苦手な少年・楠見朝生(くすみ あさお)。とある事件がきっかけで“運命の赤い糸”を見る力を得た彼は、ある朝、自分と“赤い糸”で結ばれた少女と出会う。

 彼女の名は、水木しげ子さん。人形のように美しさとは裏腹に、どこまでも不気味でおぞましい言動の“恐ろカワイイ”女の子。そんな2人に次々と訪れる数奇な殺し合いの“運命”。その先に訪れる結末とは……?

 真坂先生には、本作が生まれた経緯や、真坂先生自身が考える本作の魅力などを語っていただいた。作品PVなどがチェックできる特集ページと一緒に、こちらのインタビューをぜひ読んでもらいたい。

――いよいよ電撃文庫『水木シゲ子さんと結ばれました』が発売されました。今の素直な心境を教えてください。

 うれしいし、興奮しています。アメリカ人の子どもが誕生日のプレゼントをもらった時ぐらい喜んでいます。出たら終わりじゃなくて、しっかり宣伝もしていきたいですね。

――“赤い糸”で結ばれている者同士は、殺し合う運命にある。殺し合う者たちをつなぐ“赤い糸”が見える少年が主人公という設定が衝撃的でした。この物語を描く動機となったものはなんでしょうか?

 “どちらかが必ず死ぬ”という設定が最初に浮かんできて、それを視覚化しようと思って考えてたら、ポッと出てきた感じです。

 さらに源流をたどれば、僕は昔、映像の学校に行っていたのですが、卒業生が作った映像作品で……確か『黄色い糸』というタイトルがあったんです。黄色い糸を追っていくだけの話で、「どうして赤い糸じゃないんだろう?」と疑問に思ったんですが、黄色い糸である理由がラストで描かれるはずだったんです。でも、その映画は編集途中の素材しかなくて、どうして黄色なのかわからなかったんですよ。今思えば、それがずっと残っていて、影響されたのかもしれません。

――登場人物も個性的ですが、ミステリー要素の強い物語に引き込まれます。物語を作る上で、特にこだわったところや苦労して書いたところはどこでしょうか。

 僕が物語を作る時に一番重要視しているのは、“情報量”です。より詰まっていて、より整理されているものがおもしろいと思っています。今作は、連作短編の形を取っていますが、1つの章に細かい伏線を散りばめて、各章のラストに2つどんでん返しを入れるようにしました。実際やってみると、すごい大変でしたけど……。泡吹いて倒れそうになりました。

――執筆にはどれくらいの期間をかけましたか?

 2カ月とか3カ月だったと思います。今まで脚本形式でしか書いたことがなく、初めて小説を書いたので、最初は全然書けませんでした。

――主人公と赤い糸で結ばれている水木シゲ子さんは、不気味さと美しさを兼ね備えたヒロインです。キャラクターメイクのコツや彼女が誕生した経緯を教えてください。

 元々は、昔作った自主映画に出てくるキャラクターだったんです。中身は今とずいぶん違うんですが、外見はほぼそのままです。中身は、サイコパスなキャラクターなんですが、ただ気持ち悪いだけじゃなくて、ずっと見ていたら愛らしく思えるようにしようとかなり気を使いました。できあがったものを見たら……ただ気持ち悪いだけのような気がしなくもないですが。

――主人公の楠見朝生は、水木シゲ子さんとは正反対の性格に見えます。彼のモデルになった人物や、どのような想いを込めて彼を誕生させたか教えていただけますか?

 先に作品のテーマができて、次に水木しげ子さんができて、朝生君は一番最後にできたと思います。この作品の唯一の良心となり、この作品のテーマについてより深く重く悩み、しげ子さんのストッパーになり、しげ子さんの隣にい続けられるタフな男の子を想像しました。とにかく彼には、いろいろと同情します。

――殺人や死体を埋めるなど、衝撃的で猟奇的なシーンも多い本作。しかし、その裏側にはなにか切ない想いのようなものが隠れているように思いました。真坂先生としては、どんな想いを読者の皆さんと共有したいと思っていますか?

 命はかけがえのないものですが、大事にしすぎると負担になることがあると思うんです。僕は命よりも関係性のほうが大事だと考えているんですが、それが作品のテーマにもなっています。

 なんて、大層なことを書きましたが、読者の皆さんにはあまり深く考えないで、展開を楽しんでいただければと思います。しげ子さんの奇行や、それに振り回される朝生君を見て単純に楽しんでもらえれば、それが一番です。

――真坂先生にとって、“狂気”とはなんでしょうか? 愛すべきものですか、それとも……?

 狂気って、実際、人をひきつけるんですよね。多分社会のルールを無視して自由に振舞っているからだと思うんですけど。だから、思わず、笑っちゃうこともあると思うんですよ。身近にいたら迷惑なだけなだけなんでしょうけど。

――生煮え先生が担当したイラストを見た時、どんな心境でしたか?

 しげ子さんは、少し神秘的な姿をしているので、実際に形にしようとすると、なかなかうまくいかないんですよ。だから、本当に大変だっただろうな、迷惑をかけてしまって申し訳ないな、というのが素直な感想です。できあがったものは、狂気が内包されていて、本当にすごい絵打と思います。感謝しかありません。

――ご自身が考える本作の魅力はどこででしょうか? 3つほど選んで、その理由も教えてくださるとうれしいです。

 まず最初は、やっぱりしげ子さんのキャラクターだと思います。これまでにない(僕は、“恐ろカワイイ”と呼んでいます)キャラクターが描けたと思います。2つ目は、小ネタがたくさん入っていること。狂気的な小話だったり、小さな伏線がたくさん入っているので、何回読んでも楽しめると思います。そして3つ目は、意外に重くないということです。あまり深刻になりすぎないように、笑える場面もたくさん入っているので、サクサク読めると思います。

――今回の出版にあたり、担当編集からどのようなアドバイスをいただきましたか?

 細かい各章のバランスだったり、心情が読み取りづらいところなどを修正していただきました。意見がぶつかったことは、記憶する限りなかったと思います。フレディ・ローチのような、名トレーナーです。

――今後、電撃小説大賞を目指す方への応援やアドバイスなどお願いいたします。

 これは、まったく個人的な意見ですが、1本作品を書き上げるよりは、たくさんストーリーを考えたほうがいいと思います。1行で語れるストーリーを無数に考えておいたほうが、デビューしてから楽だと思います。あと、書き方を学ぶ本を買うなら、小説の本より、シナリオの本を買うことをお勧めします。

――もしも真坂先生が水木シゲ子さんと赤い糸で結ばれていたら、どうしますか?

 なるべく遠くに離れます。近くにいて良いことなんて、何一つないです。そう考えたら、朝生君は本当に立派です。

――ちょっと話題が変わりますが、ゲームで熱中しているものがあれば教えてください

 『ダークソウル』ですね。もうすぐ2が出るので、本当に楽しみにしています。ベータテストもやりましたし。遊ぶヒマがなくても絶対買おうと思っていますし、すでに予約もしています。

――最後に、今後の抱負もふくめて読者の皆さんにメッセージをお願いいたします。

 かなり毒気のある作品ですが、それがいい中毒性となればと思っています。作品が続けば続くほど、おもしろい展開を考えていますので、どうか、『水木しげ子さんと結ばれました』を支持してください。そしてファンレターを待っていますので、できれば送ってください。よろしくお願いします。

(C)真坂マサル/KADOKAWA CORPORATION 2014
イラスト:生煮え

データ

▼『水木しげ子さんと結ばれました』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:KADOKAWA
■発売日:2014年2月8日
■定価:本体590円+税
 
■『水木しげ子さんと結ばれました』の購入はこちら
Amazon.co.jp

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