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2014年3月22日(土)

『バレットソウル -インフィニットバースト-』体験イベントには高橋名人、トッププレイヤー、各社開発者が集結! “STGの1日”をレポ

文:皐月誠

 MAGES.のゲーム&音楽ブランド5pb.は、3月21日に東京都秋葉原・廣瀬本社ビル5階(ゲームセンター・HEYの上階)にて、4月24日に発売するXbox 360用ソフト『バレットソウル -インフィニットバースト-』の体験イベントを開催した。

 『バレットソウル -インフィニットバースト-』は、2011年に発売されたXbox 360用ソフト『バレットソウル -弾魂-』に、新たなゲームモードやシステムなどを追加したタイトル。前作の内容も、バランス調整を施した上で収録している。

『バレットソウル -インフィニットバースト-』 『バレットソウル -インフィニットバースト-』
▲来場者が初見でスコアアタックに挑戦!▲限定版の実物パッケージも展示されていた。

 イベントでは試遊台の開放に加えて、ハイスコアを競う“キャラバン2014序”を実施。キャラバンの司会・進行を務めた“高橋名人”ことMAGES.の高橋利幸さんは、参加者の目標点数を1億5千万点と提示していたのだが、3・4億点台まで記録された結果に驚きの声を上げていた。また本日の反響のよさを受けて、同氏が6月1日に新宿ロフトプラスワンにて開催する“高橋名人の「真夜中のゲーム大会 Vol.8」”および“高橋名人の16shot Birthday!(ファミ誕30祭)”でもキャラバンを実施することがその場で決定。さらに入場料も無料にすると宣言された。

【4月8日追記】“高橋名人の16shot Birthday!(ファミ誕30祭)”“高橋名人の「真夜中のゲーム大会 Vol.8」”ではキャラバンは実施されず、6月下旬に開催されるイベントでの実施に変更された。

 ただし会場のレンタル費などがあるため、会場内での飲食物の購入は必須とのこと。飲食の売上から収益が発生した場合は、北海道盲導犬協会へ寄付されるという。

『バレットソウル -インフィニットバースト-』
▲「会社が認めてくれなくても個人的に(キャラバンを)やるから!」と宣言した高橋名人(右)。引退した盲導犬の世話をしている北海道盲導犬協会には、定期的に寄付を行っているそうだ。
『バレットソウル -インフィニットバースト-』 『バレットソウル -インフィニットバースト-』
『バレットソウル -インフィニットバースト-』 『バレットソウル -インフィニットバースト-』
▲優勝者への“番長Tシャツ復刻版”や参加者各位への“参加認定証”を、握手しながら手わたしする高橋名人。優勝者は、名人やコスプレスタッフと一緒の記念撮影も! ちなみに、優勝者の特典は381,427,080点だ。

 体験会やスコアアタックの他、各種ステージイベントも行われた当イベント。それらの模様を以下に紹介する。

■わっしょい!2014ミニ

 “わっしょい!”とは、“STGのスーパープレイを皆で鑑賞する”という趣旨でたびたび開催されている観覧型のイベント。2013年には日本を飛び出し、フランスの格闘ゲームイベント“Stunfest”内でもスピンオフ的な“Wasshoi in Europe”が実施された。

 この体験会では、“わっしょい!2014ミニ”と題したステージイベントとして、MAGES.の盛政樹プロデューサーが司会、東京都練馬のゲームセンター“Game in えびせん”のえび店長さんが解説を担当し、ハイスコアラーとして知られる太菱さんが『バレットソウル -インフィニットバースト-』の“バーストモード”、MAGES.の鷺岡潮(スコアネーム:SPS)ディレクターが『ケツイ ~絆地獄たち~』に挑戦した。

『バレットソウル -インフィニットバースト-』 『バレットソウル -インフィニットバースト-』
▲えび店長さん(左)と盛さん(右)。▲鷺岡さん(左)と太菱さん(右)。

●『バレットソウル -インフィニットバースト-』バーストモード

 “バーストモード”とは、すべての敵が早回し(素早く敵を倒すと次の敵の出現が早まり、結果的に敵の総量と撃破スコアが増加するシステム)に対応し、『バレットソウル ‐弾魂‐』の“攻める”ゲームシステムがより強化されたゲームモード。その他にも“合体バースト”の搭載や多彩な得点フィーチャーなどが追加されている。

 “合体バースト”の使用に必要な“バーストゲージ”は、画面上方かつ敵機に接近して撃破すると溜まりやすい。そのため、プレイ序盤の太菱さんは画面上方に張り付く形で進行。多少は危うい場面があったものの、“合体バースト”によるショットの特製変化や発動時の無敵時間を活用し、的確に敵を倒してスコアを稼ぎつつの進撃を見せる。初プレイとは思えない立ち回りに、盛さんとえび店長さんからは「本当にやってない人ですよね?」「あの人、知ってるよね!?」などと驚嘆の声が漏れていた。

 終盤は得点稼ぎよりも弾避けを重視しつつ、道中の回復アイテムはしっかり獲得して最終5面ボスをライフ満タンの状態で突破。しかし、その後に登場した真ボスの鬼畜的な弾幕によってあえなく撃墜されてしまう。太菱さんはトッププレイヤーとしての挟持か、即座にコンティニューして耐久力の減った真ボスにトドメを刺した。

 クリア後の太菱さんは、初見プレイのプレッシャーに疲れた様子で「難しいですね」とコメントした。家庭用STGは難度が抑えられがちだが、本作は通常難易度だとトッププレイヤーでも手こずるほどの歯応えであることが察せられる。

『バレットソウル -インフィニットバースト-』 『バレットソウル -インフィニットバースト-』
▲袖をまくってプレイに備える太菱さん。▲4面クリア時のリザルトにて上着を脱ぎ、本気モードへ突入。
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▲太菱さんが『バレットソウル ‐インフィニットバースト‐』に触れるのは本日が初めてで、前作も未プレイ。鷺岡ディレクターから依頼され、登壇することになったという。そんな鷺岡さんも、本イベントで登壇した理由は“自身が不在の会議で決められていた”ためらしい。
『バレットソウル -インフィニットバースト-』
▲太菱さんの最終スコア。ハイスコアラーが叩き出したこの点数を越えられるか、製品版でチャレンジしてみよう。

●『ケツイ ~絆地獄たち~』

 続く鷺岡ディレクターは、PS3『ケツイ ~絆地獄たち~ EXTRA(限定版)』の特典BDに収録する予定だったが達成し得なかった“ノーミス裏2週クリア”を目指す意味も込めて、アーケード版『ケツイ ~絆地獄たち~』に挑戦。なお、筐体のサービスドアが営業用と同じく施錠されているためにサービスボタンを押下してのクレジット投入ができず、自腹でのコインを投入が行われた。これについてえび店長は、「(プレイヤーが)コインを入れるのがわっしょいスタイル」とコメント。緊張に包まれた会場へ笑いを呼び、場を和ませた。

 1周目のプレイはいたって難なく、1面クリア時に1回目のエクステンド、2面クリア時に2回目のエクステンドというハイペースでプレイが進む。5面ボス・エヴァッカニア撃破時には1人プレイ・ノーミス・ノーボム・スコアが1億2000万点以上という条件を満たしており、見事に裏2周へと突入。トッププレイヤーらしい華麗なプレイを見せてくれた。

 問題の裏2周目では、2面までは順調に進んだものの、3面ボス・ジャマダハル戦にて1ミス。その後も4面中ボス・ブラックドラフト戦にてミス、5面では序盤の中型機・ゴールデンバットERや後半のパンツァーシュナイダーにミスを喫する。ノーコンティニュークリアも危うい一瞬があったものの、エヴァッカニアはノーミスで突破。真ボスのエヴァッカニア・ドゥームも押し切り、さすがにノーミス裏2週クリアには至らなかったものの、称賛の拍手を浴びた。

『バレットソウル -インフィニットバースト-』 『バレットソウル -インフィニットバースト-』
▲『バレットソウル -インフィニットバースト-』の開発にかかりきりで『ケツイ ~絆地獄たち~』をしばらくプレイしていないらしく、不安のためか2コインを投入した鷺岡さん。1周目は危なげのないプレイで無事に突破した。
『バレットソウル -インフィニットバースト-』 『バレットソウル -インフィニットバースト-』
▲裏2週の後半では何度かミスをしたものの、エヴァッカニア・ドゥームは無事に撃破! 右画像は撃破時の得点。

 今回の“わっしょい”はこの2プレイで終了となったが、えび店長は盛さんからの「また(“わっしょい”を)やろうとしたら、協力してくれますか?」という問いに対し、快く承諾。昨年はPS3版『ケツイ ~絆地獄たち~ EXTRA』、今年は『バレットソウル -インフィニットバースト-』と精力的にSTGをリリースするMAGES.だけに、今後の開催にも期待が持てるだろう。

■シューティングメーカー座談会LIVE

 続く企画は、STGを手掛けるメーカーの開発者が登壇した“シューティングメーカー座談会LIVE”。盛さんの他、『エスカトス』『ギンガフォース』を手掛けたキュートの米沢勇気さん、『雷電IV』『カラドリウス』などを手掛けたモスの星野仁さん、『シューティングラブ。』シリーズを手掛けたトライアングル・サービスの藤野俊昭さん、先日セガからリリースされた『3D ファンタジーゾーン オパオパブラザーズ』他を手掛けたM2の堀井直樹さんが登壇してトークを繰り広げた。なお、登壇が予定されていたエイティングの外山雄一さんは、体調不良のため欠席となった。

『バレットソウル -インフィニットバースト-』
▲左から堀井さん、藤野さん、星野さん、米沢さん。

 最初のトークテーマは“ゲーム業界に入った経緯”。ゲーム業界を志す理由は人それぞれだが、今回のゲスト4人の理由は総じて“幼いころからゲームに浸かっていて、それを仕事にしたくなったから”というもの。その他、業界を目指すにあたってのゲーム専門学校について、「(自身が入学して)あまり実になっていないが、後の業界での友だちができる」という藤野さんや、「熱意のある人や技術の高い人は多く、密度が濃くなっている」という星野さんなど、その有用性についてもトークが交わされた。

 その他、トークは“シューティングへの愛”や“今後作ってみたいゲーム”といったお題、そしてTVドラマ『ノーコン・キッド ~ぼくらのゲーム史~』に盛さんがモブとして出演していたことなどを話題として進行。中でも“今後作ってみたいゲーム”としては、“ハードスペックが向上しているため、できることが広がっている。新機軸のSTGとして、ストーリー仕立てにした『ギンガフォース』とは異なる方向性のタイトルを構想中”という米沢さん、“スマートフォン向けに本格的ではないが楽しさを感じられるタイトルをリリースし、STGの「難しそう」や「マニア向け」といったイメージを払拭したい”という星野さん、“昨今はアーケードゲームが衰退していてタイトルが少ないため、インカムの重要度も下がって自由度が逆に高くなっている。現在は、2つの新規プロジェクトを計画中。ミステリー小説のようなどんでん返しや、画面のインパクトがあるゲームを作れないか考えている”という藤野さんと、各位からSTGの制作に対する熱い意欲が述べられた。

 そして堀井さんは、以上の旨を受けて「皆さんの作った素晴らしいゲームを、10年後、20年後に復刻します!」と発言して会場に爆笑を巻き起こした。真面目な話としては、M2としても何かしらのアクションは取りたいとのこと。名の知れたスタッフが多数在籍する同社だけに、移植やアレンジなどではないオリジナルSTGも見てみたいところだ。


 最後に設けられた告知コーナーにおいて、米沢さんは低価格版『ギンガフォース』のリリース予定があり、発売日は近日発表予定だと紹介。また、新作プロジェクトが進行していることも語られた。その他、4月23日に開催されるM3(音楽や映像メディアの即売会)にて“Game Music Prayer Project”から発売される音楽CD『Game Music Prayer 2』には、『エスカトス』の1面BGMが、作曲者であるスーパースィープ・安井洋介さん手ずからのアレンジ版として収録されるという。

 星野さんは、PS3用ダウンロードソフト『雷電IV OverKill』が『バレットソウル -インフィニットバースト-』と同日の4月24日にリリースされることを、苦笑しながら紹介。Xbox 360版の『雷電IV』および『カラドリウス』へPS3版での新要素をDLCとしてリリースする構想もあるが、具体的な動きを検討するのはPS3版の開発が落ち着いたらとのこと。

 藤野さんのXbox 360用ソフト『ゲーセンラブ。~プラス ペンゴ!~』も、発売日が当初の予定から延期されたために4月24日の発売となってしまっている。同氏は2009年に『怒首領蜂 大往生 ブラックレーベル EXTRA』が発売延期によって『シューティング ラブ。200X』との同時発売になったこととの「行って来い」だと、笑いながらコメントした。

 堀井さんの関係したタイトルは、前述の通り『3D ファンタジーゾーン オパオパブラザーズ』がリリースされたばかり。また、同じくセガからリリースされたアーケード用格闘ゲーム『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』には、M2の開発した“E-mote”の技術が採用されている。同作を遊ぶ際は、その点にも注目してほしい。

■『バレットソウル ‐インフィニットバースト‐』開発者トークショー

 締めくくりの企画は、盛さんと鷺岡さんによる“『バレットソウル インフィニットバースト』開発者トークショー”。しかし、同作についてのコメントは各方面のメディアにて発しているので、盛さんが鷺岡さんに“どのようにして『ケツイ ~絆地獄たち~』の全国1位プレイヤーになったのか”を聞き出すという内容へと急遽変更が行われた。

『バレットソウル -インフィニットバースト-』
▲ゲーム自体よりも、開発者のプライベートに迫ったトークショー。

 そもそもの本格的にSTGを始めたきっかけについて問われた鷺岡さんは、1996年に稼働した『バトルガレッガ』の攻略VHSを見て「自分も同じプレイをやってみたい」と思ったことと回答。しかし、当時はすでに地元のゲームセンターに『バトルガレッガ』がなかったため、稼働されて間もない『怒首領蜂』に着手したという。

 最初はレバー操作の技術や弾避けの理論もなく、参考となるプレイヤーもあまりいなかったため、独学で『怒首領蜂』を研究。2年かけて6.8億点を達成して一区切りがつき、1つのタイトルをやり込むスタイルからは遠ざかるも、2001年の『斑鳩』から復帰する。

 そして2002年の『怒首領蜂 大往生』にハマり、それがある程度落ち着いたころに『ケツイ ~絆地獄たち~』へ「とりあえず裏2週」を目標として着手する。パターンの研究が主となる『怒首領蜂 大往生』とは若干異なり、自身の腕前がスコアに直結するシステムに惹かれ、当時から現在まで約10年にわたってプレイし続けているそうだ。

 ゲーム開発者という立場には「“なりたい”という発想すらなかった」そうだが、2010年のXbox 360版『ケツイ ~絆地獄たち~ EXTRA』にテスターとして呼ばれたことから、軽い気持ちで開発現場に初関与。その流れで2011年の『バレットソウル ‐弾魂‐』のDLCキャラクター開発にてディレクションを担当。盛さんのオーダーを具現化するような形での開発作業は、盛さんと鷺岡さんのゲーム嗜好が近いため、スムーズに進められたという。

 本格的にディレクターとして参加した2013年のPS3版『ケツイ ~絆地獄たち~ EXTRA』を経て取り掛かった今作では、前作の“攻める”システムを継承しつつ、早回しの要素を強化したり、プレイヤーの精神的負担を軽減するため残機をライフ制にしたりと、「直した方がいい部分にメスを入れた」とのこと。“当初は開発への興味が薄かった”というのは前述の通りだが、トークからはトッププレイヤーとしてのセンスと熱意を遺憾なく開発に発揮している様子が伺えた。


 MAGES.のSTGといえば、気になるのが浅田誠さんの入社についてだが、盛さんは浅田さんもSTGを作る可能性があることを示唆した。あくまで可能性であり、新ハードが登場したこともあって開発プラットフォームすら定かではないようだが、同社の動向には今後も目が離せない。

(C)2011-2014 MAGES./5pb.

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